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顔自動販売機【毎週ショートショートnote】

「今日は……肉より魚の気分だな」
社員食堂の入り口にある認証パネルに自分の顔を映すと、鯖味噌煮定食と豚肉の生姜焼き定食という選択肢が表示されたので、鯖の味噌煮を選択し、社員番号を入力する。

空いている席に座って待つと、数分後にロボットが選んだメニューを持ってくる。
認証した顔を元に、座っている人物の中から該当する人間の元に運んでくる仕組みだ。

うちの会社は全面的に顔認証システムを採用している。
会社の出入りは入り口での顔認証。
自販機で飲み物を買う、社員食堂を利用するというような金銭が必要な場合は、顔認証に加えて社員番号を入力。
後日、給料から引かれることになっている。

食堂のメニューは、記録されているここ数日に食べたメニューと、顔認証時に判断された健康状態から、オススメのメニューが提示される。
栄養管理もしてくれてお財布も不要。
顔パスである。

問題があるとすれば、この状態に慣れてしまい、休日も手ぶらで買い物に出てしまうことだ。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「顔自動販売機」です。
ちなみに裏の題は「名を自動転売鬼」だそうです。

すごく普通のことしか思いつきませんでした。
うーん、内容が被っていそうです。
実際にあるんですよね、顔認証の自動販売機。
せめて何か加えようと思って、全てが顔認証の会社にしてみました。顔パス。
あと、健康状態把握機能とオススメのメニューの判断。

それと……便利なことに慣れると、人間、退化しますよね。
何でも機械がやってくれると、自分で判断しなくなる。
そうならないようにという自戒を込めました。

読んで下さってありがとうございます。
羽根宮でした。


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