イライラする挨拶代わり【毎週ショートショートnote】

私が働く職場は同じフロアに2つの支部が入っている。
Ｋ中央支部とＫ第一支部。
私のいるＫ中央支部の支部長は男性で、全国転勤のある本社の社員。
数年ごとに入れ替わる。
Ｋ第一支部は現地採用の女性支部長で、プライドが高くて気が強い。
他部署の出る杭は積極的に打ってくる関わりたくないタイプだ。

しかし外回りから帰ってきたタイミングで、ドアから出てくる第一支部長に会ってしまった。
「お疲れさまです」
仕方ないから挨拶をする。
「あら、おかえりなさい」
口角だけ少し上げた、目が全く笑っていない顔で返される。
「そのニット素敵ね～。くすんだ色がよく似合ってるわ～」
「……ありがとうございます」
私のニットの色はスモーキーピンクだった。
「私、くすんだ色似合わないのよ～。いいわね、くすんだ色が似合って」
「そうですね。好きな色なので似合っているなら嬉しいです」
悪いけど喧嘩は買わない。
彼女よりずっと上手い自信のある作り笑いで躱し、心のネタ帳にメモを取る。

（410文字）

---

こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「イライラする挨拶代わり」です。

裏お題「オラオラするTシャツ手触り」はこちら

最初はもう少し違う内容を考えていたのですが。
ふと、以前働いていた職場のことを思い出し、そのときのことを書いてみました。
女性支部長に言われた言葉の部分は実話です。
なんかもう、絵に描いたような嫌味な人でした。
直属の上司じゃなくて良かったです。
職場で顔を合わせる人って重要ですよね。

今まで【毎週ショートショートnote】に参加したものはこちら

毎週ショートショートnote｜羽根宮糸夜｜note

ちなみに今日着ていた服の色はスモークブルーです。
読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。