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【世界一周・旅のカケラ #34】愛とトラブルのはざまで

いつまでもバンコク滞在を延ばしているわけにもいかず、泣く泣くジョンにいったんの別れを告げて、イスラエル人のアミールとチャーン島へ向かう日。

プーケットに次いでタイで二番目に大きい島、チャーン島。

島が象の形に似ていることからタイ語で象の島(=チャーン島)と名づけられたそうな。島全体が海洋国立公園に指定されているのも特徴。
プーケットやパタヤなどと違い、まだ手つかずの自然が残る、のどかなリゾートというのがまたいい。

バンコクからはフライトかバス&フェリーで、私たちはバス&フェリーで向かうことに。アミールと一緒だったため、イスラエル系の安いエージェントで申し込み往復で430バーツ(当時は〇×3=円)と残っている。
つまり、バンコクからチャーン島の往復が、たった1,290円!確かに破格!笑

さー、いざ出発!と意気揚々とバスに乗り込む、その名もVIPバス!笑

…が、なんと!

このVIPバス、2/3くらい移動したところで、タイヤがパンクするというトラブル!どこがVIPやねん、と突っ込みつつ、それでも私はできることがないのでバスのなかで待つ。アミールはほかの男性陣を引っ張る勢いで、パンクしたタイヤの交換を率先して行っていた(いいヤツだ。笑)。

タイヤがあっただけマシ!

まぁ、旅先の移動で生まれる、こういう「どうしようもない時間」って、本当にどうしようもないよね、と思いながら、そういえば!と昨夜ジョンからもらっていた手紙をバッグより取り出した。

それは、封筒に入った写真二枚だった。

出発前夜にジョンが一生懸命なにか書き綴っていたもの!

バスの外では引き続き、アミール筆頭にタイヤの交換が行われている。
それを横目に、私は手元の2枚の写真をひっくり返してみた。

あ…!

そこには出会って一ヶ月半の、私たちの軌跡が彼の視点から書かれていた
箇条書きで書かれたそれに、私側の視点を重ね合わせる。するとその情景がより立体的に深みを持って迫ってくる気がする。

こんなに彼が私をみていたこと、知らなかった。彼の私への想いが、そのたった2枚の写真から痛いほど伝わってくる。

一度、彼が書いているときに私が声をかけたことがある。
私はもちろん彼がこんなラブレターを書いているとは知らない。そのときのことを彼は「そしてあなたがやってきた。僕は集中できない、感情が溢れてしまう」と綴っている。

そして私の目は、手紙の最後の3つの言葉に釘づけになった。

HUG YOU
KISS YOU
LOVE YOU

ジョンの手紙

あぁ、と思う。

外国人は「愛している」と簡単に言う、もしそう思っているならそれは違うと断言できる。少なくとも女遊びをしていない、まともな男なら。

私は日本人以外の男性との恋愛沙汰で、いかに「LOVE」の一言を引き出すのが難しいかを知っているし、その一言はある種の責任と結びつけられるので、ヨーロピアンといえども簡単には口にしない。

とはいえ、私の心が動いたのは、それだけが理由ではない。

実は、私もここ数日、私の彼への想いはもはや「LIKE」ではないな、と思い始めていたからだ。なんというか、今まで感じたことのない感情。それがこの手紙を見た瞬間、結びついた。

そっか、私はジョンを愛している!

認めた瞬間に、胸の奥からぶわーっと温かくて気持のいいもの、今言うならエネルギーが溢れてくるのが止められなかった。私はきっと泣いていたと思う。

でもそろそろタイヤの交換が終わる頃だ。
もう少ししたら、アミールが意気揚々とバスに乗り込んでくるだろう。「mia、見てた?俺、頑張ったよ!」とでもいいながら。笑

私が愛に目覚めていたなんて、まったく知る由もなく…。

今でもこの手紙は手元にある。

数え切れないほどの断捨離を経ても捨てられないもの。ここには過去の恋愛への執着なんてない。ただ純粋な2人が愛を交換していた、その記憶が刻まれているだけ。

こんまり流に言うと、今でも心が「ときめく」なら置いておく、なのだ!笑

このnoteを書くにあたり、もう一度読み返してみたら、まんまとまた心が揺さぶられた。15年以上も前のことなのに、当時の彼の愛が迫ってきて、泣けた。まったく風化していない、その鮮度に驚く。

こんな恋愛を経験したことは、今もこれからもきっと私を支え続けるし、幸せなことだと思う。

LOVED YOU, TOO..

この記事があなたの旅欲を掻き立て、また旅の気分を味わってくださったなら幸いです。ガイドブックにはない、ちょっとディープな旅を書いています。サポートいただけたら、また旅に出て必ずこのnoteにてreturnします♡