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SaaStr APAC2023レポート| グローバルにスケールする方法

こんにちは。ACALLの長沼です。
Life in Work and Work in Life for HappinessのビジョンとPractice and Spread
New Workstyleのミッションを体現し、ACALL ASIAの立ち上げを主導するため、昨年からWork&Lifeの主拠点をシンガポールに移してから1年が経ちます。

シンガポールは「Smart Nation」を都市国家としてのコンセプトに、あらゆる社会基盤がモバイル体験をもとにデジタル化されており、日本のデジタル化はもはや数年の遅れを取っている状況ではないかというのがこの1年シンガポールにいて感じる肌感です。

そのようなシンガポールで、先日SaaStr APACがアジアで初開催となりました。シンガポールでは国際的なイベントがよく開催されますが、アジア開催の場としては多国籍比率の高いグローバル都市であるシンガポールが英語環境をはじめとしてグローバル都市としてのインフラが整っているため選ばれやすいという背景があります。

本noteでは、SaaStr APACでのインプットをもとに、私たちACALLが世界のワークスタイルを変えることにどのように貢献していこうとしているか触れることができればと思います。

まずSaaStr APACの概要はシンガポール在籍のReikoさんの投稿をご参考いただくとして、

【シリーズ企画第①章】アジア初開催!SaaStr APAC 2023に行ってきます

【シリーズ企画第②章】アジア初開催!SaaStr APAC 2023に行ってきました


The Playbook to Building Cross-Border SaaS Teams

10以上のセッションと個別ネットワーキングの中でも、今回のSaaStrで自身として一番興味関心のあるテーマで良いインプットとなった「The Playbook to Building Cross-Border SaaS Teams」について触れたいと思います。

セコイア東南アジアのManaging Directorがファシリテーター役となって、同社の投資先3社にクロスボーダー組織づくりのヒントを学ぶというものです。

登壇者は以下の3社です。

https://www.usemultiplier.com/
Multiplier は、グローバルチームを組成するためのプラットフォームを提供しており、従業員向けの支払い、税金、保険などの管理を統合的に実現するしています。シンガポールを中心に世界中45カ国に400名の従業員がいます。
(シリーズB)

https://www.wati.io/
WATI は、顧客ごとにパーソナライズされたやりとりを実現する使いやすさを追求したWhatsAppのAPI上に構築されるカスタマーエンゲージメントソフトウェアを提供しています。香港を中心にリモートファーストを基本としたハイブリッド型の組織運営をしており、世界60カ国にリーチしています。(シリーズB)

https://vymo.com/
Vymoは、セールスチームが高いパフォーマンスを実現するための予測分析を用いたセールスエンゲージメントプラットフォームを提供しています。サンフランシスコを起点としており、グローバル80カ国に展開しています。
(シリーズC)

最も大事なのは、「正しいカルチャー」をオンボーディングし、そしてメンテナンスし続けること

グローバル組織は、必然的にリモートで分散した状態であり、組織カルチャーに基づいて正しくメンバーをオンボードできるかどうかが重要で、オンボーディングの方法として適切なのは、「Decentralized Onbording」で、国や地域ごとにそれぞれ最適なオンボーディングを行うことにあります。
そして自律的に組織が駆動されるように、正しくカルチャーを運用することが重要で、そのためには(Multiplier社の場合は)、全社で、信頼、透明性、徹底の3つを信条に掲げています。「透明性」については他の2社も共通して重要としており、物理的に分散せざるを得ないグローバル組織においては、国や地域を超えた組織全体の情報へのアクセシビリティや透明度を保った共有は必須要件であるといえそうです。
また、WATIでは「カルチャースター」という制度を設けて、カルチャーを実践している人を祝うイベントも行っていて、グローバルからノミネートされるようにしています。各地域で得た経験を全社的にシェアする工夫がなされていることはグローバルでカルチャーを共有メンテナンスするための方法として参考になります。

国や地域ごとに異なるモデルとグローバル共通のモデルをどう組み合わせるか

組織デザインにおいて、グローバル全体で統合するモデルとローカルにフィットさせるモデルとのバランスを取ったデザインが重要です。WATI社では
CSM、SDR、BDRといったロールは、顧客とのコンテキスト共有が重要であるという観点から、ローカルにフィットする採用をしています。一方でファイナンスは各地域の監査法人と対話が可能なグローバルファイナンスのチームを組成してグローバルで統合して運用しています。
それぞれのロールが求められる特性に応じて、ローカル委任とグローバル連携の組み合わせをうまく行うことが重要のようです。
セールスエンゲージメントプラットフォームを提供しているVymo社は、金融機関を主な顧客としており、ACV約4000万円〜5000万円(※素晴らしいACVレンジ)のエンタープライズビジネスを80カ国に展開していて、成功のためには地域ごとの顧客への執着(つまり顧客起点の組織デザイン)が重要と説いています。ちなみに同社は日本市場へのアクセスもすでに行っており、日本の金融機関の顧客のカルチャーや購買プロセスはグローバルとは大きく異なることを指摘していました。

提供するプロダクトは同じでも、国や地域ごとによって提供の仕方は異なることを前提においた戦略とオペレーションを組み立てる

SMB向けのソリューションを提供しているVymo社は、自動サインアップによって顧客が獲得できるケースもあれば、たとえばインド市場のように顧客は電話ですぐコミュニケーションを要求するケースもあるとしており、顧客ベースにあわせたコミュニケーションチャネルの設計が重要としています。
Multiplier社のGo to market戦略では、USを主戦場としており、USの展開においてはテクノロジーの浸透率が高いことから、他サービスとのAPIインテグレーションが重要であるが、APACの一部の地域などのテクノロジーの浸透率がまだこれからの地域においては、まずは使って見るところから体験を作ることが大事で、フリープランを提供してマーケットを教育していくところから始めています。
Wati社の場合はインドが最大のマーケットであり、顧客が何を求めているかによって、すべての機能を提供せずに他のサービスとインテグレートすることで顧客の要望に応えています。
全体的なプロセスを見渡すと、まずは「国地域ごとの」プロダクトマーケットフィットが重要で、それぞれの違いを明確に見分けること、そして、コミュニケーション方法、セールスサイクル期間や購買プロセスの違いなどに合わせた提供オペレーションを構築することが大事であると言えます。

ACALLのグローバル展開

東南アジアへの展開をはじめたACALLでは、すでに顧客が複数の国地域にいることから、改めてWorkstyleOSがグローバルにスケールしやすいプロダクトであることを実感しております。
デジタル化が進展しているシンガポールでは、日本よりも少し先にAPIインテグレーションのニーズは明確となりつつあり、このあたりがプロダクトの成長には重要になってくるだろうと考えています。
また顧客とのコミュニケーションチャンネルとしては、WhatsAppはマストなコミュニケーション方法であり、まさにセッションでも触れていたとおり、プロダクトはグローバルで同じでも提供する方法を国地域ごとにチューニングすることが重要となります。
組織においては、ACALL ASIAでのローカル採用が本格化し複数のメンバーが揃い、これからチームでビジネスゴールの実現に向けてアクセルを踏んでいくフェーズとなります。ACALL JAPANとのカルチャーとの共有を大事にしながら地域の独自性とグローバルの統合性をうまくバランスを取りながら組織デザインをしていきます。

結び

今回SaaStrに行って改めてインドの勢いを感じました。前日のレセプションパーティーも当日の数名のラウンドテーブルディスカッション(Braindates)でもコミュニケーションの相手の半数以上はインドの人たちでした。とてもエネルギッシュですし、失敗を恐れない気概のようなものを沸々と感じました。グローバルにチャレンジする日本人としても負けていられないと感じた次第です。
当日、日本からもSaaSの会社の方々がいらっしゃっており、10名ほどの日本人の方々ともコミュニケーションを取ることができてよかったです。
ACALLは東南アジアを皮切りにグローバル化への1ページをようやく開いたばかりですが、自分達のプロダクトが国地域を超えて、世界のワークスタイルをより良くしていることに貢献していく道筋が日々明確になってきていることにワクワクしますし、確かな手応えを感じはじめております。
日本と東南アジアのチームが同じカルチャーを共有し、それぞれの国地域のお客さんに根付いたサービスとなるように創意工夫をしながら熱量をもって取り組んでいきたいと思います!


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