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環境にこだわれ(パーソナリティ・タイプと環境タイプの重なりを考える/ホランド氏)

はじめに(いつも書いてること)

このnoteでは、「仕事でも私生活でも心をラクにする(ワークライフハック)」をテーマに文章を書いています。

※「ラクする」というのは、「心身に苦痛などがなく快く安らかに過ごす」という意味で使っている言葉であり、シンプルに「サボる」という意味ではありません。

今回の内容

キャリアコンサルタントとしての学びを共有します。

自己理解を深める上でも、自分自身が「この仕事をやってるとイキイキする」と思える仕事を見つけるためにも、非常に大切な理論です。

ホランド氏は多くのカウンセリング経験から、「個人のキャリア選択は個人のパーソナリティと仕事の環境との相互作用の結果から出来上がる」としました。

※ホランド氏:1952年にミネソタ大学で教育博士号を取得した。カウンセラーとして働いた後に、大学で教鞭を取って、1980年に退職後はテストの開発と理論の発展に専念した。

「個人は、自分のパーソナリティと一致するような社会的環境で仕事をすることにより、より安定した職業選択をすることができ、より高い職業的満足を得ることができる。」

ホランド氏の理念は6つありました。

❶職業の選択は、パーソナリティ表現の1つである。
❷職業興味検査は、パーソナリティ検査である。
❸職業的なステレオ・タイプは、心理学的・社会学的に確かで重要な意味を持つ。
❹同じ職業に就いている人々は、似たパーソナリティ特性と同様の発達史を共有している。
❺同一の職業群に属する人々は、似たようなパーソナリティ特性を持つので、様々な状況や問題に対して同じような反応をしたり、特徴的な対人関係を作る傾向にある。
❻職業的な満足、安定性、業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致度によっている。

ホランド氏は、上記の理論を構築する上で、4つの仮説を立てました。

❶我々の文化圏において、大多数の人は
🔶現実的(Realistic)
🔶研究的(Investigative)
🔶芸術的(Artistic)
🔶社会的(Social)
🔶企業的(Enterprising)
🔶慣習的(Conventional)
の6つのパーソナリティ・タイプに分類される。
❷環境タイプも、
🔷現実的(Realistic)
🔷研究的(Investigative)
🔷芸術的(Artistic)
🔷社会的(Social)
🔷企業的(Enterprising)
🔷慣習的(Conventional)
の6つに分類される(例えば、社会的環境の職場には社会的タイプの人間が多いという考え方)。
❸人々は、自分の持っている技能や能力が生かされ、価値観を態度で表現でき、自分の納得できる役割や課題を引き受けさせてくれるような環境を求める。
❹人の行動は、パーソナリティと環境の相互作用によって決定される。人は自分のパーソナリティ・タイプと違った環境に身を置いた時、その環境に適応しようとする場合と、その環境を受け入れることができず環境を変えようとする場合がある。個人の性格によって、行動パターンが変わってくる。

● 現実的 (Realistic)
道具、者、機会、動物などを扱うことを好む
┗手作業、機械作業、農作業、電気関係などのスキルを伸ばす
┗組み立てや修理にかかわる職業を好む
┗地に足がついていて実践的
● 研究的 (Investigative)
生物学や物理学関係の活動を好む
┗数学や科学の能力を伸ばす
┗科学や医学分野の商業を好む
┗好奇心が強く学究肌で自律的
● 芸術的 (Artistic)
慣例にとらわれず創造的な活動を好む
┗言語、美術、音楽、演劇のスキルを伸ばす
┗創造的な才能を生かせる職業を好む
┗創造的で発想が自由
● 社会的 (Social)
人に伝える、教える、手助けをするなどに関連する活動を好む
┗人と一緒に仕事をする能力を伸ばす
┗教育、保育、カウンセリングなどの職業を好む
┗人の助けになり友好的
● 企業的 (Enterprising)
他人を導いたり、他人に影響を与えられる活動を好む
┗リーダーシップ、説得力、そのほか、人と仕事をするのに必要なスキルを伸ばす
┗商品の販売や人の管理などに関する職業を好む
┗野心的、外向的、精力的で自信家
● 慣習的 (Conventional)
情報を明確に秩序立てて整理できる活動を好む
┗組織的、事務的、計数的処理能力を伸ばす
┗記録管理、計算、タイプ、コンピュータ操作などに関する職業を好む
┗責任感があり、信頼でき、緻密

適職探しに役立つホランド理論

ホランド氏は、個人のパーソナリティ・タイプを1つに限定することなく、自分に近い順に3つのタイプでパーソナリティを表すことを提唱しました。

「世の中には6種類の人間しかいないという過程は常識では受け入れがたい」とし、パーソナリティの複雑さを考慮して、3つの組み合わせで表すことにしたようです。

パーソナリティ・タイプはどのように形成されるのか?・・・人は生まれ持った特徴によって、ある種の活動を好んだり、他の活動を嫌ったりする。

成長するにつれて、好きなことをすると上手くできて周囲からの報酬を受けられます(褒められるとか)。

そうすると、満足が得られるので、さらに好きなことの活動を一生懸命にやって、より上達するというサイクルが生まれます。

成長していくと、好きな活動や興味、価値観などがハッキリしてきて、パーソナリティ・タイプが発達していきます。

また、パーソナリティ・タイプの発達には、親や友人、学校などの周囲の環境のパーソナリティ・タイプの影響も受けるとしていました。

例えば、芸術的タイプの親は、絵画や花を飾ったり、映画をたくさん観るかもしれません。

そのような環境が、子供に影響を与えるんです。

遺伝的特徴と環境の相互作用によって、興味が明確になっていき、パーソナリティ・タイプの発達に影響していきます。

6つのパーソナリティ・タイプは、距離が短くなるほど心理的類似性が高くなります。

例えば、企業的タイプと研究的タイプは距離が最も離れているので、心理的類似性が低くて対極のタイプとなっています。

適職探しに役立つホランド理論

個人のタイプと環境のタイプを考えた時に、重なる部分が大きければ大きいほど、働く個人がイキイキして、結果的に組織にもメリットが訪れる(高いコミットメント/高いエンゲージメント/周囲への好影響など)。

だからこそ、仕事を探す際には、個人も企業もありのままの姿を出し合うことが大切です。

採用のシーンで偽りの姿を出してしまえば、偽りの姿同士でマッチングして、結果的にミスマッチになる可能性があるからです。

自分を知り、企業を知り、自身の特徴が活かせる環境を見つけることこそ、仕事探しにおいては大切なことなんだと思います。

同じ仕事だとしても、業界や企業によって求められる人物像は異なります。

だからこそ、自分を知り自分を伝えるということと、企業を知るということにおいては妥協しないでください。

「これを聞いたらまずいかな」とか「これを聞いたら印象が悪くなるかな」という心配はするかもしれませんが、聞かないでミスマッチになるくらいなら、素直に聞いた方がいいです。

聞く際には、ストレートに聞きすぎずに、「こんなことを書いて良いのかわかりませんが・・・」とか「こういう意図で聞いているのですが・・・」という言葉を据えると、相手にも意図を理解してもらえるでしょう。

採用シーンで候補者と関わる社員には、候補者のパーソナリティ・タイプを嘘偽りなく引き出すことと、会社の環境タイプを適切に伝えることが求められるでしょう。

ただし、ここで注意しないといけないのが、「候補者自身が自分のパーソナリティ・タイプを適切に理解しているとは限らない」ということ。

なので、採用シーンで候補者と関わる社員には、候補者の思っていることを嘘偽りなく引き出しながら、パーソナリティ・タイプの仮説を精度高く組み上げるスキルが求められてくるでしょう。

「個人は、自分のパーソナリティと一致するような社会的環境で仕事をすることにより、より安定した職業選択をすることができ、より高い職業的満足を得ることができる。」

個人も会社も、これを理解することで、採用の在り方や社員との向き合い方を見直すキッカケになるかもなぁと感じています。

個人の満足度や幸福度を追求するだけで、会社経営にも大きなメリットが生まれますからね。

感謝

今回も、読んでいただきありがとうございました。

他のnoteも読んでいただけると嬉しいです。


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