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足りないことが、気付かせてくれること。(「時間がない」あなたに-欠乏の行動経済学-を読んで。)

本屋さんに行ったら、書棚に興味深いタイトルの本を見つけた。『いつも「時間がない」あなたに』のいう本だった。

ぐるぐると螺旋状に回るジャケットも気に入り、すぐにレジに買いに行った。

この本の中で面白かったのは、「欠乏している状態には、メリットがある」という話だ。

普段からわたしたちは、不足していることを好まない。

満たされないものを満たすために、日々努力や我慢をして生きている。

なので、欠乏している状態にメリットがあるなんてことは、考えたりもしない。

けれども、著者は実は「足りていない状態」にもメリットがあることを明確に述べている。

欠乏が心を占拠するとき、人が注意深く有能になるのはたしかだ。生活のなかには、集中力を保つのが難しくなるような場面がたくさんある。何かと気をそらされるために、仕事が延び延びになる。ぼんやりしてきるので、スーパーで高いものを買ってしまう。締め切りが迫っている場合や、現金が不足している場合、人は目の前の課題に集中する。注意が集中していると、ケアレスミスは少なくなる傾向にある。
いつも「時間がない」あなたに 
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

普段は考えてもみないけれど、この文章を読んで腑に落ちた。

いつもの生活で、私たちは洪水のような情報にまみれ暮らしている。

そこには、欠乏ではなく、過剰の世界が広がっていて、わたしたちの集中できる時間が、あれよこれよと言う間に過ぎ去って行く。

よく、小さい頃に買った本やCDは、よく覚えているという話を聞く。

これは、まさに子供時代という、欠乏が当たり前の日々だからこそ、深く深く集中して物事を吸収していたように思う。

昨年から寝る前には、スマホをリビングに置いて、ベッド脇には置かないルールにした。

すると、頭の中が過剰な情報世界から、すっと抜け出す事が出来て、よく眠れている。

毎日の生活も同じかも知れない。

知らぬ間に過剰に慣れすぎた私たちだけれども、情報の断食をすることによって、忘れていた欠乏による集中力を取り戻せるのかも知れない。

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