ひとにまかせると、つまらなくなる。
「これ、やってください」と付き合いますか?
入社したばかりの頃は、右も左もわからない。先輩に怒られながら、1つずつ物事を覚えていく。こういう依頼は、こういう風に、この人に頼む、、、とか、判断できそうになければ、上司に相談するとか。そういうときは、じぶんからイニチアチブをとって、行動することは難しい。
けれども、時間を重ね、3年、5年と時がたつと、仕事にも慣れてくる。仕事に慣れてくると「これ、やってください」とお願いされたときに、「じぶんだったら、こうやりたいんだけどな」と思うことが増えてくる。
それは、5年目の出来事だった。
会社に入って5年目くらいだったと思う。無理なプロジェクトを任された。
具体的な話はできないので、たとえ話をしてみたいと思う。
あなたは、ペンをつくる工場の営業マンです。
ある日、お客さんがやってきて、聞いてきます。
お客さん「うちの会社オリジナルのペンが作りたい。できますか?」
私「はい、ご要望にもよりますが、できます。」
お客さん「こういうのが、欲しいんだよね。」
私「これでしたら、弊社のカタログ品ではないので、少々時間がかかります。」
お客さん「少々ってどれくらい?2か月で出来ますか?」
私「10本くらいでしたら、特別な対応で、2か月でやります。」
お客さん「どうも有難う。お願いします。」
・・・2か月後
お客さん「サンプルすごくよかったです。広告も作りました。」
私「ありがとうございます。広告って、どういうものを作ったんですか?」
お客さん「3か月後に全国の文房具売り場で売れるような、宣伝広告ですよ。まずは、100万本注文させてください。社長も気に入っていて、早く売り場に並べたいです。」
この会話をしたときに、ぞっとしました。「特別対応、10本限定でも2か月必要だったのに、100万本を3か月で出来るはずがない・・・」
その時、自分の頭の中には2つの考えが、「上司に相談して、自分の責任から逃れよう」「上司に相談しながら、できる限りチャレンジしよう。」
ぐるぐる頭の中を2つの考えが、めぐります。
普通にやったら、6か月以上(最悪1年)かかる。悩みます。迷いました。
チャレンジしたほうが後悔しない
結局、「やらないことに後悔する」という言葉を胸に、上司に相談。
「大変だと思いますが、一緒に頑張りましょう」と言ってくれました。
でも、この言葉でゲームは終わりじゃない。むしろ始まりなのです。
社会人になって大事なのは、上司に相談し、「がんばろう」と言ってもらうことが目的ではないこと。この場合、「100万本のペンを3か月以内にお客さんに届けること」が目的であり、手段は考えなければいけない。
手段の過程で上司に助けを求めることはありだと思うけれど、「上司からのヘルプ」が金の金づちだと思ってはしけない。
担当者として、詳細を知っているのはじぶんだし、普段の細かい業務をやっているのは自分。その作られたプロセスをベースにどうやって、「3か月以内」という目標を達成するのかが、肝なのです。
口説いて、口説いて、それでも口説いた。
「3か月で100万本を届ける」ために、自分がやったこと。
それは、「関係者を口説きまくる」ということ。
具体的には、「このビジネスが1億円のしごとなんです。こんな仕事なんてめったに来ないんです。やれば、来るんです。というか、もう100万本のオーダーは来ています。あなたがいないと実現できません。だから、お願いします。助けてください。」
こんな赤裸々な言葉をありとあらゆる関係者にかけていきました。
そうすると、快く「そこまで言ってくれるなら、やってみるよ」言ってくれる人もいれば、「そんなこと言ったって、忙しいんだし、やる意味あんのか?」なんて言葉をかけられたり、返事もしてもらえない場合もありました。悲しい気持ち、くじけたくなる時もありました。
それもそうですよね、普通にやったら6か月から1年かかる仕事を3か月でやろうとしているのだから。
それでも、じぶんはプロジェクトを期待通りに完成させたかった。
だから、口説きに、口説きに、口説き続けたのでした。
そして、なんとか間に合った。
そして、最終的には、多くの人の助けと「例外的な対応」のおかげで、お客さんには注文通り「100万個を3か月以内」でおさめることができました。
ここでぼくが学んだことは、以下の3点。
1. 当事者として、だれよりも熱を持つ。
例外的に何かを達成するためには、最大限の熱量で人々を口説く必要がでてくる。そんじょそこらの反対で心がおれないように、成功させるまでに、圧倒的なプロジェクトへの想い、熱量がもとめられる。
2. 行き止まりがでたら、次へGO
特別な対応をしていると、途中で道がふさがり、これ以上進めないという時が多くある。その時は、行き止まりがでたら時点で、頭を切り替えて次へGO。行き止まりはあれど、じぶんの可能性に行き止まりはないと信じ続ける。そして、ゴールに向けて違う道を試し続ける。
3. だれがハッピーなのか考える
人に無理させるためには、大義名分が必要。ほぼ日の糸井さんが掲げる4つの指針を参考にした。
4つの指針とは、
①当事者がハッピーか?
②関係者がハッピーか?
③社会がハッピーか?
④歴史はハッピーか?
という4点を自分に問いかける。その答えが、自分たちが幸せで関係者や、歴史がハッピーじゃないなら、そのプロジェクトは口説くのに値しない。
学校を卒業して、社会で働く面白み。それは、自分の行動が小さなコミュニティではなく、大きなコミュニティ。しいては、世界や歴史にも影響を与える可能性があること。そんな仕事を自分の姿勢次第で、おもしろく、実現できること。
社会人5年目くらいの僕は、自分でイニチアチブを取ることによって、仕事の楽しさの新たな側面を学んだのでした。
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