あすのそらもよう
その街は、年によって天候がはっきりと分かれていた。雨の日や晴れの日がきれいに一定周期で循環している。ただ、それはひとつの街に視点を絞ったものの見方であり、視野を広げればまた異なる面が現れてくる。
地図を眺めれば、四つの街が隣接している。どれも平野で交通の弁もよく、大きな川が渡されていることもあり、栄え続けてきた歴史が窺える。
過去の天候状況を眺めれば、さらに新たな面が浮かぶ。晴れ、曇り、雨、雪。四つの天候が一定の周期ずつ入れ替わり立ち替わり、順番に巡っていた。
更に住民台帳を見れば、それらのカラクリはすぐに見破ることができる。一定の周期ずつ住民がごっそりと入れ替わるのだ。そして、指名の横には、晴れ、曇り、雨、雪。それぞれの天候が記載されている。
街は人によって運用されている。それは電気、水道、ガスといったインフラのみならず、天候すらも。土地は適度なストレスが与えられる時期もあれば、休められる時期もある。
人のために街があるか、街のために人があるかの境目はすでになくなっていた。ただ、その運用システムが維持され続けていることはたしかなことだった。
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https://note.com/wool_and_green/n/nc13dd9ecf873
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