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ことば遊びとショートショート41『オーユ ヌードルズ ラブ』


 運命の3分間。

 彼女はカップ麺を持ち、天井を見ていた。フーフーして、天井に具が飛んだとか。僕は脚立を使い、具をとった。謎肉。渡すと彼女は笑った。

 それが僕らの出会い。


 ある夜、お湯が足りず、中途半端な作り方で彼女を傷つけた。

 雨の街角。のびた麺のような髪の彼女が海老のように縮こまっていた。

 一緒に帰宅し、お湯を沸かそうとするがガスがつかない。

『時間はかかるけど水でもいいよ』

 水を注ぐ。

『時間短縮』

 カップを手で包む彼女。その手に手を重ねる。

 出来上がるまで、僕らはたくさんの話をした。

 永遠のような待ち時間。

『食べれるかも』

「割り箸ないや」

『これで食べよ』

 フォークだった。

「洒落てるね」


 外は雨も上がり、朝陽が昇ろうとしていた。

 屋上に行き、毛布にくるまり、麺をフーフーする彼女。

「ふざけてる?」

 笑った僕も一口。麺を食らった。

 白い息と湯気の朝。

 僕らは今、熱々のフーフだ。

 (了)

【雑記41】

 子供の頃、夕飯前に食べるカップラーメンはちょっとした贅沢だった。

 常に戸棚にあるわけではなかったけど、見つけたら即座に開封、投湯、完食していた。お中元やお歳暮に箱で届いたときは毎日食べていた。ニュータッチのチャーシューメンをこれでもかと食べた記憶が蘇ってくる。

 あまりにも食べるものだからカップラーメンは隠された(その時期、ぶくぶくと太った)

 それでも見つけた。3分あれば充分。隠す場所なんて大体限られる。どれだけカモフラージュしようが、床下に隠そうが、蔵の中に箱ごと置いてようが、発見して食した。

 もう途中から食べることよりも見つけることが楽しくなっていた。なんとなくラ王とか少し良いラーメンを発見したときはなんとなく手を出せなかったところが、まだまだ子供だった(ラ王は大人なイメージだった。おとなのふりかけ的な)

 自分だったらどこに隠すか?相手が何を考え、どう行動するか?
 カップラーメンを通して学んだことは創作にも通じている気がする。

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