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ことば遊びとショートショート14『君はカレンダー』

 スレンダーな君はカレンダー。

 犬みたいにじゃれてくる君。

 本当に可憐だぁ。


 君の好きなところ


①お洒落

 日付が変わると、君は服を1枚脱ぎ、新しい服装になる。

 服には日にちが刺繍されていて、何日かわかる。

 服を脱がそうとすると、

『まだ早いよ。明日じゃない』

 という君。

 照れんだぁな君に、僕は惚れんだぁ。


②記念日を大切にする

 海の日には水着、山の日には登山着。

 マンネリとは無縁だぁ。


③名前が変わる

 今は10月だから、君はカンナ。来月はシモツキ。

 古風で素敵な名前に萌えんだぁ。


 大晦日。

 君とこたつでくっついていた。

 今年も終わるけど、来年もよろしく。

 除夜の鐘。

 君はすっと立ち、服を脱いだ。

 いつもの君と服の雰囲気が違うような……。

『ニューイヤァァァァァ!』

 君は叫ぶと、僕を突き飛ばし部屋をでていった。

 まるで、えーと、猪みたいな勢いで。


 二人にとって、これは恋の試練ダー!

(了)

【雑記14】

 ショートショートの1st Album『ワンダーメーカー』より、本日は5曲目の『君はカレンダー』を紹介します。
 昨日の4曲目の『1K』はこちら
 それぞれ完結した物語を並べて、ショートショートのアルバム(音楽のアルバムのようなもの)を作ることに挑戦した時のことを振り返った記事です。

 疾走感のある2・3曲目、スローな4曲目を経て、中盤のゾーンはバラエティに富んだ物語を配置したいなと考えていましたが、ここで問題が発生しました。
 1~4曲目はなんとなく物語のアイデアがあったのですが、5曲目のアイデアが全く浮かんでいないまま追いついてしまいました。
 色々と考えている中で、ふと歌の歌い出しのような『スレンダーな君はカレンダー』という冒頭の部分が思いつきました。

 カレンダーは擬人化したものなのか、それとも女性をカレンダーに見立てたものなのか、この一文ではわからないのが面白いかもと思いました。
 読み手と書き手のイメージを近づけるように文章や言葉を選んだりしていましたが、今回は読み手ひとりひとりの想像力が膨らむように余白を残してみようと。
 本当の意味で物語を完成させるのは読み手に頼ろうと思えたことで、このアルバム制作の山場を越えることができました。

 お読みいただき、ありがとうございます!

 8月末まで毎日、400字ショートショートと雑記の2本立てnote を投稿することに挑戦中です。

 文章で物語で、読んだ方を笑顔に元気にできたら最高です!良かったら、また明日もふらっと遊びに来てください!

文章や物語ならではの、エンターテインメントに挑戦しています! 読んだ方をとにかくワクワクさせる言葉や、表現を探しています!