嫁にゆく-秋刀魚の味-
いまどき「お嫁にゆく」なんていう表現は古めかしすぎるかもしれない。
結婚は当人同士の問題だし、親が家がと言うのはナンセンスだ。
けれど、彼女の結婚に限っては、「お嫁にゆく」という表現がしっくりくる気がするし、彼女自身の慎ましさや折り目正しさといったものは、そんな古式ゆかしい香りがして、それが白い衣装に包まれたなら、まさに絵に描いたような「お嫁さま」ができあがる。
友人の一人は、由緒も正しい家に一人娘として生まれ、大切に大切に育てられてきた。
ご両親が子どもを諦めかけた頃に