小2息子、WISCを受けて、暮らしが大きく変わる
先日このような記事を書きました。
発達相談施設に行き、WISC(知能検査)を受けることに。
この後どうなったのか?を書きたいと思います。
結論をいうと、WISCを受けた後、わたしのほうでも新たにわかったことがあったので、学校と面談し、家庭内のことも改善しました。そして息子はいまは落ち着いています。
WISCを実際に受けた
ありがたいことにとっても学校の対応が早くて、即座にWISC(知能検査)の予約をしてくださいました。
恵那市はWISCは発達支援センターへ相談すれば無料で受けられます。
しかし、学校からの依頼が無いと動いてもらえないので、学校にまず相談する必要があります。
学校から発達支援センターへの引継ぎは学校によってまったく違うようで、特に教頭先生の発達や不登校への理解度で違いが出るようです。
息子の小学校は、今年教頭先生が変わりましたが前任の方が発達関係に詳しく、今の教頭先生に引き継ぎをきちんとしてくださったおかげで、特に問題なくスムーズにWISCを受けるまでになりました。
田舎で、人数が少ないからこそ柔軟に対応してくれる。
これに関しては、いまの学校でよかったな~!と思いました。
息子は特に知能に問題は無さそうだったのですが、心理士さん曰く知能の種類にも発達があり、それに凸凹があると授業に困難を覚えることがあるので、一応受けてみよう、ということになったのです。
また、専門家であるわたしのいとこが「取扱説明書にもなるから、機会があれば誰しも受けていいものだと思うけどね」と言ってくれたのが後押しとなりました。
実際にセンターへ行くと、心理士の先生(若くてかわいい)が「では、クイズみたいなことしよう♪」と盛り上げてくれたので、息子はルンルンで別室へ。WISCは1時間半ほどかかったので、その間センターの先生に、親(わたし)へのヒアリングをしてもらいました。
WISCは発達障害の検査にも使われる検査で、項目は4つ。
言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリー指標(WMI)、処理速度指標(PSI)という4つの分野をみます。
パソコンで言うと、どういう特徴のパソコンで、どんなデータが入ってて、どんなアプリがあって、メモリはいくつで、インテルは入ってる?みたいなことを事細かにわかるテスト、というイメージです。
結果を聞きに行く
2週間後、またセンターへ行き、結果を聞きました。
センターの先生と、心理士さんからのお話です。
結果としては、息子は
・言語理解指標(VCI)がとても高い、あとは標準くらい
・「意味」があるものには脳が作動しやすく、数字の羅列を覚えるのは苦手
・集中力と粘り強さがあるのでいわゆる研究者タイプ、でもアーティスト的なところも
・感覚過敏があり、自由が好き、こだわりが強いのでルールややり方に敏感。集団生活は苦手
ということでした。
数値はここでは書きませんが、わたしが思っていたよりも言語理解の指数が高かったので、これはわたしの理解に誤算がかなりあったようです。
この4つの分野の数値に、それぞれ15以上の差があると、困難を感じるそうです。息子ははるかに離れていました。
心理士さんによると
「脳内では、こんなことができる、あんなことをしたい、アイデアがいっぱいある息子君ですが、いざやろうとすると処理能力は小2の平均なので、『なんでできないんだ!!』と癇癪を起すことがあると思います。」
まさにその通り、1歳すぎから癇癪に悩まされてきました。
いまでもですが、「頭の中ではできてるから、きっとできる!」ということと「いざやろうとすると手が、身体が、頭がうまく動かない」ということに生まれてからずっと悩んできたのでしょう。
意外だったのは、癇癪を起すくらいだから相当不器用だろうと思っていたのですが、案外そうでもないらしく、差が激しいため不器用に見えるらしいです。
言語やイラストなどの認知が進んでいるので、学校の授業はまどろっこしく感じるし好奇心があるので、とてもつらいでしょうね、と言われました。
低学年の子にありがちな、遊びの中でルールを簡単に破る、とかもとても不快に感じてしまうので、遊びも辛いと思います、とのこと…。
言語と認知の発達は人より早かった。ただ、心はこどもなのです。こういう子は、心の発達はゆっくりめかもしれませんとも言われました。であれば…わたしが思っている10倍くらい(もっと?)はつらかったのだなあと、ひどく反省しました。
理解しているつもりだったのに、やはり結果の数値を見ると、息子の心内が想像しやすくなって、ちょっとショッキングでした。わかっていた気になっていたけど、息子はほんとうに孤独だったんだな、と。
では、これからどうしていったらいいのか、という話もできました。
手書きをやめ、タブレットに
私は万年筆屋をしていることもあるしもともと手書きが好きなので、息子にも手書きの大切さを伝えてきました。でも息子は手書きだと癇癪を起すことが多かったのです。
「お母さん、とてもいいにくいけど、お子さんは手書きじゃないほうがいいかもしれないです。」と心理士さん。
つづけて、「書写とか、例えば写経みたいな楽しみで書くような手書きは大人になってからの趣味としてはいいかもしれないけど、たとえば宿題の日記とか、読書感想文とか、手書きだとしんどいと思います。なんでかっていうと、息子さんの場合、言語が頭にいっぱい詰まってて、それを早く吐き出したいからです。アイデアが頭に詰まってい過ぎて、息子さんの頭はいつもぐるぐる回ってショート寸前です。手書きだと早く出てこないのでイライラします。タブレット端末やパソコンで文章を書くことにシフトしたほうがいいです。学校にもそれを提案しようと思っています。」
「苦手なことは、ほっておいていいものなんですか?」とわたしは聞きました。
心理士さんは「苦手なことって、放っておいてはダメなことと、放っておいていいものがあって、その見極めが重要ですが…息子さんは学校では我慢してなんとか訓練しているようですし、家でまで苦労させなくても良いと思いますよ。
例えていうなら、花粉症のひとに、杉林に連れて行って『訓練すれば治る!』って言っても意味ない…っていうようなことですね。
いまは苦手なことはそこそこでOKなので、知的好奇心が満たされるわくわくすることをどんどんやってください。」
わたしは手書きで救われた人間なので、息子にも手書きの良さを伝えたかったけど、それが負担になっていたのか…それも少々ショックでした。
自由研究も手書きにこだわってやらせたけど、パソコンでもよかったなあ。(しかし去年はタイピングできなかったのでしょうがないか)
しかしそれと分かればすぐに切り替えよう。息子がやりたいと言っていたので練習させていたから、彼はローマ字タイピングは一応できる。
わたしは心理士さんに「わかりました、なるべく視力には配慮して、パソコンやタブレットでの文章に切り替えます。」と言いました。
息子は書写自体は嫌いでは無さそうなので(美しい字はきれいな絵だと思っている節がある)それはそれとして、通常の日記などの文章はタブレットで書くことに。
手書きは家の学習ではやらなくてもOK、ただその分、文章のイロハはきちんと教えよう、と思いました。
学校と面談する
また、センターと学校は連携して、センター側はWISC結果をもとに児童の改善案などを出してくれるそう。
これもとってもありがたい対応です。
さらに後日、息子抜きで担任の先生と教頭先生と面談がありました。
簡潔に言うと、
「宿題はタブレットでやってもいい。また、宿題を全部やる必要は無いので、自分で心と相談しながらやる」
「学校では、まだなかなか本音を担任に言ってもらえないけど、息子君に信頼してもらえるように努力する」
「しんどかったら休んでもいい。でも元気になったらまた来て欲しい。そのあたりの塩梅は、様子を見ながらやっていこう」
「学校支給のキュビナ(学習アプリ)はどんどん進んでもいい。(上の学年の理科とか社会をやってもいい)」
「夏休みの読書感想文や自由研究もPCでよい」
というような案でした。
息子は宿題はノートにやらないといけない、日記は手書きじゃないと、宿題は全部やりきらないといけない…と言っていたので、これを先生の口から言ってもらえたのは大きかったのです。
これを息子に伝えるととてもほっとしたようすで「先生がそう言ってたなら、安心してできる。じゃあさっそくタブレットで宿題をやろう」と言って、自分で工夫してやっていました。日記もタブレットでやりました。鉛筆とノートは協調運動なのでとても難しそうでしたが、タブレットだと楽にでき、宿題を見守る親としてもめちゃくちゃ楽…。
学習アプリも、どんどん進んでOKとのことだったので、英語とか理科とか息子がやりたいことをどんどんやらせてみるとイキイキとして取り組んでいました。
1週間後
面談し、宿題スタイルを変えてから早や1週間。
計算ドリルはタブレットで答えだけタイピングする。日記もタイピング。漢字のプリントだけは手書きで。
宿題の時間がかなり短縮され、時間の余裕ができ、息子は早く宿題を終わらせて撮りためた教育テレビを観たり、散歩したり、自作カードゲームを作ったり…いそいそと楽しんでいます。
自主学習は、ノートでないと提出できないと思い込んでいた息子ですがタブレットでOKと言われたので、進んで自学しています。好きなことでいいんだよ、と伝えると、詩を書いたり、プログラミングの言語を書いたりして先生に提出しています。先生がコメントをして、また息子のフォルダに入れてくれます。
タブレットだと、自主学習が他の子に見られないのでやいのやいの言われることもなく安心なのかもしれません。(ノートだと提出時にクラスメイトに見られたりする可能性があって、息子はいろいろ言われるのでは?と心配らしい)
宿題の量のせいだけでなく、面談をしたことで、のちに担任の先生も「ちーくんのやり方で、できるとこまででOKだよ」と伝えてくれて、見守ってくれているのですごく安心して学校に通えています。
なんというか、こんなちょっとしたことなんだなあ…という気持ちです。
心配性な息子なので、ちょっとしたことが心配で、クラスで自分が受け入れられていないかも、と思ったよう。怒られるかも、と思うと人間は委縮してしまうので。息子もそういうことだったのかもしれません。
なによりWISCを受けて、それと心理士さんからお話を聞いて、わたし自身がよりフラットに息子を見られるようになったのが、収穫だったと思います。
息子の中身が変わったわけではないのですが、わたしの視座が「なんで息子君はできないんだろう」から、「こういう理由があるから、できないこともあるよね」に変わりました。たぶんわたし自身が「意味」が理解するときに必要なタイプなのでしょう。
これからも困難なことはたくさんあると思いますが、息子の心に寄り添うことを心掛けて、そっと応援していきたいと思います。
今回親身に相談に乗ってくださった発達支援の先生方、小学校の先生方に感謝を込めて。
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