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Womb2020 #2 思考スイッチで生きた事業をつくる方法 - 自ら事業を生み、育てるために

今回は、2020年6月23日に行われた第2回目のウェビナーで議論された、新規事業創出成功の秘訣〜ビジネス思考法〜のポイントをまとめてご紹介します。

本イベントでは、WOMB Business Incubatorで起業家向けに行う講義(録画)を中心に、実際に起業家が挑んでいる課題や事業における具体的な事例や、メンター・アドバイザーとのディスカッションなど実践的な内容ををウェビナー形式でライブ配信します。

WOMB Business Incubatorとは?

WOMB Business Incubatorは、広義の健康「ウェルビーイング(Well-being)」の社会課題の解決を目指す起業家を支援する10か月間のインキュベータープログラム(オンライン)です。起業に対する必要な知識だけでなく、領域の起業に必要である事業理念の作り方や業界特有のティップスなど、講師のセッションを中心に、1年後に事業を生み出す「覚悟」と「基盤」を作り上げます。

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WOMB Session:"思考スイッチ"で生きた事業をつくる方法 -自ら事業を生み、育てるために

講師はビジネス思考法を含む事業創出のスペシャリストである若宮和男氏をお招きします。

「アイデアはあるけど形にできない」「何から始めたらいいかわからない」「いろんなフレームワークがあるけどどれを使えば…」など、新規事業を考えたことのある方の多くが、新しいことに踏み出す前の"モヤモヤ"を抱えていると思います。事業を生み出して成長させていくために必要な、"事業フェーズごとの思考の転換"について教えていただきました。

セッション講師・メンター     若宮 和男氏
uni'que Inc. Founder/CEO、ランサーズタレント社員、『ハウ・トゥ・アート・シンキング』著者

建築士としてキャリアをスタート。その後東京大学にてアート研究者となり、建築・アート論、ニーチェ研究をしつつ、アートイベントを主催。2006年、モバイルインターネットに可能性を感じIT業界に転身。NTTドコモ、DeNAにて複数の新規事業を立ち上げる。2017年、女性主体の事業をつくるスタートアップとしてuni'queを創業。「全員複業」という新しい形で事業を成長させ、東洋経済「すごいベンチャー100」やバンダイナムコアクセラレーターにも選出。ビジネスに限らず、アートや教育など領域を超えて活動。2019年『ハウ・トゥ・アート・シンキング』を出版。

著書のご紹介『ハウ・トゥ・アート・シンキング』

// 以下、若宮氏のご講演内容を引用、抜粋し記載します //

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起業家であると常に問い続けられる3つの『why?』自分の言葉で答えられていますか?

起業家とは、短期間で急成長をして上場を目指すことがスタートアップと言われているが、起業の形は一つだけじゃない。イノベーションは広さだけでなく、長さ。例えば能楽は650年続いてる。650年後、世の中に価値のあることも事業価値であり、必ずしも何億ユーザに使われたいかではない。

3つのWhy?

・この事業を通じて何をなしとげたいのか
・自分たちのコアとなるバリュー、自分たち”らしさ”
・市場の年齢、時間軸の話

本当には何を成し遂げたいのか?いびつ(丸い形は自分らしくないから)さをどう出していくのか?

事業のKGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指標)お金?ユーザー数?よりも何を成し遂げたいかって言えるかどうか

”いびつ”さを言語化するための思考、アートシンキング手法でのキーワードは、偏愛、違和感、原体験。

いつ、それをなしとげたいか?時間軸

いつそれをなしとげたいのか事業フェーズが違う。生まれたばかりの子どもにする話と、幼稚園児と高校生にする話とは違う。事業の時間軸と年齢を意識すること市場のフェーズを考える。

思考スイッチ(思考を切り替えて考える)社会に風穴を開ける方法

捨てられないコアを見つけることが初期フェーズで重要であり、穴をあけるにはまず、「尖った先端」が必要になる。そこからグリグリと広げていく。

この「尖った先端」を作るために、若宮さんの会社での壁打ちでもどっちを捨てますか?と残こしたものからより先端を尖らせるイメージ、絞る、捨てる、作る。

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生きた事業をつくるための思考スイッチ

思考のスイッチとは、フェーズや目的に合わせて思考をスイッチすること。既に見えてることを分析し、大きい問題のアキレス腱を見つけるロジカル思考、好きっぽいね、引きずり出すデザイン思考。前者の2つが顧客の課題解決に対し、アート思考は自分の中からの発見することで0から1を作り出すような起業家にフィットする。自分起点の思考がアート思考であり、不確実性が高い今の社会で自分に改めて問い直すこと、フェーズごとに使う思考を切り替えることが重要なってきています。

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そのアイデアやサービスは代替不可能か

箱ティッシュを選ぶとき、自分の使ってるメーカーがそのお店になくても、他のものを買って帰ってくる。スマホの場合ははそうはならない、価格が安くても、iPhoneを買いにきたらiPhoneを買う。5,000円のディスカウントがあってもGalaxyを買って帰らないから。その店にiPhoneがなければ他店にあるか聞くし、予約して待つ。箱ティッシュは代替可能性。

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ニーズがあるところに出せばいいか、そうではなく、スマホと箱ティッシュのニーズは箱ティッシュの方が圧倒的に高いが、ニーズがあっても、どれでもいいものになると、選ばれない。

物が溢れてるので、代替不可能なユニークさが大事。
代替不可能なユニークさを作るときに、自分らしさが大事になる。

新しさ、新規性は誰かに真似されたらすぐに陳腐化する時代。真似されても自分が常に半歩早く走り続けられる”自分らしさ”を持ってる。逆張りでなく、究極の順張り。

産むときはアート思考 『違い』の源泉は自分

アートシンキングのプロダクトとして紹介されたのは、iPhoneやダイソン。これらはニーズがあるところに狙いに行ってできるプロダクトではない。ロジカルには説明できないが、スティーブ・ジョブスが全く違う世界に変えてしまったのはUXヘの強いこだわりから。

”いびつ”ならしさは自分の熱源になる。熱源に素直になることで”らしさ”が生まれる。違いの源泉は”らしさ”であり、差別化ではなく、本来自分らしくいると違ってしまうだけ。究極の順張り。

育てる 赤ちゃんに年収を聞いてはならない

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0から1の赤ちゃん期に年収いくらとは聞かないように、小さいときにはどれくらい頻繁に濃い熱量で使っていただけてるかを見る、成長期になってはじめてユニークユーザー数はどうか、次に利益を伸ばしていくには等、フェーズによって見るべきポイントは違うので、タイミングであったKPIを見ていくと思考を変えていかなければならない。

アートシンキングは深さを掘る

100人に1人、1%でもいいので熱狂的になってくれるユーザをみつけるのが0から1の部分で、そのバリューが届きそうな人に拡げていくことをデザイン思考で広げて、ロジカルシンキングで量産フェーズに入る流れ。

ビジネスモデルの変化

消費トレンドの変化があり、能動から受動の時代へ変革してきている。検索をしないこと、買い物にストレスがたまる、所有から共有(シェアリング)へ。時代のことを意識すると見えてくる部分もある。

フェーズにあったKPIを設定できるよう思考をスイッチすることで、

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育てる あなたの事業は、いま何歳ですか?

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事業フェーズで見るべきKPIは違っている。0から1への赤ちゃん期に年収いくらとは聞かない。元気に育ってることが見るべきKPIであり、または濃い熱量で使ってるユーザがいるか、ユニークユーザー数はどうか、の前には100人に1人、1%でもいいので熱狂的になってくれるファンをみつけ、デザイン思考で広げて、ロジカルシンキングで量産フェーズに入る流れ。

心理的なコストをブチぬいたのは希少本

Amazonが風穴を開けたのは稀少本だった。インターネットにクレジットカードの番号を入れるという心理的ハードルの風穴を開けたのは、希少本を探してる1%の人。根っこの価値は稀少本を手に入れたかった人たち。

稀少本→CD、DVD→コモディティ(洗剤や日常品)
サービスは逆の流れでは穴は開かなかった。初期の1%の熱狂から熱量の低い人に拡げていく。

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ギアチェンジはどうやったら広がるか?

熱量(アート)+広めること(デザイン)+仕組み化(ロジカル)
ユーザーを観察してピボットしたり、熱量が広がるようなグロースハック、マスにする、スケールするために手動だったのを仕組み化することを考えないといけないが、最初は手動でもいいから熱量高いところをやって、徐々にシフトしていくためにギアチェンジも忘れない。熱量を打ち抜くところはなんなんだ、をちゃんとする。

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モノ時代からコト時代へ

ローンチしてマーケットと対話しないとニーズがわからない。対話しながらどんどん変化していく。

事業アイデアがあって、コアバリューがしっかりして、ビジネスモデルがあるのであれば、なるべく早くはじめる。

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// 後半は登壇された若宮さんと奥田のテーマトークです // 

WOMB Talk :メンター・アドバイザーを交えたテーマトーク

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世の中はいびつなままの社会でも良いのではないかと思うんです。障がい者の方に”いびつ”さがあるのではなくて、社会側にバリア・いびつさがある。

両目で社会をみましょう

いろんな”いびつ”さが合わさると、意外と調整されて円に収まるのではないかというイメージで気づきを与えられました。
両目で社会をみましょうという言葉が衝撃で、当たり前のことだと気がついた。若宮さんの会社では女性の視点でも物事を捉えることで価値を提供できる。Your会社で女性の方から自分は思いつかないような角度からのアイデアが飛んでくる。
副業の位置付けで伴走型で一緒に事業開発をする。事業をまず作って、分社化する、株式を持って代表・オーナーの立場になってもらう。
実際に起業する人は数10人に1人であること。

女性が起業するときのボトルネック3点

・エンジニアと知り合う機会、技術に触れる機会が少ない
・資本政策などの数字関連の話
・働き方・フルコミット、スタートアップ・ガテン系に合わない

壁打ちをしていて"事業でない"と感じるときもあります。
本で出版する手法で個人として発信することもできる。NPOもある。

個人事業主、ではなく事業にこだわっている。利益を出しながらサステイナブルに続く事業、数億円稼ぐ事業などのイメージ。

女性起業家サロンに属していた女性たちが、ネイルサロン経営、パーソナルトレーナーなどが多く、”事業”やっていなかったのが勿体ないと感じていました。

細い穴を開けてどこから大きくして事業化するのかを、若宮さんのセッションを通してチャレンジャーは寝ずに検討している。チャレンジャーの中には、1週間後にサービスローンチした人もいる。

”なり方”を教えてもらってなるのが起業家ではない

起業家になるしかないヘルスケア・ウェルビーイングの領域はソーシャル・ノンプロフィットな方向で持続化する物も多い中で、助成金をもらうと成り立つが、依存してしまい継続できない事例も多い。課題がある、提供するものに対して、対価を受け取ることは全く悪いことではない。

多くのものに理解してもらえるビジネスモデルではないといけないといけないと思っていたけれど、いびつさの、尖った部分。キリきりのように小さな穴をあけることから始めるので良いという言葉が刺さっていたと思う。

ロジカル思考だけだと足が止まってしまうから

本田宗一郎のように熱量で打ち抜いてきた人がたくさんいたのに、おりこうな人が増えていて一歩始められない。

いかなる大企業でも最初はベンチャーだったことを忘れてはいけない。
やるべき、やりたい<やらざるを得ない・やっちゃった・作っちゃった
ロジカル思考・理屈は黙っててもみんな考えられるから大丈夫。
尖らせてよい。

よりクリアに見えると理想的ないびつさ

WOMBにチャレンジした時点で原動力・いびつさの根っこがあり、半歩踏み出せているので、よりクリアに見えると理想的。いびつさが埋もれている。
どんな事業にも正解は誰も持っていないどうしたらよいか?という問いは本質的ではないうしたらよいか?という問いは本質的ではない。
動きながら研磨されて見えてくるので行動を起こさないと始まらない。プログラムを終えたら起業家に近づけるという概念ではいけない。受動的ではいけない。どんどんバラバラになって走り出して欲しい。

アートシンキングは自分の価値観

スタートアップが上場したら成功というのは他者の価値観。
爆速で成長していることより、誰もが知っていて数百年続いていることが成功と言うこともできる。

note:コアバリュー・クリエイターをサポートする>読者
任天堂:コアバリュー・市場性だけではないWiiコンセプトの作り方・ハイスペックに他社が向かう中で家族という価値を置いて突き抜けた先にスイッチが生まれた。
発酵デザイナー 小倉ヒラクさん:発酵デパートメントEC運営

思考を切り替えるタイミング

半歩先に伸ばすことを考える感覚がベスト今じゃなかったといって学び撤退すること・失敗を重ねると感が鋭くなる試してみると気づきがあり分かるABCで迷った結果どれでもなかったということが多いと思う大企業でよく経験的に学んだ踏み出せなかった自分を思い出せないくらいやらないとわからないことが不確実の時代には多いので、やらない方がリスクだという時代踏み出すと工夫するのでナレッジが溜まっていきその失敗からの工夫や学びが次のアセット・財産になる。

跳ねている馬になる

人から言われて動いたことによい思い出はないので、人から貰うという体制ではなく、前に進んでみるしかないということをわかって欲しい。跳ねている馬になる。人それぞれどうやったらその状態になれるのか体感する。

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今回のレポートはWOMB広報サポーター清瀬がお送りしました。チャレンジャーの皆さんの『0から1』を作る瞬間に立ち会えることへのザワザワと毛羽立ったような興奮があります。そのザワザワした感情は偏愛であり、そこを突き詰めて振り切るような作業が、能楽のような長く続くようなサービスへとつながってるのだと思うと、シード期のチャレンジャーの皆さんが今変化してる心の変化や、実際の活動など生々しくて、その気持ちが伝わり、シーズから芽吹くようなドクンドクンとした血潮の動きが期待で私も鼓舞しております。

さて次回の第3回は7月29日に開催です。
「事業戦略家」、「スタートアップ成長請負人」と称される山口豪志氏を講師としてお招きし、企業の0から100まであるフェーズに合わせて支援するとともに、スタートアップ、投資家、事業会社を結びつけ、次のビジネストレンドを創出する、事業戦略スペシャリストによる登壇です。若宮さんからのアシストでそれぞれが、なるべく早くはじめる!にシフトした後の変化も楽しみです。

詳しくは、
WOMB Business Incubator #3 0 to 100 事業を育てる戦略地図→リンク

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Writer:清瀬 由香(WOMB広報サポーター/テレワークセンター徳島センター長/NPO法人びざん大学副理事長/Code for Tokushima/とくしまSDGs未来会議 発足メンバー/防災士)


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