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年齢不詳

捕まった
ここは留置所

おかあさ~ん
早くぼくを迎えにきてよ

明日は学校に行かなきゃいけないんだから
おいしい弁当つくってよね
それにしても腹が減ったな

そういや 近所のじろうさんと 久しぶりに酒でも飲むか
ちょっとすんません うちの女房見ませんでしたか
おい 下の商店に行って 酒買ってこい! 

いてて 腕に注射が刺さってる
だれか この腕に縛られた 包帯をとってくれないか
このやろう 俺をこんなところに閉じ込めやがって!

おお よく来たな
じいちゃんは このとおり 元気だ
よっちゃんは何歳になった? そうか
じいちゃんはもういいや ひ孫見なくても

ああ もうこの世に思い残すことはない
だから せめてもう一度 おかあさんに会いたいな
故郷のねえさんに 連絡とってみてくれないだろうか
こんなところにいたってしょうがないから
早く家に送ってくれないか おかあさんが待ってるんだ

「たなかさん 点滴終わりましたよ。また明日。
おやすみなさい。」


大好きだった祖父を思い出して書いてみました。
おじいちゃんの名誉のために一応書きますが、これはフィクションです。

私が90歳になった時、私の脳は科学の進歩によって、素敵な世界を見ているといいな。

インスタントフィクションとは
自由な発想と気軽なノリで書かれた文章、読書しない人でも遊び感覚で挑戦する。原稿用紙1枚=400字の中で表現、自分の思う「面白い」を入れるのがルール。

youtubeピース又吉直樹「渦」より


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