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学校で教わること

子供の頃から勉強は嫌いだった。
「やらされてる感」が拭いきれなかった。

だから試験の結果も良くなかったし、
数学で2点を取ったこともある。
(よく分からなすぎて全ての答えに『X=1』と書いたら奇跡的にひとつだけ当たった)




高校生のとき
試験前のノートとドリルの提出の時数学の先生に呼び出された。

「おいわき、赤ペンで全部答え書き写したドリルなら提出しなくても同じだからな。
やってみて、どうしても分からなかったら、
赤ペンで答えを書き写すんだよ。」

でも、正直に答えた。
やってみたけど、全部わからなかった。
わからなかったなりに誠意は見せたくて
赤ペンで答えを書き写した。と。

「そんなことしてもドリルの無駄だ。
捨てちまえ。」

わかりました。ありがとうございます。

そして僕はドリルを捨てた。
余計な手間が減ってかなりスッキリした。
(注:喧嘩腰ではなく、爽やかに捨てました)



さらに次の試験の時、また呼び出された。

「おいわき、お前だけドリル提出してないぞ。早く持ってこい。」

ありません。捨てました。

「は?」

先生が捨てろって言ったので捨てました。



そのあと担任も加わり、凄く怒られた。





「何で勉強しなきゃいけないの?」
「数学出来なくても生きていけるよね」
「社会に出たら使わないよね」

と、心から思っていた学生時代だった。

なんなら早く社会に出て、いろんなバイトや仕事をしてみたかった。
だから大学進学なんてまっっったく考えてなかったし、
何百万も払って嫌いな勉強をさらに4年もするなんて考えられなかった。

でも27歳になった今、少し考えが変わったので
noteに書いてみます。

「学校は社会経験の場で、社会の縮図なのよ。
総理大臣だって、宇宙飛行士だって、料理人だって、ホームレスだって、昔は小学生だったんです。
ここでドッチボールをしながら、
会社でのチームワークを学んでるのよ」

と言っていた小学校の頃の担任の先生を最近思い出す。

当時は、
ホームレスにはなりたくないなぁ。
くらいに捉えていたが、
きっとあの言葉にはもっともっと深い意味があったはずだ。




「ドッチボール」が
『社会のチームワーク研修』



たしかにそうかも知れない。



美味しい案件は仲間にしかパスしない。



ドッチボールでボールをパスしてもらえるのは
大抵、「人気者」か、「仲良し」か、「ボールさばきがうまい奴」である。

大人だってそうだ。
いい仕事や、話をパスしてもらえるのは、
大抵、「人気者」か、「仲良し」か、「仕事ができる奴」である。

「やる気のない奴」「逃げ惑う奴」「ぼーっとしてる奴」にボールは回ってこない。


「数学」も「漢文」も社会に出たら必要ない。
でも必要とされているのは

『投げられたボールをキャッチする力』だ。

先生が生徒に向けて投げた『知識』を
気持ちよくキャッチして、テストの結果として『パス』できるかどうかである。

将来コンビニのバイトをしたって、
「レジの使い方」という『知識』を投げられる。
それを素早くキャッチしなければ仕事はできない。
興味がなくても『キャッチ』しなければいけないボールは
社会に出れば沢山あるのだ。


学校は優しい。

科目によりけり得意不得意はあれど、

スタートは

「 1+1=2 ですよぉ〜」

だったはずだ。
いきなり難しいことは絶対にしない。

小1のとき優しく投げられたボール
が徐々に強くなる過程で
先生とのキャッチボールをどこかで放棄すると、
冒頭の馬鹿野郎になるわけだ。

とすると、『学校』ってなんだろう


『キャッチボール研修所』なのかも知れない。


同級生や先輩、先生、たくさんの人間と関わり、キャッチボールをしまくる日々だったのだ。



僕は高卒で、好きな事を仕事にしてやると思い、いま俳優をしているけれど、

俳優なんてキャッチボールの嵐だ。
相手役からも、演出からも、振り付けからも、
難しい球が沢山飛んでくる。
もしかしたら『数学』なんかより難しい方程式を日々解いているのかも知れない。

そう思ったら、あの時勉強しとけばよかったなとすこしだけ(ほんとに少しだけ)思う。

あのとき勉強しておけば、
もっと先生とキャッチボールしておけば、
もっといい俳優になっていたかも知れない。

『わきくん、人間、死ぬまで勉強ですよ』
と尊敬する俳優の先輩が言っていたけど、

『勉強』とは『キャッチボールの練習をし続ける事』なのかも知れない。

本を読んだり、新しいことを学ぶ事は、
『ひとりぼっちにならない事』
なのかも知れない。


幸い、僕は読書は好きなので、
このキャッチボールなら続けられそうだ。





先生、あの頃はごめんなさい。

最近やっと、気づき始めましたよ。


もっともっと、勉強します。

もっともっとキャッチして、
もっともっと良い球を投げられるように。

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