見出し画像

強欲、あるいは悪魔的チキンカレー

先日今季初のポト活をしたことを書いたのだけれど、くしくも同じ日、憧れの君・のりまきさんがキャンプにてポトフを召し上がった時の記事を書いておられた。


のりまきさんは、私がnoteを始めるきっかけになった方。「のりまきさんにスキしたい」という理由だけでアカウントを作ってからもう10ヶ月も経つのか……(遠い目)惚れ惚れするほど格好良かったり、腹がよじれるほど面白おかしかったり、稲妻のような鮮烈さと鋭さでいちばん深いところにぶっ刺さってきたり、とにもかくにも魅力的で素晴らしい、極上なセンスの結晶体みたいな文章を書かれるクリエイターさんです(旅先のお写真やお住まいのお部屋、持ち物等から察するに、ご本人もセンスの結晶体)。王族ウィンナー・ジョンソンヴィルを教えてくだすった恩人でもあります。

この記事の中で、のりまきさんは「ポトフにカレールウを入れて味変」する機会を狙っておられた。


ポトフをカレーに再構築


なんと蠱惑的な響きであることよ。

「むはァ~ン!私もやりたい!やるぞ!」と身悶えしながら決意したものの、おろかな私は冷蔵庫のポトフ在庫量を見誤っており、ハッと気づいた時には主要な具材は、すべからく食い散らかされていた(他人事みたいな口ぶりだな?)。なんたる不覚。その夜は枕を涙で濡らしながら床に就いた。

しかし、一晩眠れば大抵の落ち込みからは浮上できるのが、私の数少ない長所だ。翌朝目覚めた時、私の中にはある決意が炎となって燃え始めていた。


なければ作ればいいじゃない。

ポトフ感のあるカレーを。



そういうわけで、のりまきさんがキャンポト時に入れたかったという手羽元を使って、久しぶりにチキンカレーを作ることにした。


まず、大帝国ロピアにて100g48円(底値)で仕入れてきた手羽元を大鍋に入れ、たっぷりの水を張って火にかける。その間に玉ねぎを薄くスライスし、オリーブ油で茶色くなるまでひたすら炒める。手羽元の鍋が沸騰してきたらアクを取り、隣の玉ねぎを炒め、またアクを取り……ってのを繰り返す。

手羽元に火が通ったところで、いったん鍋から肉を引き上げた。この手羽元を肉と骨に解体し、骨だけを再び大鍋に戻したら、料理酒を追加してさらに煮込み続ける(長時間煮るとお肉が固くなっちまいそうなので、ちょっとひと手間かけてみた)。浮いてくるアクを執拗に除去する。引き続き玉ねぎも炒める。アク取り、玉ねぎ炒め、アク、玉ねぎ……ヤッバいなこれ、楽しすぎるだろ。絶対脳にいいわ。実際脳内麻薬的なアレがガンギマったのか、一連の流れをまったく飽きることなく1時間半くらい反復していた。あ、その間ににんじんを切ったり、男爵を順番にレンチンしたり、つけあわせ用のマリネっぽいものの準備もしていました。

玉ねぎがまっ茶色になったところで、大ぶりに切ったにんじんを入れてさらに炒める。野菜室で瀕死の重体になっていたなすも、小さめのサイコロに切って投入。なすがしんなりしてきたら火を止める。

手羽元鍋から骨を引き上げたら、残ったスープに炒め野菜軍団を投入。続けてフライパンを熱し、大ぶりに切った100g68円の国産鶏もも肉(底値)を両面こんがり色がつくまで焼きつけたら、野菜軍団スープに合流させる。おろしにんにくと月桂樹の葉を落とし、再び浮いてきたアクをていねいに、かつ執拗に除去する。もー、本当にアク取るのってなんでこんな楽しいのかしら。この時間が永遠に続けばいいのに……(恍惚)

アクが取りきれたところで、手羽元の肉部分とデミグラスソースを投入する。


凄腕勢はおメバチ様やおモウモウ様をお使いになっておられたけれど、きっと鶏でも大丈夫だろう。カレーにデミグラスソース、一度やってみたかった!いつぞやのデミソース入りミートソースもおいしかったしな。デミソースってひょっとして、入れたら何でもおいしくしてくれる魔法のくすりなんじゃないか。

デミソースがいい塩梅に鍋ジルに馴染んだところで火を止めて、大正義・ゴールデンカレーをぶちこんで溶かす。弱火でとろみがつくまで煮込んだら、これでカレーの完成。

さて、ここからは具材のターン。いつぞやに最強フライポトッピングカレーを作ったら超おいしかったのだけれど、なんとこの記事を読んだのりまきさんが、ご自宅で再現してくだすったのだ。


それも、最強フライポに加えて最強フライド焼き芋、最強フライドかぼちゃ、王族ウィンナー・ジョンソンヴィルを添えるという進化形でだ。なんちゅうギルティが過ぎる組み合わせ!よってめちゃくちゃおいしそう!

憧れの君の布陣が完璧すぎて、初見時は目にこみあげてくるものをこらえきれなかったほどだ。ややもするとガチ恋じみたファン心理を抱いている者としては、後に続かないわけにはいかない。


ということで、最強フライポの手順で男爵と焼き芋(ロピア製)を揚げ揚げし、王族ウィンナーもソテーした。ちなみにかぼちゃはお高くていらっしゃるものしか見つからなかったので、此度は断念。代わりと言ってはなんだが、固ゆでたまごを添えることにした。

焼き芋といえば、思い出すのは餃子さんのギルティおやつ。

これは焼き芋を揚げじゃなくてソテーするそうだけど、狂おしくおいしそうである。焼き芋のオイルソテーにバターとメープルシロップ絡めてバターアイス載せるとか、全芋女と芋娘が泣きながら大地に接吻して動けなくなる事案だな。


具材がととのいましたら、カレー皿に炊き立てごはん載せてチキンカレー入れて、王族と最強とゆでたまごをあしらいまして、はいできあがり。長かったなー、トータル4時間くらいかかったしそのうち半分はアク取りしてたな。いやー楽しかった。


画像1

いいですねえ……積載過多カレー。


こんな豪華なチキンカレー、もちろんワカナ史上初めてのことである。牛や豚に比べるとぐっと低コストで作れる、さっぱり系庶民カレーとしていつも私の人生の傍らにつつましやかに居てくれたチキンカレー。よもやよもや、こんな強欲メニューになる素質もあったとは。


画像2

果たして辿り着けるのか不安ではあるけれど、サラダ代わりのマリネと、福神漬けも添える。


画像3

今宵も王族ウィンナー・ジョンソンヴィル様の裂け目がバチクソ格好良い……もはやこれは官能の領域……。

それにしても、皿に寄ると一段と強欲ぶりが際立つ。強欲を通り越して悪魔的ビジュアルだ。嗚呼、我が愛しき君(のりまきさん)よ!自分も貴女の後に続きます!征きます!!


骨つき鶏で取ったスープをベースに使い、執拗にアク除去を繰り返し、魔法のくすりデミソースまで使ったチキンカレー。もうお察しいただけましょうがどちゃくそのバチクソにめっちゃんこおーいしゅーうござります~~~!!!!!!いつもの庶民チキンカレーとはひと味もふた味も違う濃厚なコク!デミソースの効能でやや甘みは強めだけれど、甘いからってお子さま向けとは訳が違うぜ?重低音のようなパンチ力が、ずしんずしんと胃に響く。ちょっと手間をかけた甲斐があって、鶏肉はホロッホロのぷりっぷりだ。しっかり形を留めているにも関わらず、にんじんは口の中でとろけるようにやわらかい。ちなみに玉ねぎとなすは文字通りとろけてしまい、どこにいるんだかさっぱり分からない状態に成り果てているけれど、デミソースと一緒に奥深い甘やかさとコクとを押し上げてくれている。やっぱり時間かけて玉ねぎまっ茶色にすると、おいしさが段違いではね上がるなあ。

そしてこの濃厚甘め系カレーに、チーズ味の王族ウィンナーがまあ、合うこと合うこと……(感涙)。王族そのものの豊富な肉ジルも、内蔵されてるチーズも、がっつりしっかりしょっぱめなので、カレーとのバランスが神がかっている。甘いのしょっぱいのって、これスプーンが止まらないやつだ。カリカリのほっくほくでとろーんな最強フライポが、その永久運動にさらに拍車をうながしてくる。ホント最強だよ、お前がナンバーワンだ!って私の中の全ベジータも言ってんよ!もう今後はカレーのじゃがいもを揚げ芋縛りにしてもいい気がしてくるわ。

そしてそして、今回いちばん楽しみにしていた揚げ焼き芋。焼き芋を揚げたのも、カレーに添えたのも、人生初体験である。あのね……この組み合わせ思いつく思考は神ですよ。神。考えてもみてほしい、店頭でじっくり焼き上げられ、えもいわれぬねっとり感と極上スイーツさながらの甘みをマッシマシにした焼き芋がですよ?外側だけカリッカリに揚がってるんですよ?もうこの時点で圧倒的勝利。なのに、なのに、それをスパイス各種も香り高きゴールデンカレー、それも鶏のジルと野菜のジルとデミソースによって確変起きてるゴールデンカレーをだよ、絡めていただくのだよ?最初の一口頬張った時、全身に雷鳴が轟いて電撃が駆け抜けたつーの!焼き芋の方がより甘いから、それまで甘口と感じていたカレーの辛みが突然先頭に躍り出てくるんだよ!やだもう……なんなのこれ……私、とんでもない扉を開けてしまったよ……


ハイカロリーなカレーに揚げ芋二種、さらに王族ウィンナーというギルティギルティギールティー!な一皿だったにも関わらず、罪悪感は銀河の彼方に消し飛ぶ勢いで忘れて、夢中になってスプーンを動かした。そして気がつけば、お皿の中はすっかり空っぽになっていた。ああ、満腹……やっちまった……でも後悔も反省も今の私の辞書にはない。あるのはただただ、溢れんばかりの幸福感のみ。ごちそうさまでした。大満足!


で、このチキンカレーの残りが今週の絶望的に映えてないお弁当に流用されているんであります。若い頃はね、一週間毎日晩ごはんカレーとか平気でやらかしていたけれど、さすがにこの年になってそれをやっちまうとね……代償として捧げなければならないものが多すぎるのでね。まあお昼ごはんなら大丈夫かなって。


大丈夫かどうかは、おそらく週末あたりに体重計が示してくれることでしょう。

…………。

今日のリングフィット、少し長めにがんばろ。

いただいたサポートは、外で暮らすねこさんたちの生活が少しでもよきものとなるよう、関係団体に送らせていただきます。