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ポークカレー、最強フライポ添え

今夜の晩ごはん、ポークカレー。薄切りにした玉ねぎは、オリーブ油を敷いた鍋で強火で炒める。玉ねぎがしんなりしてきたら火を中弱火に落とし、全体が飴色になるまで炒めていく。この時あまりかきまぜすぎず、鍋をやや放置プレイするような気持ちで面倒を見てやる。しばらく放置しておくと、玉ねぎが若干焦げかけてくる(茶色っぽくなってくる)ので、そしたら焦げた部分をこそげるようにかき混ぜて、また放置。こうすると早めに全体が茶色くなります。我が人生のバイブル『きのう何食べた?』でシロさんに教えてもらいました。



玉ねぎを放置プレイしている間に、豚バラの切り落としを大きめの一口サイズに、にんじんを小さめの一口サイズにカットしておく。

玉ねぎが全体的に茶色くなったら、豚バラを投入。肉の色が変わったところで、今度はにんじんを投入。にんじんに油がまわるくらいまで炒めたら、たっぷりの水を加え、火力を中火に上げる。煮たってきたらアク取りタイム!カレー作りでいちばん好きな時間だわ。アクを取りきったら、料理酒を適当に注ぎ、さらに市販のラーメン用とんこつスープを投入する。餃子さんとこで見かけて以来、これやってみたかったんだ。


いつか新潟にバスセンターカレー食べに行きたい


さらに月桂樹の葉を一枚落としたところで、ふと「とんこつスープのしょっぱさを中和した方がいいのか?」と思いつき、はちみつも少し入れてみる。あとは蓋をして弱火でゆっくり煮込みタイム。


さてその間に、ある意味今夜の主役とも言うべき存在

最強フライポの仕込みだ。



フライドポテトと言えば、つい先日揚げ芋の概念を根底から覆されたばかりのわたくし。そう、おてだまさんのセカイチフライポですね。


七代先まで語り伝えたい聖典

これは本当に世界一の称号にふさわしき逸品だった。ちっちゃなころから芋娘~♪として育ってきた自分は、この聖典と生涯添い遂げる決意を固めたばかり。

だがしかし、揚げ芋の世界は広い。




ポテトはね、どうか一度でいいから皮つき丸のままでレンチンして、冷まして皮剥いてカットして揚げてくれ

餃子さんやぽなちゃんによると、最強という称号を与えられし黄金の輝きが存在するというではないかっ……!

ちっちゃな頃から芋娘と呼ばれて育ち、今や立派な芋女になったわたくしとしては、ぜひとも試してみなければなるまい。涼しくなってきたし今週あたり……なんて思っていたら、先日おじ上殿もジュワーなさっておられた。


これ読んだ瞬間次の揚げ物はタラにしようと固く決意した


さて、敬愛する凄腕勢にならってカチコミだ。

男爵いもは水洗いしたら、水滴がついたままラップでふんわりと包み、レンジでチン。根菜調理モードで、一個あたり3~4分くらいだったと思う。チンが終わったらラップに包んだまま冷ます、というか熱すぎてラップが剥がせないのでそのまま放置。冷めたところで皮を剥く。皮が指先でつるりと剥けたのにびっくり!こりゃあ楽ちんだな?!

皮を剥いたら1cmくらいの厚さに輪切りにしておく。


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このままバターと塩で貪りたい衝動に必死で耐えた。芋女にはあまりに厳しすぎる試練。


じゃがいもが食いたーくて食いーたくて震~える~♪うちに、鍋の方がいい塩梅になってきた。いったん火を止めて、大正義・ゴールデンカレーのルーを投入して溶かす。再び加熱して、いい感じにとろみがついたら火を止めておく。

カレールーができあがったところで最終段階。先ほどいたいけな芋女をたぶらかした男爵を、たっぷりの油でジュワーっと揚げる。


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食いたくて食いたくて死にそう。


お皿にごはんをよそい、揚げたての男爵たちを整列させ、カレーをたっぷりよそってできあがり。


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どーよこの輝き。黄金の風を感じるね?ジョルノ・ジョバァーナが見えるぞ……!



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とんこつスープ入りのカレーに揚げ芋だなんて、ギルティ極まりない組み合わせ。私は大変な罪を犯そうとしているのでは……?!(今更)


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野菜不足感も甚だしいので、お弁当用に仕込みすぎたキャベツとにんじんの即席漬けの残骸を添えた。

さて……

最強フライポ、およびとんこつスープ入りカレーのお味たるやいかに?!(ドドン)


カレーをひとくち食べてみて、まずびっくり!明らかにいつもと違う、コクが段違いで深い!ごくごくふっつーの、玉ねぎとにんじんと豚バラたっぷりの肉々しいおうちカレーなのに、味わいにものすごい奥行きが出ている。これはおいしいな!ちょっと心配だったとんこつスープの塩辛さも、思いつきで入れたはちみつが効いたのか、取り越し苦労でひと安心。市販ルーだけ入れた時よりは、確かに少し塩気も味も濃厚になっているけれど、濃い味好きな自分にはむしろ大歓迎!でも基本はシンプルなおうちカレーで、大げさすぎない味でまとまっているがうれしいなー。スープひとつ入れるだけで、こんなにも変わるのか……ラードなんか入れたら一体どうなっちまうんだ。


そして本日の影の主役、最強フライポ!最強と世界一、いったいどちらが芋界の頂点に君臨する絶対的覇王なのか?!わくわくしながら口に運んで




わくわく気分は即座に消し飛んだ。一瞬前までの高揚感が幻のように霧散し、代わりに猛烈な自己嫌悪が濁流のように押し寄せ、全身を塗りつぶしてゆく。さきほどまで晴れ渡っていた空にみるみる暗雲が立ち込めてゆく、さながら私の胸の内を映し出すかのように。足は震え、もはや自分の身体を支えることすらままならない。両の膝から大地に崩れ落ちると、ふり仰いだ厚い雲の向こうを駆け抜ける稲妻が、すぐ目前に迫ってくるのが見えた。ああ……お迎えが来たのだ。


私は馬鹿だ、大馬鹿野郎だ。

なんと愚かだったのだろう。

最強か、世界一か、どちらがナンバーワンか?


どうでもいい。

心底どうでもいい。


心底どうでもよくなるこのうまさよ!!!!!!



皮をむくひと手間のおかげなのか?セカイチフライポがバリバリだったのに対し、こちらの最強フライポはカリッカリ!かじった瞬間に口の中ではじけた音の軽快さに、ENJOY男爵は鳴り続けるIT'S JOIN届けたい芋の鼓動って私の中のnobodyknows+が一斉に『ココロオドル』を歌い始めた、そんくらいいい音!いい歯ごたえ!そして芯の方は、もういちいち申し上げるまでもないでしょうがあえて申し上げるとトロットロのホックホクなんでありますよ……。分かります?パリパリっとしてカリカリッ!からのとろーんほっくり~。この緩急、この手管手練で、この男爵はいったい今までどれだけの芋女を籠絡させてきたのだ?男爵の湯気の向こうに乙女たちの屍が見えるようだよ……けれど私も今日からあの中に名を連ねるのね……(恍惚)

そして今回はカレーのつけあわせということで、まったく味付けをしなかった男爵たち。していないにも関わらずどちゃくそのバチクソにめちゃんこにおいしい!油断するとカレーの存在をきれいさっぱり忘れて、この塩すら振っていない男爵を永遠に胃袋へと送り込むマッスイーンになりそう。セカイチフライポでも十二分すぎるレベルだったけれど、「芋のうまみと甘みの凝縮度」という点においては、最強フライポが一歩抜きんでている印象だった。これはやはり、レンチンという最低限の水分でできる下茹でをしたからこそ、なのかもしれない。

このけしからん男爵の群れに、とんこつのコクがガンギマリしてるカレーを絡めていただく恍惚感たるや……もはや私のつたない語彙では、言語化すらきわめて困難。至高、そして至福。最強……そうか、これが最強ってやつか……。

こんなのねえ、ひたすら無言で男爵とカレーと白米を口に運び続けるマッスイーン化不可避ですよねえ。気づいた時にはお皿が空っぽになっていた。お腹はこれ以上ないくらいにはつはつの満腹、そして大満足!やっぱりおうちカレーっていいよなあ、としみじみ思いつつ、ごちそうさまでした。


というわけで「世界一」と「最強」の食べ比べをようやく完遂することができた。長々と引っ張った挙句どっちもおいしくて序列とかつけんの無理ゲーという結論を得るに至ったわけであります。両者ともそれぞれ大変なポテンシャルを秘めているので、あとはもう好みの問題だなーと思う。


あくまで、ですが個人的な印象としては

・世界一→より強靭な歯ごたえを楽しむならこっち。さつまいもを使っても脳が馬鹿になる旨さ。皮つきなのもあって表面が非常に堅牢なので、にんにくや醤油、アンチョビなんかでひと味効かせたバターをたっぷり絡めて食べたい。おつまみにするならこっちのバリバリ感が好みだった。ただし口内炎できてる時は避けた方が無難かもしれない。

・最強→素材の持つうまみを貪欲に貪るならこっち。お芋の持つ美点のひとつ、あの甘やかなほっくり感が存分に味わえる。肉じゃがみたいに、砂糖入りの醤油味の出汁をさっと絡めたりしたら立派なごはんのお供になりそう。口内炎できてるけどどーしても揚げ芋が食べたい時はこっちにしたらいいと思う。


揚げたお芋を愛する民は、ぜひ両方とも食してみていただきたい。共に稲妻に打たれようぞ!

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