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感想と紹介「すぐやる人とやれない人の習慣」

以前も途中ながら感想を書かせていただいた「すぐやる人とやれない人の習慣」が今朝読み終わったので、改めて感想と紹介を書かせていただく。

この本のテーマは主題をみての通り、行動力があり、成功している人の習慣を学習することである。著者は高校まで勉強も落ちこぼれで、警察沙汰の事件まで起こしてしまうような状態だったところから、ケンブリッジ大学に合格するといったエピソードの持ち主である。人間にはこういう派手なサクセスストーリーに惹かれる一面があるので、昔の僕もこの物語に興味を引き付けられたのかもしれない。

僕は今回、この本をかなり速いペースで読み終えた。メモを取りながらでも80分で読み切った。なぜかというと僕は速読が得意だから、ではなく、以前に読んだ、DaiGoの「超集中力」と内容が似ているところが多かったので、あまり知らない情報がなかったからである。どちらも心理学の研究に基づいた最新の知見から論説を展開しているので、同じ実験や用語が多いのもうなずける。もしかしたら、この手の本の内容は、大なり小なり差はあれど、ほとんど同じ内容なのかもしれないと思ったりもした。

ただ、これで終わったら何の紹介にもならないので、僕の思ったこの本の特徴を「超集中力」と比較しながらお伝えできればと思う。

内容に関しては、先ほども少し触れたように、どちらも最新の研究結果に基づいた、科学的、心理学的な視点からのアプローチを基本としている。こう聞くと堅苦しいが、ビジネス書なので、文字も大きく要点がまとまっているので理解はしやすいと思う。ただ、説明のスタンスが少し違うように僕には感じられた。「超集中力」では、あまり著者の主観が入らずに、研究のデータや効果、それをどう活用するかを理路整然とまとめているという印象を受けたが、「すぐやる人とやれない人の習慣」では対照的に、自分の体験談がよく語られていた。また、この本の中にはたくさんの成功者の名言が引用されているのも印象に残った。

言うなれば、前者が「科学的知見に基づいた客観的な視点」で書かれているイメージで、後者が「著者の人生経験がもとになった主観的な視点」で書かれているというイメージになるだろうか。もちろんすべてがそうだというわけではないが。あくまでイメージである。どちらが読みやすいか、説得力を感じるかは各々の好みになってくると思う。

さて、紹介はこのくらいにして、感想に入りたいと思う。以前感想を投稿したときにも書いたのだが、今回は批判的な視点で読書をしようと心掛けていたので、素直な感想にならないことを先に断っておきたいと思う。

今回の読書を通して感じたのは、信じすぎることへの違和感である。前述したとおり、この本の主張の根拠は最新の科学的知見である。この「科学的」という文言が持つ効力が過剰なのではないかと思ってしまったのだ。

確かに今の時代に生きていて科学を完全に否定するのは愚かでしかないと思うし、僕が大学で学んでいる学問は何を隠そう化学である。近代の世界と人類の発展は、科学を無視しては語れないとも思う。しかし、科学的なものが必ずしも真実とは限らないのもまた真理のような気がするのは私だけだろうか。

例えば、この本の大切な要素の一つである心理学についても、その論を支えるために実験を行うわけだが、その時の被験者全員が同じ行動をするわけがない。あくまで何回もデータをとって、その傾向を調べて結論としているので、万人に当てはまるわけではないと考えてもいいような気がしたのである。それを「これが科学的に確かめられた真実です。疑う余地はありません。信じましょう」といわれているような気がしてきて、その感覚に違和感を感じてしまった。科学を無条件で信じることと宗教的な妄信が同じように見えてきたのだ。

このような感情を通して、僕が今回の読書で見つけた視点は、「科学を疑う視点」である。もちろんある程度の信ぴょう性は保たれていることは理解したうえで、それでも心のどこかで疑いの目を向けている、そんな自分がいてもいいと思えた。むしろ、疑り深いからこそ自分で検証してみたい、実践して確かめたいと思うこともあるだろう。そうなれば、この本の最大の主張である、行動力につながってくるのではないかと思うのだ。

いかがだっただろうか。この本の紹介もかねているはずなのに、こんなひねくれた感想になってしまった。果たしてこの本の魅力を引き出せているか不安になる。だが、今回は終始疑いの目を通しての読書をした結果、このような感想になった。そこに嘘はないので、後悔はしていない。

もちろん役立つ情報もたくさんあったし、実行したいものも見つけた。もし自分に行動力が欲しいと思った方は、実践すれば確かな成長につながるはずだ。ついでに、今回比較対象とした「超集中力」も載せておきたいと思う。こちらはかなり昔に読んだのだが、これも自分の能力を飛躍させるヒントにあふれている。興味を持たれた方はぜひ読んでみてほしい。

最後に今回は意図的に偏った視点で読書をしてみたのだが、こちらもやってみると同じ本でも全く違う視点が得られるかもしれない。気になった方は試してみてはいかがだろうか。


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