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2023年最新版【創業融資】に積極的な金融機関はどこ?創業融資ランキングやってみた

※この記事は2022年の最新データを反映し、2023年9月に更新しています。

スタートアップの融資を支援するINQの若林( wakaba_office )です。

スタートアップに強い金融機関ってどこですか?
公庫以外に創業融資に積極的な銀行ってあるんですか?

という質問を起業家からよく頂きます。

都度、他の起業家等からの評判ベースでお答えしてきましたが、自分自身もっと定量的に知りたいと考えました。
そこで「創業融資に積極的な金融機関ランキング」を作ってみましたので、シェアさせていただきます。
併せて、ランキングの結果をベースに、起業家が金融機関を選ぶ際のポイントも考察してみたいと思います。

創業期の事業者は金融機関にとってリスクが高いため、信用保証協会の保証を付けて融資取引をスタートすることが一般的です。
(これを「保証協会付き融資」と言います。保証協会付き融資について詳しくはこちらをご参照下さい)
ですので、ランキングのもととなるデータは、中小企業庁が公表している各年度の信用保証協会の保証実績のうち「金融機関別の保証実績」を参照しました。保証実績のうち、起業から5年未満の事業者を対象とした「創業」の、

  1. 融資件数

  2. 総融資件数に対する創業の割合

  3. 融資金額(総額)

  4. 総融資金額に対する創業の割合

  5. 一件あたりの金額

をソートしてランキングにしました。


「創業」の融資件数

まず「創業」の融資件数を見てみます。
2020年度から2022年度まで3年連続で多摩信用金庫(本店:東京都立川市)がダントツの1位ですね。西日本では西日本シティ銀行が強いです。

創業の融資件数

件数ですので、事業者数が多いであろう都市圏の地方銀行や信用金庫が上位を占めています。
注目したいのが、TOP10にメガバンクがランクインしていない点です。

総融資件数に対する創業の割合

「全件数に対する創業の件数の割合がわかれば、本当に創業融資に積極的なのかが分かる」というアドバイスを頂きまして、早速調べて追記しています。
総融資件数が平均以上の金融機関のうち、創業の割合が高い順にソートしました。

総融資件数に対する創業の割合

融資件数で上位のうち、多摩信用金庫、西武信用金庫、川崎信用金庫、西日本シティ銀行などが、創業の割合でも上位にランクインしており、創業に力を入れていることがうかがえます。

なお、2020年度の創業の割合が他年度に比べて低いのは、コロナの影響でセーフティネット保証等(SF4号・5号・危機関連保証等)の割合が圧倒的に多かったためです。

「創業」の融資金額

融資金額の総額ベースでも3年連続多摩信用金庫がトップ。
西日本では件数同様、西日本シティ銀行が強いです。

創業の融資金額

金額面では、メガバンクからは昨年まではみずほ銀行がTOP10にランクインしていしたがが、2022年度はいよいよランク外となってしまいました。その他のメガバンクはやはりランクインしていません。
三菱UFJ銀行はミドル以降のスタートアップの大型シンジケートローンのリードをとっている印象がありますが、創業期には力を入れていない様子です。

総融資金額に対する創業の割合

総融資金額が平均以上の金融機関のうち、創業の割合が高い順にソートしました。

総融資金額に対する創業の割合

沖縄県那覇市に本店を置く沖縄銀行と琉球銀行が上位にランクインしています。ここでも多摩信用金庫、さわやか信用金庫、西武信用金庫、川崎信用金庫、水戸信用金庫等の信用金庫が金額・割合ともに上位にランクインしており、創業に力を入れていることがうかがえます。

一件あたりの融資金額

各金融機関の創業融資金額を件数で割り、一件あたりの融資金額でランキングしました。
(「創業」件数が100件未満の金融機関は除外しています)
ここでは、メガバンクと商工中金が上位にランクインしています。

一件あたりの融資金額

フェーズによって選ぶべき金融機関は変わる

創業融資に強い民間金融機関ランキングから読み取れるのは、事業の成長フェーズに応じて選ぶべき金融機関は変わる、ということです。

信用保証協会の「創業」の対象は「創業5年未満」です。
2023年3月にスタートした経営者の個人保証が不要な「スタートアップ創出促進保証」もまた「創業5年未満」です。
スタートアップだと創業5年で上場したりするわけで、会社によっては5年で大きく成長します。
成長フェーズに応じて、求める融資金額も条件も変わります。成長フェーズによって関わる金融機関を変える必要があるのです。

たとえば、件数のランキング上位の地方銀行・信用金庫・信用組合の1件あたりの融資金額は均すと630万円程。一方、一件あたりランキング上位のメガバンク・商工中金・地方銀行の1,200万円です。
スタートアップに出資する各VCごとに投資スタンスやラウンドが異なるように、金融機関にも対象とする企業の事業規模があります。

たとえば、メガバンクの法人営業部となると、年商5〜10億円以上の会社でないとそもそも対象とならなかったりします。商工中金も年商3〜5億円以上まで事業規模が成長してこないと対象としないケースもあります(※)。
創業まもなく売上のない時期に年商3億円以上を対象とする金融機関にドアノックしても、門前払いされてしまい、時間をロスします。

まずは信用金庫・信用組合・地方銀行からスタート

創業まもなく事業規模が大きくない時期は、地域に根差して保証協会付き融資の取り扱い件数の多い信用金庫・信用組合・地方銀行をお勧めします。
めやすとなる年商規模は3億円未満です(※)。
信用金庫・信用組合・地方銀行は保証協会との人事交流もあったりと、保証協会の取り扱いに比較的慣れています。

次にメガバンク・商工中金など

そして、事業規模が拡大してきたら、商工中金、メガバンクへと取引先を増やしていきます。めやすとなる年商規模は3億円以上です(※)
そして保証協会付き融資から保証のつかないプロパー融資へと移行していくことが理想的です。

まとめ

上記ランキングをまとめたスプレッドシートのリンクを貼っておきますので、ご参照ください。

さて、ランキングの結果を踏まえた選ぶべき金融機関とその流れをまとめますと以下の通りです。

  1. 上記件数ランキングや金額ランキング上位の金融機関から、最寄りの金融機関を見つけ、取引スタート

  2. しっかり返済実績を作り、

  3. 一件あたりの融資金額ランキング上位の金融機関にアプローチ

  4. 事業拡大とともにプロパー融資等へ移行

このような流れでステップアップできると理想的です。


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最後までお読み頂きありがとうございました。


注釈

 金額はあくまでもめやすです。諸条件により、めやすとして提示した金額より小さい年商規模でも融資対象になっている例はあります。


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