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農業と他業種の人材シェアリングは可能か

中小企業診断士のフクダです。
今日は人材不足のお話。

どの業界でも深刻な人材不足



随分前から、どの業界の社長さんとお話しても「人材不足」の話題が出てきます。

飲食業では、コロナで減った社員数がもとに戻らず、学生アルバイトも集まらないため、お客さんが入っているのに定休日を増やしたり、一部店舗を閉店するチェーンも出てきました。
製造業・建築業も急に景気が回復して、現場が回らなくなっています。もともと高齢化が進んでいたところに若年人口の減少、さらに大学進学率が上がって、若い人が「現場仕事」を避ける傾向も追い打ちをかけています。
もちろん、農業界も特にピーク時の人手不足のため、せっかく収穫期を迎えた作物を全部収穫しきれない、という話もよく聞きます。

これまではこういった人手不足に対し、出稼ぎ外国人労働者や派遣労働者などで対応してきました。コロナや円安の影響で、頼みの綱の外国人労働者が去った2020年頃からは、各業界とも否応なしにDX化、ロボットの活用などが進んでいます。
しかし、それでも、それでも人手が足りない。という悲鳴が、各社から聞こえます。

農業界の「農閑期やることがない」問題

以前、地元の生産者と話していて、こんなことがありました。

順調に栽培規模も売上も拡大してきて、そろそろフルタイムの従業員を雇いたいと思っている。しかし、栽培している作物は春から秋までが作業のピークで、冬場はほとんどやることがない。遊ばせておくわけにもいかないから何か冬場の仕事を考えないと…

こんな話をあちこちで聞きました。
例えばハウスのトマト農家は2月から5月くらいが死ぬほど忙しくて、7月から9月までは何もすることがないとか、逆にコメ中心の農家は冬場にやることがない、といった話も。
「オフシーズンに栽培できる作物を考えたい」というご相談も結構あるのですが、寒冷地などは無理して栽培しても、暖房代がかさむだけです。

農業人材と他業種のシェアリングはありか?

だったら、農業人材と他業種のシェアリングが出来ないだろうか?
ここ数年、ずっと考えていたことです。

かつて、農業の世界では「兼業農家」「出稼ぎ」は当たり前のことでした。
また、私の知っている新規就農者はほとんどがWワークで、農業以外にもWeb関連などスキルを生かした仕事を持っていたり、体力を生かして倉庫作業やデリバリーなど、高収入のアルバイトをしています。
これを、もっと上手に、企業単位でマッチングできないだろうか?
例えば、年末に繁忙期を迎える会社と、年末に業務が少ない農業法人が連携して、双方の忙しい時期に人を交流できないだろうか?

私の知っている例では、秩父の大きなキノコ工場で、冬場に地元の農家を大量に雇用していました。
日本のキノコは椎茸を除き99%が工場栽培です。だから1年中安定して収穫できるんですが、需要が伸びるのは鍋物シーズンの秋冬。秩父の山間地は冬場にできる農作業が限られるので、地元農家にアルバイトとして手伝ってもらっていたのです。

また、調べてみると農業人材派遣の企業と、リゾート人材派遣の企業が連携して「観光」と「農業」の人材交流をしている例もありました。

特に埼玉県や北関東あたりは、大きな物流拠点や工場もありますし、大きな農業法人もあるので、交流がしやすいのではないか?と思っています。
また、農業と飲食業は馴染みが良いので、繁忙期が重ならなければ双方の人材交流は相乗効果も期待できそうです。
もちろん、繁忙期のマッチングや教育訓練、働く方々のモチベーションなど、解決すべき課題は沢山ありそうですが、今後何らかの形で実現できたら良いな、と考えているところです。


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