見出し画像

【エッセイ】リメンバー房州鮨🍣、絶滅寸前の千葉県館山名物を忘れない、白浜屋本店で房州鮨を食べてみた!

忘れていた房州鮨

もう何十年も忘れていた房州鮨
なぜか急に思い出した。
このでっかい にぎり鮨は、千葉県館山の名物だったはず。

忘れていた間に、房州鮨をだす店は、3軒にまで減っていた。
もう絶滅寸前まで追いつめられている?!
でもかろうじて、食べられる店が残っていた。
ギリギリセーフで思い出したのかもしれない。

子どもの頃から成人するまで、お盆、正月、祭りの日には、よく房州鮨の出前をとって食べていた。特別な日のごちそうだった。

子どもの口では、でっかすぎて一口では食べられないし、1人前を食べきるのも無理だった。

残った鮨は、ネタとシャリを分けて冷蔵庫へ。
翌日、シャリを焼き網にのせてコンロで炙ったり、レンジでチンして、ネタをのせて食べるのが定番だった。

今でも、昔からの習慣で、特別な日には にぎり鮨を食べる。でもそれは房州鮨ではなく、いつの間にか回転寿司やスーパーの寿司にすり替わっていた

⬇️館山の房州鮨についてはこちらをどうぞ!


白浜屋本店で房州鮨を食べる

長い間、房州鮨を食べてないけど、今、どうなっているのだろう?
なくなってしまう前に、もう一度食べてみたい。

ということで、今年のお盆は、房州鮨を食べることにした。

選んだ店は白浜屋本店。創業は大正8年、100年をこえる房州鮨の老舗だ。
念のため事前に席を予約しておいた。

開店の11時に店に到着。
年季の入った歴史を感じる大きな外観で、その割に店内はカウンター6席と座敷6席でこじんまりとしていた。
空いていたカウンター席に案内された。

白浜屋本店の歴史を感じる建物

開店直後なのに、すでに先客が2組。カウンター席の右隣りのお客は、早々にビールを飲んでいる。
すぐにもう1組きて、お客は8名になり、小さな店内は、ほぼ満席になった。

白髪まじりの店主が1人で接客と調理をしている。お茶を出したり、注文をとったり、電話に出たり、鮨をにぎったりと、とにかく忙しい。8名のお客にてんてこ舞いの様子だ。

注文は、でっかい鮨を想定して、6貫の地魚寿司ランチにした。

店主から「かなり大きいですが大丈夫ですか?
小さくもできますよ
」と、声をかけられた。

房州鮨を食べにきたので、
もちろん「大きいのでお願いします!

地魚寿司は市内の他店より3割くらい安い
ちらし寿司や巻物も注文できる

ホワイトボードにあった、ハマグリの酒蒸しも注文してみたら「すみません、手一杯で鮨以外はできません」と返事がかえってきた。
そうだよね、どうみても他の料理を調理する余裕はなさそうだ。

カウンターの目の前で店主が鮨をにぎっている。
1つ1つネタを切り出して、丁寧ににぎって、
1人前の鮨がそろってからお客に出していく。
15分くらい待って「おまちどうさま」と鮨を渡された。

地魚寿司ランチ
ワカメのお吸い物と温泉卵が付いていた
店主が地魚のネタをササッと書いてくれた

やっぱり、期待通りでっかい にぎり鮨だ。写真だとわかりにくいけど、通常の2〜3倍はある

手前のスズキから、自家製という土佐醤油をつけていただく。
シャリは温かく甘め、フワッとして崩れやすい。白身で上品なスズキとシャリが一体になってる。ん〜、さすが、にぎりたての鮨って美味しい!!

しかしこれは、、、
口に押し込まないと一口では食べれない。房州鮨は一口でいくと口の中がいっぱいになる。
昔、食べたときもこんな感じだった。懐かしい。

今回はじめて食べたのが、アワビの肝の軍艦。
見た目が黒いので、おそるおそる口に入れた。
臭みや苦みはない。磯の香りが広がって濃厚で、大葉が後味をスッキリさせる。

よかったのがカツオ。キレイな赤色で鮮度がよさそう。脂がのって旨味もあり味が濃い。普段食べるカツオより美味しく感じた。

カンパチもキンメもアジも、美味い魚の代表のようなもので、地魚で鮮度がよければ、当然、味は間違いない。

でっかい鮨を次々に口に入れ、モグモグしながら、黙ってモクモクと食べた。
通常サイズの にぎり鮨なら6貫では足りないが、
ここのは食べごたえがあって十分満足だった。

白浜屋本店は、店主1人で切盛りする小さな寿司屋だった。時代が変わる中、昔のスタイルのまま営業していた。
このまま残って欲しいけど、厳しいかもしれない……、ふと、そんな風にも考えてしまった。

忘れたくない房州鮨

館山は、鮨のまち、といわれてきた。それを支えてきたのは、街の小さな寿司屋と房州鮨だったのではないか。

でも今では、かつての半分くらいまで寿司屋の数が減って、中でも房州鮨を出す店は絶滅寸前だ。

今残っている房州鮨の店は、ニーズの変化に耐えて、代替わりを乗りこえてきた奇跡の3軒ともいえる。

名物には、その土地の歴史や文化ものっかっていることもある。そして、人々の思い出もたくさんあるのだろうと思った。

これからは、特別な日の にぎり鮨は、忘れないように房州鮨にしようと思う。
さっそく、11月にある法事の会食は、房州鮨の店を予約した。

千葉県館山の名物は、まだ少しの間、食べられそうな気がしている。

お読みいただきありがとうございました🍀

⬇️館山で房州鮨を掲げる店はこちら!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?