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『冴えない彼女の育てかた』シリーズ 【2015年アニメ/アニメ/邦画/ラノベ】

【感想】2020年7月15日

部活シリーズ 第17弾 
『blessing software』(サークル名)

もう約10年前の作品になります。この作品も主人公がゲーム制作に情熱を注ぐ熱血オタク。学園ラブコメお約束のハーレム状態になるやつです。
ゲーム制作でも映画のように、映像、脚本、音楽とクリエイティブセンスが重要な
仕事とこの作品で知りました。
また、この作品の魅力は、学園ラブコメのキャラ設定がセオリー通り、安芸 倫也は、熱血ゲームオタク、加藤 恵、可愛いと綺麗が中途半端に同居し、控えめで消極的だが、チクリと苦言を呈する。英梨々、金持ち金髪ツインテール、優等生ツンデレタイプ。霞ヶ丘 詩羽、一度しゃべりだすとドS本性むき出で相手を攻撃する、暗黒美女や黒髪ロングの雪女と呼ばれている。
ファンから高評価の名作。では、また。

【作品情報】

丸戸史明氏のライトノベル。イラストは深崎暮人氏が担当。略称は「冴えカノ」
第1期『冴えない彼女の育てかた』
2015年1月~3月まで放送
第2期『冴えない彼女の育てかた♭』
2017年4月~6月まで放送
劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』2019年10月26日に公開

【主要人物】

安芸 倫也(あき ともや)

声 - 松岡禎丞

私立豊ヶ崎学園2年B組、進級後は3年F組。『blessing software』では、代表者を務めている。1作目のゲームを企画してプロデューサーとディレクターを務め、スクリプト作成とシナリオ作成も一部担当した。
2作目のゲームでは、企画とシナリオ作成を担当する。『icy tail』ではマネージャー。筋金入りのオタクで、学校でもそれを公言しており、目の前の人物をギャルゲーの典型的登場人物と比較して評することがある。どこに行っても物怖じしないので誰とでも溶け込める。恵から「コミュ力の高いオタク」と評されている。
仕事人間ではないが、好きなゲームやアニメBDの購入のためならば、アルバイトに精を出すこともいとわない。1年の学園祭でアニメ上映会を行った際は、学校から上映の許可を取るために、毎日のように職員室に通い、教頭ともやりあって注目を集めた結果、学校の三大有名人の一人となった。一方で18禁作品には、英梨々が描いたものであっても決して手を出さず、転売で儲けるようなことやイベントのマナーを破るようなことは決してしないため、詩羽に名前をもじり「倫理(りんり)君」と呼ばれる一因となっている。恵以外のヒロインたちから(捻くれた)恋愛感情を向けられているが、一切自覚なし。そもそも「自分みたいなキモオタに三次元の彼女は出来るはずがない」と端から恋愛を諦めている節があり、むしろ、彼女たちを自分が信望する至高の存在、自身をモブキャラと認識している。しかも、本来は超草食系男子であり、同人制作の目的以外では女性(三次元の)と接する時はうぶ、奥手で、ヒロイン達に迫られるとすっかり焦燥して立ち尽くしたり、詩羽らに冗談交じりに手や体を触られた時には怯えるほど。恵だけは唯一倫也が恋愛感情に自覚が無いことを理解しており、淡白な関係を築いている。

加藤 恵 声 - 安野希世乃

豊ヶ崎学園2年B組、進級後は3年A組。『blessing software』では、メインヒロイン担当であり、スクリプト作成も一部担当し、2作目では副代表も務めている。なお、メインヒロイン担当が何を意味するかは明確にされていないが、倫也の彼女という意味ではなく、あくまでメインヒロインのモデル、元ネタなどの意味。目鼻立ちが整っていて可愛いと綺麗が中途半端に同居した容姿だが、印象が薄いために恵が倫也に名乗り出るまで、倫也はバイト中に出会った相手が恵であることに気付いていなかったどころか、恵の名前すら知らなかった。一方で、1年の時、倫也と別のクラスだった恵は、当時から倫也のことを知っていた。外出の誘いなどに気安く応じ、会話は弾むが、ギャルゲーなどのフラグに相当する展開に対して、特段とそれを意識する様子を見せずに、フラグを折る言動をする。オタクについての知識が薄く、倫也が多用するオタクネタをまったく理解できなかったり、ドン引きしたりすることがあるが、それを理由に倫也を遠ざけるようなことはしない。他のヒロイン達が倫也に捻くれた恋愛感情を向ける中で、唯一倫也と淡白な関係を築いている。英梨々に倫也とのデートにすっぽかされたことをからかわれた時は嫉妬の表情をみせたものの、それ以外では他のヒロイン達が倫也に強引なモーションを掛けているのを傍観していたりと、全く何を考えているか分からない掴みどころの無さがある。次第に倫也と距離が縮まって行くうちに、趣味や同人活動に没頭する倫也の世話を焼くようになり、夫婦のような関係へと変わって行く。

澤村・スペンサー・英梨々(えりり)声 - 大西沙織

イギリス人の父と日本人の母を持つ、小柄なハーフの美少女。豊ヶ崎学園2年G組、進級後は3年F組。『blessing software』では、1作目のゲームのキャラクターデザインと原画と背景担当を務めている。いわゆるツンデレキャラ。美術部のエースだが、第二美術準備室を私物化して、そこで密かに自分の趣味の絵を描いている。金髪ツインテールで、瞳が青く肌が白い。家は金持ちだが、学校ではそれを鼻にかけず、お嬢様のような可憐な言動をとり、同級生を「さん」付けで呼んで分け隔て無く優しく接している。そのため人気は高いが高嶺の花のように思われていて、学校で接触するのは同じ美術部員くらいであり、校外で接触する友人はいなかった。一方で、学校関係者にほとんど知られずにいるがオタクで、男性向け凌辱もの18禁を含めた同人誌やイラストも描く新進同人イラストレーターとして活動していて、その事情を知る者へは傍若無人な本性を見せる。18禁同人誌を描くのは「そのほうが売れるから」と公言しており、同人の題材に選ぶのも、その時々の売れ線のものばかりだが、クオリティには決して手を抜かない。倫也の幼なじみで、彼に対してはずっと好意を抱き続けている。倫也をオタクに引き込んだ張本人でもあり、かつてはよく倫也の家に遊びに来ていた。また、特に倫也搦みとなると精神的にもろい面が多く、詩羽に言い負かされて涙目になったり逃げ出したりすることが多い。またそのもろさが、クリエイターとしてのモチベーションなどにも大きな影響を与えることがある。柏木 エリ(かしわぎ エリ)英梨々がイラストレーターとして同人活動をする時のペンネーム。学校関係者には殆ど知られていない。

霞ヶ丘 詩羽(かすみがおか うたは)声 - 茅野愛衣

長く艶やかな黒髪を持つ美女。豊ヶ崎学園3年C組、後に早応大学へ進学。『blessing software』では、1作目のゲームのシナリオ担当を務めている。豊ヶ崎学園に入学以来、卒業まで常に学年一位を誇る優等生で、下級生が憧れる存在。ほとんど表情を変えない。普段は無口で物静かだが、美人でスタイルも良いため、人目を引いて目立っている。しかし一度しゃべりだすとドSな本性をむき出しにし、相手を攻撃する問題発言を多く口にする。そのため「暗黒美女」「黒髪ロングの雪女」といった異名のもと同級生や教師に恐れられているため、学校ではほとんど話しかけられることはなかった。学校関係者にほとんど知られずに新進ライトノベル作家としてデビューし、活動している。物語のプロットを書く時、自らが作った登場人物に憑依されたような言動をすることがある。担当編集の町田は「夢見る乙女で、本当の恋を知らず憧れている。そんな自分が大嫌いでコンプレックスの塊であり、妄想で解消してた超ヤンデレ」と表している。ヒロインたちの中では最も狡猾で当初から倫也に腕を絡めたりトラブルで落ち込んでいる時に後から抱きついたり、と体を触れる程度のスキンシップを行っていたが、『blessing software』参加後から次第に倫也へのアプローチがエスカレートして行く。しかし素直な感情表現が出来ないため正直に思いを告げる純粋な告白が出来ず、英梨々などからは「口先だけのチキン」「ヘタレ」などと表されている。英梨々を見ると嗜虐心をそそられて挑発し、毒舌を吐かずにいられないでいるが、イラストレーターとしては高く評価している。霞 詩子(かすみ うたこ)詩羽のライトノベル作家としてのペンネーム。ほとんどの学校関係者に知られていない。

【あらすじ】

第1巻

春休み、アニメグッズ購入費用を得るためにアルバイトしている高校生・安芸倫也は、桜の舞う坂道で出会った少女に興味を抱き、彼女をメインヒロインのモデルにした同人ゲームの作成を思いつく。
1か月後、倫也はその少女が名前すら知らないクラスメイト・加藤恵であることを知った。
筋金入りのオタクだがイラストもシナリオも書けない倫也は、同学年の美術部エースで隠れオタクの新進同人イラストレーター・澤村・スペンサー・英梨々と学年1位の優等生の先輩で人知れず新人ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、恵の協力でなんとか同意を取りつけ、コミケ参加を念頭にサークルとしてゲーム作りを始める。

第2巻

合わないスケジュール、乏しい予算、仲が悪いメンバーに四苦八苦しながらも、倫也達はゲーム制作を進める。詩羽は恵に準じたキャラクターをメインヒロインに据えた伝奇系ゲームのプロットを作る。倫也は一抹の疑問を感じてそれを受け入れられないが、明確な理由を示せない。そのまま過ぎていく日々に、英梨々と詩羽は不満を漏らす。
恵を伴ってショッピング施設を訪れた倫也は、詩羽のプロットに日常に戻る結末が足りないことに気づく。過去、詩羽の作品を詩羽と語り合うようになっていた時期がある倫也だったが、詩羽の求めを拒絶したことをきっかけに、数ヶ月間、音信不通になったことがあり、その再発を防ぐため、プロットの不足点を早急に詩羽に告げようと、恵を置き去りにして詩羽の元に出向いた。
プロットの不足点について倫也から説得を受けた詩羽は、過去を捨てて日常に戻る結末も選べる変更作業を倫也とともに行い、恵に準じた薄いキャラの描写に苦労しながらも倫也とのモノ作りの楽しさを再確認し、倫也をクリエイターとして認めて歓迎した。
一方、中途半端にキャラが薄い恵の特徴をなかなか掴めずキャラクターデザインに苦戦してきた英梨々は、置き去りにされた恵が不満顔を見せたのを捉え、特徴を掴む。

第3巻

一学期の終業式の日、倫也は二学年下の波島出海と再会した。かつて倫也がオタクな精神や知識を叩き込んで愛弟子と呼び、それに応えてゲームやアニメ三昧の人生を送るようになった出海は、個人サークルで夏のコミケに参加しようとしていた。
そんな中、出海の兄・波島伊織が率いる大手サークル『rouge en rouge』が、英梨々の引き抜きを図るが、英梨々はそれを拒否し、自分のサークルの同人誌作成の合間を縫って、倫也達とのゲームの原画作成を続ける。
夏のコミケが始まり、自らのサークル設営のために参加した英梨々は、その日、島中で参加して完売した出海の作品を見て、倫也がその作品の凄さを高く評価していることに嫉妬し、過去のいじめをきっかけとした倫也との仲違いを思い出して涙を見せ、倫也と距離を取ろうとする。
コミケの後、恵と詩羽などからの協力で、いじめを受けていたころの倫也の本音を知った英梨々は、倫也から、絵描きとしての速さ、上手さ、安定を評価され、さらに凄さを求められていることを知り、その「凄さ」を身につけ、倫也を自身の信者にした時に仲直りできると考えるようになり、出海に“宣戦布告”した。倫也達はサークル名を『blessing software』に決め、冬のコミケに申し込む。

第4巻

原画とシナリオの進捗に伴い、倫也がスクリプト作成と音楽担当探しを始めたころ、倫也の従姉妹でバンド『icy tail』に属する氷堂美智留が、両親からバンド活動を反対されて家出し、倫也の家へ転がり込んできた。オタクに無理解ながらアニソンやゲーソン風の曲を作る美智留を気に入った倫也は、美智留を『blessing software』へ誘う。しかし、美智留は、自らのバンド活動継続の危機もあり、倫也が誘うオタク活動に興味を持てず拒否。逆に、両親からバンド活動継続の条件として、お目付役としてのマネージャーをつけることを提示され、両親からの信頼が厚い倫也をバンドのマネージャーとして誘い、倫也の同意を得た。
その後、倫也が『icy tail』のマネージャーとして設定した初ライブの開始直前、美智留は他のメンバーが全員オタクで初ライブもアニソン・ゲーソンライブであることを知り、動揺するが、結局は、それを受け入れ、バンド活動継続と、『blessing software』への参加に同意する。

第5巻

詩羽は、1つのゲーム内に共存困難な2つのシナリオを完成させ、どちらを使うかの選択を倫也に迫る。そのころ、『rouge en rouge』が冬のコミケに向けて『blessing software』と同ジャンルのゲームを作っていて、その原画担当が出海であることが知らされる。
シナリオの選択に困った倫也は、恵などからの助言と協力でそれらのシナリオをゲームに組み込んだテストプレイを行い、どちらを選んでもゲームのシナリオとしては大きな問題があることを知り、改善案をまとめる。詩羽は、倫也からの指摘とテストプレイを通じて、それらの問題点を認め、数日の徹夜を伴う大幅な修正作業を行い、両方のシナリオをゲームに盛り込むことにした。加えて、倫也が書くことになった主要登場人物全員に脱落者が出ずに大団円となる別のシナリオの監修をし、それも含めたシナリオを確定版とした。

第6巻

確定が遅れた上に増えたシナリオへの対応と、追加シナリオに適した新しい描画手法の試行錯誤のため、自らをカンヅメにして、締切直前まで原画作成に取り組んだ英梨々は、作業完了直後に倒れる。英梨々の看病に訪れた倫也は、その原画の「凄さ」を高く評価し、英梨々と仲直りを果たす。
倫也が英梨々の看病を優先させたために『blessing software』は出展規模を縮小せざるをえなくなったものの、なんとか冬のコミケでゲーム『cherry blessing〜巡る恵みの物語〜』の頒布を行い、大きな反響と高い評価を得た。しかし、英梨々が倒れた際の倫也の対応を巡って、倫也と恵の間に亀裂が入る。
英梨々は、ゲーム完成後、『cherry blessing』の最終作業で使った新しい描画手法を再現できず、スランプに陥る。

第7巻

ゲーム作り終盤に力尽きて倒れた英梨々を見たことがトラウマを呼び起こした倫也は、依然としてスランプから立ち直れない英梨々に、描くことを再開するよう強く求められないでいた。
そんな中、倫也は『cherry blessing』が自分の作りたかった内容から離れて英梨々や詩羽に引きずられた作風になっていて、恵をゲームのヒロインにできなかったことに気づく。そして、原点に帰って、恵を自分が求めるメインヒロインにするための新作ゲーム『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた(仮)』の企画書を作成し、恵に対して、英梨々が倒れた際の自身の対応を詫びるとともに、新作作りへの参加を求める。
一方、自身のクリエイターとしての成長を求める英梨々は、詩羽経由でもたらされた大手ゲームメーカーからのオファーをきっかけにスランプからの脱出を果たす。そして、そんな英梨々と組みたい詩羽は英梨々とともにそのオファーを受け入れ、倫也とのゲーム作りから離れる決断をする。倫也と恵は、1年前と同じ桜の舞う坂道で、英梨々と詩羽なしでも新作を作ることを決意する。
3年に進級した倫也と恵は、『rouge en rouge』を辞めた出海が自分達と同じ豊ヶ崎学園に進学してきたことを知る。

第8巻

英梨々と詩羽のサークル脱退から1ヶ月を経て、出海を新メンバーに迎えた倫也は、恵・美智留とともに新生『blessing software』として活動を再開し、次の冬のコミケでの出展を目指して、新作ゲームのスケジュールを作る。恵は、プロデューサー・シナリオ作成などを兼任する倫也の過負荷を懸念する。
そんな中、倫也は、英梨々や詩羽と、お互いの活動状況などをやりとりするようになっていく。しかし、恵は英梨々と距離をとり続ける。
ゲーム作成の打ち合わせに出海の家に訪れた倫也は、居合わせた伊織との会話の中で、自身が企画とシナリオ作成に専念するために伊織をサークルに勧誘することを思いつき、新作のプロットを見せて協力を要請するが、「これじゃ、売れない」といったんは断られる。その後、徹夜でプロットの問題点を見つけた倫也と恵は、その解決のために、10ヶ月前と同じショッピング施設にデートを模して訪れた。それを元に改訂されたプロットを評価した伊織は、『blessing software』と『icy tail』のプロデュースなどの担当を受け入れた。一方で倫也は英梨々に頼まれたこともあり、英梨々と恵の仲裁に動く。

第9巻

英梨々のイラストレーターとしての大きな成長を目にした恵は、一時は倫也のとりなしで会おうとしていた英梨々に距離を感じ、再び避けるようになった。一方出海も、無意識のうちに今の英梨々の絵柄に引きずられ、スランプに陥ってしまう。
そんな状況を倫也より聞かされた美智留は、詩羽に連絡。詩羽は、生の英梨々という人物を恵に伝えるため、そして絵柄を考えないほど物語に出海を引き込むため、倫也と英梨々自身の話をシナリオにすることを倫也にアドバイスする。
倫也は英梨々とチャットで昔話をしながら、幼いころに何があって、その時どう思っていたかをお互い語り合う。その話を元に、倫也は『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた(仮)』サブヒロインのシナリオを書く。

第10巻

出海が、取材を兼ねての『blessing software』メンバーによる合宿旅行を提案。だがそれに“ゲーム内ヒロインのモデルになった”という理由で英梨々が、さらに“自分もヒロインのモデルになれば問題ない”と言って詩羽まで参加することになった。
ところがその旅行先に、『blessing software』から英梨々と詩羽を引き抜いた張本人である紅坂朱音が車で乗り付けてくる。そして、英梨々と詩羽が旅行出発直前に提出していた、紅坂がプロデュースしているゲーム『フィールズ・クロニクル』の絵やシナリオについて、倫也の目の前でダメ出しを始める。
そして倫也の予想に反し、英梨々は口汚いダメ出しに耐え、時には真っ向から反論して紅坂のほうに譲らせるという強さを見せた反面、詩羽は心が折れるほど紅坂に罵られて、自分の書いたシナリオをほぼ全面的に否定される。その結果リテイク作業のため詩羽は合宿を切り上げて早々に帰ることになり、彼女を気遣って英梨々も共に帰った。
その後『blessing software』自体の取材合宿は滞りなく終了したが、倫也は詩羽のことがずっと気がかりだった。そのことを恵に見抜かれていた倫也は後押しされ、詩羽に立ち直ってもらうための『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた(仮)』の、詩羽をモデルにしたサブヒロインのシナリオを、自分と詩羽の出会いや関係などを元ネタにして書く。

第11巻

倫也は、自分をないがしろにされたと出海と美智留が思うほど、順調すぎるくらいに後輩ヒロインと従姉妹ヒロインのシナリオを書き上げた。その出海と美智留も、自分が担当する絵と音楽で、モチベーションを上げてそれぞれ作業を進めていた。
ところが倫也は、伊織のアドバイスで最後にまわしていたメインヒロインのシナリオに手を付けようとした途端、突然筆が進まなくなってしまう。紅坂朱音にそのスランプの原因を指摘された倫也は、メインヒロインのモデルである恵と電話などで話をして意見などを聞きながら、改めてメインヒロインのシナリオを書き始める。

第12巻

紅坂朱音が病気で倒れ、その情報が倫也のもとにも届いた。英梨々も詩羽も知らされていなかったが、ゲーム『フィールズ・クロニクル』のスケジュールは危機的状況にあり、紅坂は制作会社と交渉して、締め切りを延ばすよう要求しようとしていたところだった。
倫也は、英梨々と詩羽が作るゲームが最高のものになるようにと、恵に反対されつつも『blessing software』の自分の作業を一時中断し、紅坂の代役を務めようとする。
その作業の傍ら、完全に機嫌を悪くしてしまった恵に向けてのメールを書くうちに、その内容をメインヒロインのシナリオに組み込むことを思いつく。

第13巻

倫也は恵に告白。その時の出来事も参考にしつつ、ついにメインヒロインを含めた全シナリオを書き上げる。
それから『blessing software』の全メンバー、さらには詩羽や英梨々の協力も受けて総力を挙げ無事にゲーム『冴えない彼女の育てかた』を完成させて、冬コミに出展し、頒布した。
一方、英梨々や詩羽を“振った”ことになった倫也は、ふたりとの新たな人間関係構築を試みる。また、大学受験に失敗した倫也は、今後の進路について考える。

その後

倫也は1年遅れで恵と同じ大学に進学。その後出海も同大学への合格が決まり、受験活動などが落ち着いた皆によって『blessing software』は再始動。外注の仕事やオリジナルゲーム制作を行う。また『blessing software』は法人化し、倫也が大学4年生にして社長、恵は副社長となった。
一方、自分たちの失恋談を元ネタとした小説『世界で一番大切な、私のものじゃない君へ』の大ヒットにより、著者の詩羽とイラスト担当の英梨々はさらなる成功を収める。また英梨々は、自分に大きな仕事のオファーが来ていることを詩羽に報告し、自立のためにも詩羽とのコンビを解消。一方で『blessing software』にて再会することを詩羽と誓う。
その後詩羽は、『icy tail』を元ネタにしたガールズバンド題材の小説をまたもヒットさせ、その実写映画化時、劇中に出演するアーティストのひとりに美智留を指名。これがきっかけで美智留はメジャーデビューを果たす。
『blessing software』の面々は以前と同様、主に倫也の自宅で作業をしていたが、さすがに手狭さを感じていた。そこで倫也は恵を、英梨々と詩羽にも来てもらうことを前提とした新オフィス候補であるマンションの部屋に連れて行く。さらにその後倫也は、隣の部屋を「自分と恵の部屋」として紹介、さらに恵に婚約指輪を渡す。


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