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【新作小説】『君を守りたいseason3』   ⑤食糧省 味見ひろみの活躍

前回までの「君を守りたいseason1~3」

BGMを聞きながらどうぞ(2分)

すべてのサービスが無料となり、国民はしばらく毎日のように豪華な食事を楽しんだ。だけど、1年もしたら、素朴で懐かしいお母さんの味に飢えていた。

そんなとき、元飲食店の店長たち100人以上が、食糧省大臣 ひろみの元に直談判にやってきた。


「皆さん、お待たせしました味見ひろみです。直談判とのことですが、どのようなことでしょうか?」

「お忙しいところすみません。実は、町中華とかしていた料理屋のじいさん、ばあさんたちが、店がやりてぇって騒いでまして、ロボットの料理は上手いけど愛がねぇって言ってましてね」


「なるほど一理ありますね」
「それで、じいさんら、俺ら金なんか要らねぇんだ、客がうめぇーって喜ぶ顔が見てぇんだ、生きがいなんだよぉーって泣いてるんだよ、どうかな、何とかなんないかなぁーねえちゃん、おっと、味見大臣」


大臣ひろみが、少し考えた。
「わかりました、お店を作りましょう!」「それで、店舗はどれくらい必要でしょうか?」

「そーさなぁ、200もあれば十分だね」「分かりました、今から建設着工を依頼します」
秘書のドロイドを呼び、志朗大臣に電話するよう指示した。


「はい、一文字です」
ドロイドが志朗の顔で応答した。

「お疲れ様です。味見です」
「どうしました?ひろみさん」
「実は、急いで建設して欲しい案件がありまして」
「どんな建物ですか?」
「サッカーが4試合同時に出来そうなスタジアムで、その中に町中華のような料理店舗200件、その他祭りの出店的な店も100くらい入れて欲しいんです」
「そこで、お祭り、花火とか、イベント、スポーツが出来る会場にしたいんです」「わかりました。今から取り掛かります。今晩、食事でもしながら計画を練りましょう、では、また」


ドロイドの顔が元のドラマ「異世界居酒屋のぶ」の店主、大谷良平さんの顔に戻った。

「大臣、ありがとうございます!ばあさんたちも喜びます。なんせ生きがいですからね」
「なるほど、そうか!そのお店たちと料理ドロイドを勝負させましょう。それと上位3位の料理店店主を大学教授の資格を与えましょう、そして弟子を育てましょう」

ひろみは、直談判しに来てくれた店主たちに感謝し、これからの展開にワクワクした。直談判の店主たちは、自分たちの考えていた解決案以上のスケールとスピードに時代が変わったことを実感した。そして、このことはその日のネットニュースで公表された。

⑥につづく



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