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アートをめぐるあれこれ

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さすがに長く生きていると色々考えてきた。 文章にすることで少しずつ思考をまとめようとしたら、 書き散らしているだけだなこれは。
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#自画像

顔考

顔考

昔、石膏デッサンの下手なやつは、どの像を描いても顔が本人に似る、という都市伝説があった。

これには多少のエビデンスがあって、誰でも人生で一番よく観察している顔は、たぶん自分自身の顔なので、無意識のうちにそれが出てくる、という理屈である。

毎朝鏡で見る顔こそが、ベーシックなものとして、意識に刻み込まれるのではないか、というわけだ。

確かにわたしの経験では、生徒に自画像を描かせるのと、二人組にし

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サルの絵

サルの絵

遠い昔の学生時代。

私が卒業制作に描いた絵は「ヒューマニズムと自然」というタイトルでした。
ずいぶんと哲学的かつ難解で、今となっては自分でもさっぱり理解できないんですが、まぁ、ずっと過去のことです。きっとあの頃は、少しばかり賢かったのでしょう。

で、その高尚なテーマのもと何を描いていたかと言えば、「サル」の絵なのです。いったい何でサルだったかはここには書きませんけれど、もちろん当時の私のなかで

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