Louis Armstrong - What a Wonderful World / この素晴らしき世界 - 1967
大好きなバンドとかミュージシャンで、洋楽に関してはこのblogを書き始めた頃に、かなり勢いづいて語りまくってしまったのですが…まだまだ語っていない人、取り上げていない人もいまして、サッチモもその一人でしたねー
忘れてたわけではないのですが…
はい、エラの時に少し触れたかな。
サッチモは好きとかを超えて、レジェンドであり、憧れの大好きなトランペッターです。
この人はミュージシャンとしてのその技量、シンガーとしての存在の素晴らしさだけでなくて、何ていうか…
人としてそこに存在しているという、それだけで素晴らしい魂の輝きを放っている方なのでした。
この人間的な深み、魅力は一言では語りつくせません。
彼の奏でる音、とてもハスキーで、味のある個性的な声とその笑顔の裏には、人の世の悲しみと生きることの辛酸を舐めつくしたかのような、言葉ではいい表せないすべてを超えた感情が含まれていて…
とにもかくにも、彼の声と歌声の中には、そこに彼の人生のすべてが包括されていて、すべての物語がありますって…
そんな風にしか言えない。
サッチモのあの愛嬌のある目は、すべてをあきらめて期待することをやめてしまった諦観の中に、わずかに残った希望の光を見出そうとしている…そんな翳りがあって。
彼の歌には泣かされるしかないのです。全身から出てくる彼の、人と成りのエナジーの前では、昨今で売れている陳腐なミュージシャンが歌うヒット曲なんて、雑音でしかなく・・・
薄っぺらな内容のない人物像や、その人生のカケラも含まれていないものなんだって…そう痛感させられてしまう。
「La Vie En Rose / バラ色の人生」
お馴染みエディット・ピアフの代表曲のカバー
サッチモことルイ・アームストロングスは、ジャズの本場、ニューオリンズの貧民街に生まれて、子供の頃、祭りに浮かれてピストルを発砲してしまったことから少年院行きに。
その少年院のブラスバンドで、コルネットを演奏したことがきっかけで、街のパレードなどで演奏するようになり、人気者となったとか。
1923年に、シカゴでキング・オリバー楽団に入団し、初のレコーディング。1924年にはニューヨークのフレッチャー・ヘンダーソン楽団に在籍することに…
この時にブルースの女王、ベッシー・スミスと共演。
Bessie Smith「St.Louis Blues」1929
その後にシカゴに戻って、妻でピアニストのリルと共に「ホット・ファイブ」という自分のバンドを結成しました。
して、1926年に録音した「Heebie Jeebies」が、ジャズ史上初のスキャット・ヴォーカル曲として知られることに。
「Heebie Jeebies」1926
これですね~私も初めて聞きました。
「Kiss of Fire」
1903年にアンヘル・ビジョルドが作曲し、1905年にブエノスアイレスの高級レストランで初演されたタンゴの曲。
本来のタイトルは「エル・チョクロ」※スペイン語でトウモロコシという意味
作曲者も歌詞をつけたり他の歌詞バージョンもありますが、1946年につけられた歌詞がもっともスタンダードで、それをルイが英語でカバーした曲です。
「Hello Dolly / ハロー・ドーリー!」1964
バーバラ・ストライサンド主演で映画化もされた、1964年に初演されたアメリカのブロードウェイミュージカル。
そのメインテーマ、主題歌ですね。映画ではサッチモ自身も出演して、この曲を歌ってます。
映画は私も見たけど、覚えてないやーww
そして、この曲は1964年に三か月間1位を独占していたビートルズの記録をストップさせるほどのヒットとなりました。
映画「Hello, Dolly! / ハロー・ドーリー!」1964 予告
ちなみに私は、どうもバーバラと言う女優さんがイマイチ好きでなくてっっ 彼女の演じる役柄の人物が好きになれないせいもあるかなあ…例えば、ロバート・レッドフォードと共演した「追憶」とか「スタ誕」とか名作は数あれど、他の女優さんなら良かったのにって、いつも思っちゃうっっ汗
そしてサッチモ自身も、映画に何本か俳優さんとして出演しました。
映画「High Society / 上流社会」1959
1940年「フィラデルフィア物語」のミュージカル版です。グレース・ケリーの最後の映画出演作ですね。この後、結婚のため引退したので。
映画「The Five Pennies / 5つの銅貨」1959
実在のコルネット奏者、レッド・ニコルズの半生を描いた映画です。サッチモは本人として出演しています。
Red Nichols「ORIGINAL DIXIELAND ONE STEP」
曲は「聖者の行進」 ダニー・ケイとの共演です。
ディキシーランド・ジャズのナンバーですが、黒人霊歌、ゴスペル、葬送曲として、あまりにも有名な曲。
日本人にとってもお馴染みですが、その意味を知らないで聞いている人の方が多いでしょうね…
邦題だと「聖者が街にやってくる」ということで、クリスマスとかCMソングとして、よく使用されています。
大江戸線のキャンペーンとかでも、使われてたなあ…
「We Have All The Time in The World / 愛はすべてを超えて」1969
この曲は「女王陛下の007」の挿入歌でした。
「Down By The Riverside / ダウン・バイ・ザ・リバー・サイド」
19世紀は、南北戦争の時代から歌われているスタンダードな黒人霊歌、ゴスペルです。吹奏楽、マーチングバンドのレパートリーとして、よく演奏されますね。
この曲のリバーとは、キリストが洗礼を受けたヨルダン川のこと。歌詞の一部は旧約聖書・預言書の一つ「イザヤ書」第2章4節の引用デス。
「West End Blues / ウェスト・エンド・ブルース」1928
ビリー・ホリディを泣かせ、同時に幸福と希望を与えた曲。
「When You Wish Upon A Star / 星に願いを」1968
んでもって…ルイ、サッチモの代表曲と言えば・・・
「What a Wonderful World / この素晴らしき人生」1967
ですかねー
やはりこの曲が一番彼らしいし、彼を語るならば欠かせない曲です。いつ聞いても泣いてしまいます。
多くは要らないんです。サッチモの声、歌い方、ペットの響き…彼という人の放つ存在のエナジー、彼の人となり、人生と感情のすべて…それらがダイレクトに伝わってきます。
ちなみに動画は、年を取って病で痩せてからのですね。
ものすごく偉大な人でした。映像の彼の姿を見るだけで涙が出てきます。実のところ私は、トランペットの音色はさほど好きではないんだけども、サッチモだけは特別ですね。彼のはトランペットを超えてますから。魂の音で波動だから。彼自身の魂の声で言葉って言うのかな。
本当に稀有で貴重なシンガーでミュージシャンでした。うるるん。
そして当人は映画にも出たりしているけど、サッチモの自伝的な映画は作られてないんですよねっっ 当人が執筆した書籍とかもあるのに。
なんだろ…遺族が許可をしないのかなあ。実子はいなかったけど養子はいましたものね。
彼の笑顔には、様々な人生を生きて、絶望の中から這い上がってきた人の美しさと崇高さがあります。その笑顔を見るたびに、「それでも、人生というものは素晴らしい」と…そう思わずにはいられないのでした。
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「My Favorites〜音楽のある風景」
2021/05/19 掲載記事より転載
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