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福祉の経営はたった1人の生きづらさから生まれる

もともと就労移行支援の一介の管理者だったんですが、気がついたら生活訓練の事業を始め、制度外の事業で住居支援(今はシェアハウス型のもの)を始め、成人期の引きこもり支援でフリースクール的なサービスを準備して、就労定着支援の期限が終了した利用者さんで僕らの支援を引き続き希望された場合の「会員」制度を始め、婚活支援を自分のオンラインコミュニティで手掛け、それぞれ小規模ではありますが、随分としっちゃかめっちゃかな事態になってしまいました。
 
 
一応、自分なりにそれぞれの紐付けはしているつもりで繋がりはあるんですが、それでもこんなにあれこれ手を出すことになったのには理由があります。
 
 
 
どの事業も、それぞれきっかけは「1人の利用者さん」から始まっています。
就労移行以外に5つくらいの事業や取り組みをスタートさせているので、5人くらいの利用者さんが僕の事業の展開のきっかけを与えてくれたことになります。
 
 
 
 
福祉の経営に携わらせていただく中で、僕には解決すべき2つの課題があります。
それは、
 
・制度のスキマ、つまり制度で支える事が叶わない社会課題をどうするのか。
 
・福祉業の経営、つまりマネタイズについて。
 
 
です。
 
 
 
僕の学びかじりの感覚ですが、一般的に「経営」というのは世の中に価値を生み出す事が目的だと思っています。もちろん、価値を生み出すことだけじゃなく既存の価値をより普及させる、という価値を生み出す経営もありますが。
 
 
そして、経営をする限りマネタイズの問題は当然ついて回ります。
活動を継続するため、そして自分達が生きていくためにも、避けて通る事はできません。
誰かに保証されているわけではないので、自分達でそれが確保できるだけの単価なり販売数なりを設定し、プロモーションしながらそこに手を届かせていかないといけません。
 
 
 
これを福祉の経営に当てはめてみたときに、福祉の経営というのは、社会の課題を解決するという価値を生み出すこと、そして社会課題を解決する価値を普及させていく事が活動の目的なんだろうと思っています。
 
 
そして福祉の経営においてもマネタイズの問題はあります。
一般の経営と違うのは、制度が整備されている事業については幾分かの保証がなされています。でも、それ以外は一般の経営と同じようにマネタイズの課題はついて回ります。
 
 
 
 
僕にとって福祉の経営は、既存の価値を普及したり補強することも大事な目的だと思っていますが、それよりもあちこちに点在している社会課題、つまり今の時点で制度のスキマになっている空白地の方が今は優先順位は高いと思っています。
 
 
目の前に既存の仕組みではどうにもしてあげられない方がいるのに、それをスルーして「どこかの誰か」がなんとかしてくれる事を期待して、「うちはその役割ではないから」と丸投げすることにどうしても抵抗があるからです。
 
 
仕組みがない、既存の制度では限界がある、人手の問題などなど、埋めないといけいないだろう空白地が山ほどあって、そこで苦しんでいる人が目の前にいるんだからそこに踏み出そうとしていくことは全くもって健全だと思うんです。
もちろん既存の仕組みをうまく組み合わせたりアレンジしていく中で独自のバランスを見出してスキマを埋める、というやり方でもいいと思いますが。
 
 
でも、スキマを埋めていくことに乗り出していく人は決して多くなくて、今なお多くの社会課題の空白地は埋まっていません。
つまり、支援の手が届かない「生きづらさ」を抱えたままの方が山ほどいます。
 
 
僕は支援の現場で直接利用者さんの支援をする中で、既存の仕組みの限界を肌で感じていてそれに耐えることはできませんでした。
 
 
胸を張って「何とかするから大丈夫!」と言い切れない情けなさに耐える事ができないと思ったので、ただの支援者から経営に携わってその壁を飛び越えることを選びました。
胸を張って支援が行える環境を生み出す、という事が僕が行える支援のひとつになると思ったからです。
 
 
だから事業を立ち上げる、特に制度を外れた事業を始める時には、マーケティングでニーズを洗い出す手法からではなくて、目の前にいつも対象者がいるんです。
 
 
その方が結果ペルソナのような存在になって、その背後には同じような生きづらさを持つ方がいて、生み出したサービスがそういった方の支援の新しい選択肢になる、という流れでいろんな事に取り組むことになってしまった、という感じです。
 
 
ありがたい事に、今は同じように目の前の対象者を支えるための仕組みがない事に疑問を持つ仲間と繋がる機会も増えてきたので、一緒にそれに向き合っていく、という機会も少しずつ増えてきました。
 
 
マネタイズの話はまた明日にでも書こうと思いますが、福祉の経営のある種面白いところで、所属が違う方や分野が少し違う方は必ずしも競合ではなく、同じ方向を向いている仲間である、という事が多いです。
補完しあったり価値を重ねる事ができる領域だからでしょうか。
目の前の対象者を支えるために何が出来るのか、どうやったらその支援を成立させる事ができるのか、同じように悩みその社会課題を解決する価値を生み出すパートナーだったりする事が多いなぁ、と思います。
 
 
 
今まで福祉とはいえ、現場と経営ってやっぱりどこかかけ離れた立場なのかな、と思っていたんですが、実は福祉の経営ってソーシャルワークやソーシャルアクションのひとつのカタチなんだな、と思うようになりました。
ただしそれはマネタイズも成立していて、の話なので、支援のスキルとは全く違う「経営」とか「マーケティング」とか「マネジメント」みたいなスキルをきちんと福祉という分野に転用応用をしていけないとそれは叶いません。
 
 
そういった意味では福祉の経営ってひとつのスキルとしては重要です。
 
 
まだまだ僕は実践も経験も不足していて、制度事業をうまいこと組み合わせて運営するのはできても新しい価値を生み出していくことについては未熟。
今手がけていることはまだまだ始まったばかり。
これからどれだけ経験を積みつつ実績を持たなければいけません。
 
 
もう少しあれこれ落ち着きなくやり始めるかもしれませんが、僕と繋がってくださっている方やこうしてnoteを読んでくださっている皆さん、今後とも見守りつつも応援してやっていただけるとありがたいです。

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