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ウィッシュノート
2022年3月12日 21:59
(最後です。前回)再び部屋に閉じ込められた娘は「ちょうだいちょうだい出してちょうだい」と、しばらく訴えていましたがそのうち何も言わなくなりました。今度こそ娘のためにだけ用意された食べ物にも贈り物にも手を付けないまま。施し先を封じれば自分で消費するだろうという王様と家臣の見立ては大間違いでもともと痩せてみすぼらしかった娘は見ているこちらが怖くなるほどいっそう衰えて
2022年3月11日 22:04
(前回の続きです)ところが王様の期待を裏切るように城に来てからしばらくは「要らない要らない何も要らない」と言っていた娘は、ある時から急に「ちょうだいちょうだい。新しい靴下をちょうだい」「ちょうだいちょうだい。手荒れを治す薬をちょうだい」「ちょうだいちょうだい。美しい髪留めをちょうだい」部屋に閉じこもって何も要らないと言い続ける日々から一転部屋を飛び出して
2022年3月10日 22:34
昔々あるところに若い王様が居ました。この王様は年齢こそ若いものの生まれつき優秀でした。ですので病によって早くに亡くなった先王と変わりなく国を統治し裕福に暮らしていました。しかし王様には一つだけ困った点がありました。それはなかなか王妃をもらわないことです。女性嫌いというわけではないのです。むしろ美しいものや価値あるものは好きですから金銀財宝や芸術品を集めるように
2022年3月6日 23:07
昔々あるところに二人の男が居ました。外見も性格もそっくりな二人は弱者にはいばり強者には媚びる勉強嫌いの怠け者で約束もほとんど守らず平気で人に迷惑をかけるとても困った男たちだと町の人たちから嫌われていました。それでも誰にも尊敬されない代わりに誰にも気兼ねすることなく好きな時に起きてたまに働き遊んでは寝るだけの気ままな生活を本人たちは楽しんでいました。そん
2022年3月2日 21:58
地面を覆う花弁を集め小山のように高く盛った。あの子からもらったいくつかの思い出を葬るためのお墓のように。あの子からもらったいくつかの宝物。一言二言書かれただけのメモのような短い手紙。いいなと言ったらあげるとくれたツルツルのおはじきとお菓子の消しゴム。僕をかたどったという紙粘土で作った小さな人形。全部全部、今日捨てる。あの子と一緒だった時はとても嬉しかっ
2022年3月8日 21:48
俺は何も悪くない!アイツが先にやったのさ!アイツが足を踏んだから俺は背中を押したのさ。(アイツが背中を押したから俺は胸倉をつかんだのさ)アイツが胸倉をつかんだから俺は体を突き飛ばしたのさ。(アイツが体を突き飛ばしたから俺は顔を殴ったのさ)アイツが顔を殴ったから俺は首を絞めたのさ。(アイツが首を絞めたから俺は必死にもがいたのさ)アイツが必死にもがくから俺は