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砂糖不使用・卵乳製品不使用・オイル不使用のビーガンクッキー エナジーバーにも!グルテンフリーのレシピも! 

ビーガンのお菓子のレシピの中には、卵や乳製品は不使用でも
砂糖や植物油を使っているものもあるようですが、
私は卵、乳製品、砂糖、オイル不使用で作ります。
 
ただし、今回のクッキーにはアーモンドプードルを使いますので
ナッツアレルギーの場合には使えないレシピとなります。
 
アーモンドプードルにはアーモンドの脂肪分が含まれていますので
うまく利用するとバターや植物油を使わずにお菓子を作ることができます。
 
クッキーがサクサクするのは油分の働きですが
このクッキーはアーモンドプードルの油分に頼るだけですので
サクサクではなく、しっとりタイプになります。
 
甘味にはデーツを、粉はアーモンドプードルに加えて、
はったい粉や蕎麦粉を使います。
 
はったい粉は麦を炒って粉にしたもので
私が子どもの頃、母はそれを麦こがしと呼んで、
砂糖を加えてお湯で練ったものをおやつに作ってくれました。
 
はったい粉は香ばしいですが、風味はかなり主張します。
私はその時の気分で、はったい粉と蕎麦粉を適当にブレンドしています。
蕎麦粉だけならグルテンフリークッキーになります。
ココアパウダーをほんの少し混ぜても美味しいです。
 
私の料理は何でも目分量なので詳細なレシピにはなりませんが
備忘録として、作り方の流れをざっと記しておきます。
 
まずはデーツを細かく刻んで水分に浸します。
水でもお湯でも構いませんし、
オレンジの絞り汁も美味しいですが、
イチ押しはドリップコーヒー!
ということで、以下、コーヒー液で作り方の流れを・・・。
 
細かく刻んだデーツをコーヒー液に浸し、
フォークなどでさらに潰しておきます。
浸水時間ですが、デーツが柔らかくなればいいので
温かいコーヒー液ならすぐに作業開始でOK、
常温でも10分程度で大丈夫だと思います。

デーツを潰したコーヒー液は、
見た目も味もトロっとした黒蜜のような感じになります!
ブレンダーなどで潰してもいいのですが、このクッキーには
潰し残しが残る少しねっとりした食感が私は好みです。
 
私はこれまで甘味料としてのデーツの可能性を探って
色々と実験(?)してきました。
市販のデーツシロップを試したこともありますが、結構高価ですし
甘味という意味でもお菓子に使うには少々物足りない感じです。
このデーツ入りコーヒー液は簡単に作れる上、
デーツの甘味にコクが加わり、今のところマイベストです!
 
ちょっと味見をしてみて、甘味が足りないようなら
少しだけみりん(本物のみりん)を加えてもOK。
私が使うのは、2年または3年熟成させた本みりん。
みりんは奥深いので、また別の備忘録に記載したいと思いますが、
一言で本みりんといっても、熟成具合やアルコールの種類、
醸造メーカーによって風味がとても異なります。
みりんは結構クセがあるので、私は色々試してお菓子に合うみりんを選び、
このレシピの場合は、入れるとしてもごく少量です。
砂糖を使わないのがポイントのレシピですので
甘さは控えめということで・・・。
 
アーモンドプードルに対して、はったい粉や蕎麦粉は
2~5割くらいまでがベストな比率だと思います。
 
粉類を混ぜ合わせたら、デーツ入りコーヒー液をほんの少し加えては練り、
様子を見ながらコーヒー液をまた少し加えるという作業を繰り返し、
生地がベタつかない程度の固さにまとめていきます。
 
最後にザクザク感を出すために刻んだナッツを投入します。
レーズンなどのドライフルーツも加えると美味しいですが、
しっとり生地のクッキーなので、食感的にナッツは必須です。
 
まとめた生地は平たく伸ばしてカットしても、丸く成型してもOK、
スプーンですくってロッククッキーにするのもアリです。
ナッツがゴロゴロしているくらいが美味しいので
型抜きには向きません。
 
油分が少ないクッキーですので
生地は必ずベイキングシートの上に並べて焼きます。
 
はったい粉と同様、蕎麦粉も蕎麦がきのように
お湯で練っただけで食べられるので
オーブンの大きさなどにもよりますが、予熱をした後
150~160度くらいの低めの温度で10分くらいの短時間で焼きあがります。
 
このビーガンクッキー、私は作りだめして携帯し
おやつに食べています。ナッツやドライフルーツたっぷりで
1~2枚で充分満たされます。
 

左はくるみとレーズンとドライチェリー入り 
右は生地にココアパウダーを少し加えて、
くるみとレーズンと無漂白のドライあんずを入れました
こちらはドライチェリーとレーズンとくるみと松の実入り

ここからは余談ですが、アーモンドプードルから思いついたことを
つらつらと・・・
 
私はバターや植物オイルを使わない代わりに
お菓子にアーモンドプードルをよく使います。
アーモンドプードルを使ったお菓子としてはマカロンが有名ですが、
私が初めてアーモンドプードルを使って作ったのは
イギリス中近世のお菓子marchpane(マジパン)でした。
 
マジパンというと、ケーキなどの上にのっている
動物などの形をしたお菓子を想像する人も多いかもしれません。
私たちが見慣れているこのマジパンのご先祖様ともいうべき
イギリスの古いレシピで作るマジパン(marchpane)は、
現代のマジパン(marzipan)とは見た目も作り方も少し異なります。
 
随分昔のことですが、私はイギリスで英文学や芸術を学んでいた時、
それらの作品に登場する珍しい食べ物やお菓子に興味を持ち
その元祖ともいうべきイギリス中近世の料理について勉強し始めました。
 
マジパンが登場するイギリス近世文学作品の中で最も有名なのは
シェイクスピアの「ロミオ&ジュリエット」でしょう。
ロミオとジュリエットが出会うことになる華やかな宴、
その準備のシーンでマジパンが言及されているのです。
 
当時のイギリスでは、宴会の豪華な食事の後にはしばしば、
甘いお菓子や甘いアルコール類をずらりと並べた
バンケット(banquet)と呼ばれるデザートブッフェが供されました。
王侯貴族や新興の富裕層にとって、高価な輸入品である
砂糖やアーモンドやドライフルーツなどを贅沢に使い
美しい装飾を施したお菓子づくしのバンケットは
その富やパワーを誇示する絶好の場、中でもマジパンは
その主役ともいえる存在でした。
 
当時のマジパンの作り方ですが、まずは土台として
ワファー(wafer)と呼ばれる薄焼きの丸いビスケット
(アイスクリームのワッフルコーンに近い感じ)を置き、その上に
湯むきしたアーモンドにローズ水を加えてペースト状にして
砂糖を加えて練った生地を盛り、さらにアイシングを施して
石窯で焼き上げました。
 
当時の石窯は窯の中に薪を入れて燃やし、
窯の中が高温に達したら灰を取り出し、
そこに食べ物を入れて、予熱で焼き上げるという仕組み。
高温のうちにパイやパンを、その予熱でケーキやビスケットを焼き、
最後にごく低い温度で焼かれたお菓子の一つがマジパンでした。
 
こちらは、イギリス近世のレシピを基にして私が作ったマジパンです。
やはり富の象徴だった銀製のお皿にのせて・・・

イギリス近世の豪華なバンケットのマジパンはもう少し大きくて
表面に繊細な装飾が施されますが、
私は装飾の稚拙さを食用の金箔を施した小さいマジパンで補いました。
当時の料理本によると、ごちそうやお菓子の装飾にも金箔が使われることがありました。

イギリスの隣国フランスでは、「ロミオ&ジュリエット」に登場する
マジパンを彷彿させるお菓子が今でも食べられています。
南フランスの伝統菓子カリッソン(calisson)です。

美食の国フランスの料理は当時の流行の先端であり、富裕層は
フランス人やフランスで修行した料理人を雇っていたので
marchpaneもcalissonも起源と辿れば同じなのかもしれません。

カリッソンは私の小さなマジパンよりももっと小さな
アーモンド型のお菓子ですが、作り方はマジパンとほぼ同じ。
アーモンドペーストに砂糖、南フランスの食材である
オレンジフラワー水やメロンの砂糖漬けなどを加え、
ワファー(といっても、ごく薄いシート状のもの)の上に盛り、
アイシングを施して、低温のオーブンで焼き上げます。 

今回、このビーガンクッキーの作り方を書いた後、
なぜかマジパンについても触れたくなり、
つらつらと書き綴っているうちに、はたと気づきました。
知らず知らずのうちにカリッソンやイギリス近世のマジパンから
私はこのレシピのヒントを得ていたのかもしれないと・・・。 


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