サイクルのどん底をしっかり見つめる
半導体はかつて20世紀、米国と日本が席捲していた。日本では産業のコメともいうが、その後、その半導体自体の売上シェアは台湾と韓国にほぼ奪われてしまった。前世紀の半導体を支配した日本と台湾や韓国は地政学的にも至近距離の隣であり、そのノウハウ、人材、知見なども容易に流出したのだ。
何より、日本の企業がどんどん現地に工場を建て、率先して人材、ノウハウを注入したのが大きい。
日本がかつて世界でもトップクラスを独占していた業界。造船、鉄鋼、家電、半導体などは地政学的にも至近距離にあり容易に技術が真似出来る環境にある韓国、台湾、中国などが、21世紀は日本を追いやり彼らがトップクラスを独占している。それは、残された日本のお家芸である最後の希望、自動車にまで及びつつある。
造船、鉄鋼、家電、半導体、自動車などの最終製品にかつての高度経済成長期から平成バブルにかけての栄華は日本企業に戻るのは困難とみている。しかし、その最終製品を構成する超精密な部品であったり、その最終製品を作る工場にある製造装置や、高性能な部材などはまだまだ日本企業が生き残り拡大していく可能性が大いにある。精密セラミックの村田製作所や、精密モータの日本電産や、半導体材料の信越化学などである。これらの部品メーカーは、世界中の最終製品メーカ-、半導体製造メーカ-、あらゆる機械製造メーカ-、自動車メーカー、ロボットメーカーなどへ部品、部材を提供し将来的な市場拡大の恩恵をまだまだ長期的に受けていくとみている。
欧州であれば、伝統的ブランドクラフトマンシップ。ラグジュアリーブランド。新興国には真似のできない世界。
米国であれば、GAFAMはじめハイテクインフラを抑えたメガテック、さらにこれからのAI革命を先導する世界。
日本であれば、単純な組立でなく超精密部品機器、更にそれを作る製造装置や部材の世界。先進国はそれぞれチカラ強く生き抜いていくとみている。
成長企業として投資しているのは、ニデック日本電産(精密モ-タ世界一)、村田製作所(精密セラミックコンデンサ世界一)、信越化学(半導体シリコンウエハ-世界一)など。このあたりの精密部品メーカは長期で成長を期待している。これらが取り扱う精密部品、部材は需要が伸びていく未来が目に見えているからだ。ただ、この精密部品メーカ-達も景気の循環サイクルには左右されるものだ。機械受注サイクル、半導体受注サイクルなどの短期景気サイクルに影響を受けるのはやむを得ない。目先の足元の業績悪化は確認しつつも、目線は高く先を見て動いてきたい。
■半導体世界売上前年比14ヶ月悪化中
■世界半導体売上推移
■世界半導体大手10社 2023年4~6月純利益49%減 -
■TSMC 顧客の在庫消化は10~12月期も継続
■中国市場まだ弱い ■先端品を除けば回復はまだまだ
TSMC、iPhone効果で業績底打ち 先行きなお不透明
■ディスコ スマートフォン、パソコン需要低迷
■車載、パワー半導体は順調
AI向け高性能24年1~3月出荷開始
ディスコ、16%減益に 4~12月最終
■パワー半導体の世界市場予測
2030年 5兆3587億円(21年比360%)の規模へ
★売上ランキング 億ドル 21年
①インフィニオン ドイツ 45.69
②オンセミ 米国 20.51
③STマイクロ スイス 17.14
■信越化学工業 シリコンウエハ-世界シェア高い
世界シェアが高い半導体企業は日本には沢山ある。中でも、市場規模が大きい部材を扱う企業がもちろん投資優先順位が高い。
信越化学工業
規模が大きいシリコンウェハーで世界シェアの高い企業。
シリコンウエハ-は128億ドル正解市場ととてつもなく大きい市場
■日本電産ニデック 種を蒔くから育つ。果報は寝て待てですわ。冬眠のように長く寝ろとはいいません。
永守会長会見 23.3.17
■半導体日本企業 シェア高い15社
①7735:SCREEN
ウエハー洗浄装置首位。EUV露光微細化対応。
②6146:ディスコ
切断・研削・研磨世界首位。
③7729:東京精密
ウエハー検査装置世界首位。
④6920:レーザーテック
欠陥検査のEUV向け装置シェア100%。
⑤8035:東京エレクトロン
装置世界4位。塗布・現像首位。
⑥7741:HOYA
マスクブランクス世界首位
⑦6890:フェローテック
真空シール世界首位
⑧4970:東洋合成
添加剤PAG(光酸発生材)世界首位
⑨6254:野村マイクロ
微細化に欠かせない超純水大手
⑩6361:荏原
CMP装置(ウェハー表面研磨)で世界2位
⑪4186:東京応化
フォトレジスト世界首位級
⑫5334:日本特殊陶業
製造装置セラミック部品(ヒーター、静電チャック)
⑬4203:住友ベークライト
封止剤『スミコンEME』シェア4割で世界首位
⑭6967:新光電気
パッケージ世界大手
⑮6590:芝浦メカトロニクス
枚葉式洗浄装置
■最先端半導体でなくても、最先端だろうとも
需要はそれぞれにある
■半導体 ■今昔物語
■超LSI技術研究組合
■半導体有事 ■湯之上隆
■勉強になり過ぎる国会答弁 微細加工研究所所長 湯之上隆 氏
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