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「代謝」の基礎と肝臓

ニュアンスが掴みにくい「代謝」ということば

日常会話で「代謝」ということば、よく使いますよね。「代謝が良いね」とかって。

もし小学校くらいの子に「代謝」って何?て聞かれたら、どう答えますか?答えるの、難しいですよね?

代謝=体内で作り変えること

とりあえず、まずざっくり臓器別・システム別に医学の世界を理解するために、こんな風に覚えておいてください。代謝というと、体内で「とある物質」を「別の物質」に「作り変える」ことです。さらにざっくりいえば、「レゴブロック」でできた物質Aを、組み立て直して物質Bに変えてしまうことです。

ヒトはほとんど同じ元素からできている

実は「有機化合物」と呼ばれる、いわゆる「生命」を作る原料になっているのはほとんどが「H、C、O、N」の4つの元素なんです(水素、炭素、酸素、窒素)。だから、「これらを組み合わせてできた化合物同士は、お互いに作り変えることが(ある程度)可能なんです。だからこそ、生体内ではこれらの化合物をある程度自由自在に作り変えて利用しています。

消化器系を通じて供給される栄養素はアンバランス

ヒトが食べて消化器系から供給される栄養素はアンバランスでまちまちです。

というのは、現代では想像も付きませんが、狩猟採集が主だった頃のヒトはアンバランスな食生活がアタリマエだったはずです。それこそしばらく絶食期間が続くこともあったはずです。

「食事にありつけない期間」もあれば、「動物をやっつけることができずに肉が食べられず、野菜や栗などしか食べられない期間」があったり、「大動物を捉えたので肉にはたっぷりありつけるものの、それ以外の食べるものがなくて肉でお腹を満たす期間」というのもあったでしょう。

余分な栄養素から、不足している栄養素を作る「代謝」という仕組み

要するに、ヒトは「タンパク質しか食べてない時期」や「炭水化物しか取れない時期」、そして絶食の時期など、栄養バランスが常に一定しない環境でも生き延びてきたわけです。これは、体内で栄養バランスをある程度コントロールできる仕組みが発達していたからにほかなりません。例えば、糖質が過剰な場合、余った分を蓄えることができます。この際、「糖質を脂質に変える」ような化学反応(ブロックの組み換え)を行っています。こういうブロックの組み換えこそ、「代謝」だと認識しておいてください。

最近、「糖質制限ダイエット」なんて言葉をよく聞きますよね。糖質はエネルギーの源ですから、普通、糖質制限なんてしたらエネルギー不足で生きられなくなるはず。でも、体内に蓄積している「脂肪」を変わりに燃やしてエネルギーにすることができたり、「筋肉」を分解して糖質と同じように燃焼することができるんです。だから、糖質制限をしてもある程度問題なかったりするわけですね(もちろん、健康な人を想定していますよ)。

タンパク質だけは、ちょっと特別

しかし、「タンパク質だけは、三大栄養素の中でもちょっとだけ特別扱い」をしたほうが良さそうです。というのは、三大栄養素でN(窒素)を含むのはタンパク質だけだからです。

そして、「身体(つまり細胞)のパーツになるのは基本的にはタンパク質なので、タンパク質不足だけは、他の栄養素で補うことは難しいと考えましょう。褥瘡があったり、熱傷をしていたり、明らかにやせの強い高齢者でタンパク質不足にならないように注意が必要ですね。

体内の「代謝工場」は「肝臓」

この「代謝」機能は基本的にほとんどの細胞に備わっている機能ですが、代謝を「どんな代謝を、どこまで本気でやっているか」具合は、ちょっとずつ細胞によって異なってきます。これらをひとつずつ勉強しようとすると大変になります。ですが、一つだけ、これだけは覚えておいてほしいことがあります。

それは、「代謝の臓器といえば『肝臓』」ということです。肝臓は「代謝工場」なのです。

たとえば、家の掛け時計が止まってしまったとします。その原因が電池切れであれば、自分で電池を交換すれば再び動き出しますよね。これが各細胞がやってるような代謝です。
それに対し肝臓での代謝はちょっとマニアックな代謝です。今の例でいえば、「時計が壊れたのはもっとメカニックな問題で、業者に連絡して直してもらわないといけない」ようなケース。わたしたちがその時計を業者に送って直してもらうような場合です。細胞たちが自分たちで処理できない物質の代謝は、「肝臓に送って肝臓でやってもらう」感じだと思ってください。

ですから肝不全(肝硬変)では、代謝がうまくいかないことによるいろんな障害が起きてしまいます。


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