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血液検査所見を「ざっくり」分けよう!

 採血結果を読めるようになるために、初心者はどんな目で採血項目を見たら良いのでしょうか?

 今日は新人医療従事者向けに書きます。特に新人看護師さん。

「日々の業務を覚えるのに必死で、医学の現場なんかそっちのけ!ホントは勉強しないといけないことは分かってるけど、膨大な医学の世界に立ちすくむしかない、、、毎日、睡眠時間をとるのに必死です。」

 そんな声が聞こえてきそうです。大丈夫です。睡眠時間の確保がもっとも大事です!ちゃんと寝て、毎朝出勤している。それだけでまずは自分を褒めてあげましょう。

※ もうじき、初任給です。「たいして役に立っている感じ」はしないけど、なんとなくもらえる初任給です。でも喜びは「ひとしお」のはずです。支えてくれた人に、特別な使い方をすると、きっと思い出に残ると思いますよ!

「血液検査」の特殊性 - 結果がすぐ出ない -

 患者さんの情報収集のプロセスで、血液検査所見を確認することがあると思います。

 特に、採血結果は、すぐ出る病院だったとしても、採血してから結果が出るのに最低でも1時間はかかりますよね。そのため、採血をオーダーした主治医がタイミングよく確認できていないことが最も多い検査かもしれません。「採血結果出たけど、主治医は手術(カテ)に入っちゃって、見てもらえそうにない。でも自分は確認できる。どうも異常値があって、早く主治医に報告したほうがいいのかどうか悩む、、、」そんなことはたくさんあると思います。もちろん先輩に聞けばよい(新人は、わからないことをわからないままにしないほうが良いですよ!)のですが、、、、

 まず「ざっくり」でも血液検査がわかるようになりたいですよね?

 では、いきましょう。

血液検査の項目をひとつずつ勉強しようとしない!

 まず、採血項目それぞれについて、「深く意味を考える」のは後回しにしてください!「Alb(アルブミン)は、えーと、本を見てみると、タンパク質の一種で、肝臓で作られて、、、」というのは、今はやめておいてください!その勉強時間は、無駄になってしまうかもしれません。

 臨床現場では今までの勉強とは順番が違います。臨床現場は「役に立つ知識」の優先順位が圧倒的に高くなります!なので、「厳密なことは無視する」勇気が必要です。大丈夫です。厳密なことを無視してぶっちゃけるのがこの記事の役目です!

まずは血液検査の項目をグループ分けしよう!

 超ざっくりで構いません!グループ別に項目を見るようにしましょう。例えば、「腎機能は?」と聞かれたら何を見ますか?「肝酵素上がってる?」と聞かれたら何をみますか?そういうことが分かればOKです!正常値は知らなくていいです。電子カルテの時代ですから、色で教えてくれますよね!

 今日は本当の初学者向けに、下のように分けてみました!どうですか、まず「この分類が頭にざっくり入っているか?」で勉強のモチベーションが変わってきますよ。

貧血がないか

 Hb(ヘモグロビン。ハーベーと呼ぶ人もいます)を見ましょう。まずはそれだけで良いです。ヘマトクリットとかMCVとかは、まずは読み方を知らなくてよいです(たぶん先輩に聞いても即答できません)。後回しです!

肝酵素

 ASTALTが有名ですね(まとめてトランスアミナーゼと呼ぶドクターもいます)。とりあえずこの2つだ、ということがわかっていればOKです。教科書を見たら、ASTが上がる理由は肝臓以外にもあるって書いています。ですが、それは「後から勉強すれば良い」です。

胆道系酵素

 ざっくりALP(通称アルホス)γ-GTP(通称ガンマ)、そしてT-bil(通称ビリルビン)です。肝酵素と勘違いしやすいのですが、ここは分けて覚えてください!観光外胆道系酵素は一緒に上昇することもありますが、一緒に上昇しないこともあり、それが「緊急性の判断」や「熱の原因」をみるのに有用だったりします。

腎機能

 絶対押さえておかないといけないのが、これです。Cre(クレアチニン)で腎機能を評価します。採血のたびに、必ずチェックします(入院患者では特に、入院中に変動することがありますね)。
 Creは高くなればなるほど腎機能が悪いと判断します。ざっくり「その人にとって腎臓は100点満点でいうと何点くらいか?」を表すのが、「eGFR」という項目です。これはカルテが自動計算してくれるのですが、結構便利な指標ですよ(例:eGFRが70なら、「あなたの腎臓は100点満点でいうと70点くらいですよ。」とか言うと患者さんにもわかりやすいです)。
 BUNもセットでみることがありますが、今は詳しく知らなくて良いです。

炎症反応

 「うわ、結構炎症反応上がってんなー」みたいな会話をよく聞くと思います。これは何を見ているかと言うと、ざっくりWBC(白血球数)CRPです。白血球数のほうが、炎症が起きてすぐに上がります。

 CRPは約1日遅れくらいで数値が変動します。このことは知っておいてください!CRPが上がっていても白血球が下がっていれば、「明日の採血ではたぶんCRPも下がってくるだろうな」と安心できます。

血糖関係

 もう初学者にはお腹いっぱいかな?と思いますが、あとこれだけ!Glu(血糖)とHbA1cは覚えておいてください!
 血糖値は常に意識して見ておいてください!入院するまで気づかれていなかった糖尿病患者さんが隠れていることがあります。血糖値が高くてびっくり!なんてことがあります。
 一方、「なんか朝から調子悪いなぁ」と思っていた患者さんが低血糖だったなんてこともありえますよ(そんなに多くないですけど)。
 何より、現代においては血糖値というのは「患者さんが良く知っている」ことのある項目でもあります。HbA1c(通称エーワンシー)は、その患者さんの糖尿病の重症度を見るのに便利なので(毎日採血で確認することはありませんが)、知っておいてくださいね!

 たったの6グループに分けて解説してみました!まず覚えるべきは、こういうざっくりしたところからで良いです。「細かく勉強するのは、ざっくり分かってから」で構いません。明日からのモチベーションにつながれば幸いです。


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