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ミシュラン一つ星にワインペアリング②

プリモピアットで思わぬ落とし穴?

さて、引き続きオステリアバッコさんの料理にペアリング
前編はこちら

今回のプリモピアットはパッサテッリ。パッサテッリはパン粉、卵、おろしたパルミジャーノ・レッジャーノから作られるパスタでエミリア・ロマーニャ州の郷土料理。ブロードに浮かべることが多い料理だが、今回はサルシッチャと合わせるオイルパスタ。

パッサテッリ。表面がザラザラしてるのが特徴


ペアリングワインはメインまでの余韻を考えピエモンテ州トリンケーロのタイヨーをチョイス。

“タイヨー”とはイタリア語で「割る」という意。ピエモンテ州を代表するネッビオーロとフレイザを半々で割ったセパージュとなっている。
サルシッチャを使っているので、ある程度の油分があるがフィナーレであるメインへの余地を残し、ここはタイヨーを選択。
軽快さを少し残しつつも、メインへの助走をとっていきたいイメージだ。


しかし、後日のシェフとのフィードバックでも話したが、ここは樽熟成の白ワインでもよかったのかと思う。というのも、当日抜栓して試飲をしたら私が以前飲んだタイヨーと少しイメージが違っていて、思いの外篭っており、少し還元臭があり軽快さが出ていなかった。

いまお思うと、私が以前飲んだタイヨーは飲食店で提供されたグラスワインだったために抜栓後時間が結構あったのだろう。
デキャンティングをしたが、時間的に難しい面もあり個人的にはイマイチだった。(お客様には喜んでもらえたが。。)

また、シェフの料理が読み切れていないのもあった。このあたりはイベントらしいミスで、初コンビのために私が三善シェフの料理をイメージしきれていなかった。私が思ったより軽めの料理だった。恐らく、想定よりワインが重かったと思われる。

これであれば、樽熟成の白で一回ストンと落としたほうが、メインへの上昇がしやすかったのかもしれない。
まあ、ここは難しいがイージーといえばイージーなミスだったかもしれない。


厚切り肉にはRaddaのキャンティ

さて、いよいよメインとなる。今回のメインは蒲原牛のビステッカ。蒲原牛は新潟の国産交雑牛。和牛ではないが、しっかりとした肉質と赤身の味わいが特徴の銘柄牛だ。

蒲原牛のビステッカ×ラッダのキャンティ・クラシコ


ワインはファットリアポジェリーノのキャンティ・クラシコをチョイス。
ファットリアポジェリーノはキャンティ・クラシコの中央“Radda”に位置し、ガレストロ土壌。非常に堅牢で、しっかりとしたタンニンが特徴。赤身の厚切り肉にはピッタリのワインだ。

また、標高が400m〜500mと高く、酸がしっかりとしているのが特徴。今回のヴィンテージは2018を提供したが、もっと熟成させてもよいと思う。価格も少し値上がりはしたが、4,000円台を保っておりコスパはよい。

厚切り肉ともなると口内での咀嚼回数が上がる。咀嚼回数が上がれば口内での油分の量も増える。それに比例してワインの比重も上げていくのがポイントだ。
肉には赤ワインというが、Raddaのキャンティ・クラシコと厚切り肉の組み合わせは口内で幾度と混じり合い様々な味わいを生み出す。



ペアリングワインに隠したサプライズ

なかなか、ミシュラン一つ星シェフの料理にペアリングする機会など滅多にないので、快く引き受けて下さった三善シェフには感謝です。
プリモピアットのペアリングの精度だけが悔やまれるとこだが、会場の雰囲気はよくお客様に満足いただけたようでよかった。

そもそも今回の企画は三善シェフのお店であるosteriaBACCO(オステリアバッコ)が改装ということで実現した。

実は今回のペアリングは、ちょっとしたサプライズを隠しておいた。一品めの料理にペアリングしたウンブリアのグレケット。

こちらのワイナリーはウンブリア州の中央に位置しており、三善シェフが初めてイタリアに渡り修行したトレジャーノから数キロしか離れていないワイナリーだ。
改装して、さらに羽ばたいていくであろう(恐れ多い言い方ですいません)三善シェフの一品目に原点となるワインを忍ばせて個人的なサプライズを隠しておいた。
こんな貴重な機会をいただけた三善シェフへの感謝の気持ちです。

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