見出し画像

マネジメント研修に最も必要な観点

「君、幽霊は怖いだろう。なぜ怖いかわかるか」
ある時、かの“経営の神様”松下幸之助さんが、愛弟子である木野親之さん(元松下電送会長)に質問したそうです。木野さんが、
「それは足がないからです」と答えると、松下さんは、
「そうや。足がないから怖いのや。足がないということは、それが何ものやら実態がわからないから怖いのや。経営でも、実態が見えないと怖いで。幽霊以上に怖いで。なにが起こるかわからないから」
と語ったと、木野さんの著書『松下幸之助 叱られ問答』の中で紹介しています。

組織マネジメントについても同じことが言えます。組織を預かるマネジャーにとって、メンバーが抱えている悩み、仕事の価値観、さらにはメンバー同士の関係性など、分からない、見えないことだらけでしょう。そしてある日それまで普通に仕事していた部下が突然退職を申し出るなんてことがある。まさに、松下幸之助さんが言う「何がおこるかわからない」中で、マネジメントしなくてはいけません。

このマネジメントという職種に“丸腰”で向かわせてはいけないと、多くの会社で管理職向けに研修行います。各社、研修目的や内容は様々ですが、私は、マネジメント研修で最も大切な観点は、「組織を知る“術”の提供」だと考えています。その術は大きく二つのアプローチがあると思っています。

一つは、ティーチングやコーチングといったコミュニケーションスキル。このスキルの助けによって、個々部下との会話の質が上がり、今まで見えなかった部下一人ひとりの内面が1on1等を通じて見えてくるようになります。もう一つは、組織サーベイです。昨今のHRテックの進化は目覚ましく、組織のコンディションを多角的且つ分かり易く可視化できるようになりました。研修では、自部署の結果を正確に解釈し、具体的な施策に落とし込むプロセスを学びます。
※)この辺りの解説は別の機会に譲ります。

昨今、リモートワークを導入する企業も多くなりました。それによって組織の“実態”が掴み難くなり、マネジメントの難易度の増しております。今後、会社はリモートでも適切にマネジメントできるよう、これまで以上にマネジャーを支援していく必要があると思われます。