【歴史小話】小さな気付き【超短編】
語族には様々な種類がある。
ウラル語族、アルタイ語族、マレー・ポリネシア語族など。
※語族
言語学上では、同一起源の言語から分かれて発達した言語の一群を指す。
歴史学などでは、同系統の言語を話す人間集団という意味で用いることがある。
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本日はその一つ、インド・ヨーロッパ語族について着目したい。
インド・ヨーロッパ語族という文字を見て、まず疑問に思うのが「なぜ、インドとヨーロッパが一括りにされているのか」というものだ。
実は、ヒンディー語と英語・フランス語・ロシア語などは起源を同じくする。
それを発見したのがイギリスのインド学者、ウィリアム・ジョーンズ。
彼はインドに赴いた際、現地の人々が日常的に使う語に英語とよく似た発音の単語があることに気がついた。
例えば、「母」という語。
英語では、「mother」である。
ヒンディー語では、「maan」と発音する。
「こんにちは」という日常的な挨拶。
英語では、「hello」である。
ヒンディー語では、「hailo」と発音する。
意味を同じくする語が、同じような発音をしている。
イギリスとインドでは地理的に相当な距離があるが「もしやこの2つの地域で話される言葉は起源を同じくするのではないか?」と、疑いを持ったジョーンズは英語とヒンディー語を比較し始める。
これがきっかけとなりインド・ヨーロッパ語族が発見され、比較言語学が盛んとなった。
彼の小さな気付きが、歴史上の大発見に繋がったのだ。
もしかしたら我々の日常の中での小さな気付きも、何かしらの大発見に繋がっているのかもしれない。
(終わり)
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