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レンタカー試乗記 : 012 トヨタ C+pod G (RMV12) (EV)

ロリロリ BEV (ずっきゅーん!)

ご覧いただきありがとうございます。

今回はトヨタの超小型EVである"C+pod"に乗ることができた。

前々からこの手のちっこいEV車が気になっていて乗ってみたかったのだが、いざ乗ろうとするとけっこうハードルが高かったりする。
大手レンタカーで取り扱いがないから補償が不安だったりとか。

そんな中、友人がこんなキャンペーンを教えてくれた。

横浜エリアのトヨタレンタカー7店舗限定でキャンペーンを行っており、電話予約するとご当地(?)C+podを借りることができるというもの。

普通のC+podは無塗装なのだが(オプションで塗装、ツートンも選べたりするが)、このキャンペーンの車両は特別塗装が施されている特別仕様。
横浜やみなとみらい周辺を走っている"あかいくつ"というバスがあるのだが、それとコラボしたデザインだ。

あかいくつ
中型車(レインボーHR)ベースのあかいくつはだんだんと貴重になりそう

なかなか乗る機会がなかったのだが、突如休みができて1日フリーになったのでこの際乗ってみようと思い立って借りた形である。
当日予約でも車両に空きがあれば問題なく借りられるのはありがたかった。

あと、トヨタレンタカーで借りられるという安心感は大きい。
この手のクルマには乗ったことがなかったので、せめて使い慣れているレンタカー会社で借りてみたかったのだ。

ただし電気自動車ゆえ、充電が必須なのを考えると当日予約であっても時間に余裕は持っておいたほうが良いかもしれない。
飛び込みで借りようとすると充電不足と言われるパターンは正直ありそう。

今回はそんなC+podの試乗記である。



外観、内装、デザイン

どことなくIQやスマートを彷彿とさせるデザイン。
若干後ろのめりな気もするが(撮り方の問題かも)、なんかこうただものじゃない感は醸し出せている気がする。
フロントバンパー(?)が大きな充電口みたいな形になっているのも新鮮。

ヘッドライトは純正でLEDだった。

フロントと比べるとリアのデザインは割と普通。
テールライトにどことなくファンカーゴやパッソセッテの味を感じる。

前後バンパーは黒樹脂部分が多いので、経年で白くなってきそう。

この短さはほんと異色である。
約2.5mしかないので、普通の軽自動車よりも約1m短い。
ちなみに2台繋ぐとほぼアルファードの長さになる。いや分かりづらいな。

後ろの窓には制限速度のステッカーが付いている。
というのもC+podの最高速度は60km/h。それ以上は出せない。
すなわち高速道路等の走行は不可能。一般道オンリーである。

ただし一般道でも、流れの速い一般道とかは正直怖い。
これで深夜の6号や新4号バイパスに行くのはかなりリスキーだろう。
走りについては"乗ってみての感想とか"でも述べているので気になる方は下スクロール。

タイヤは155/70R13。ブリヂストンのエコピアが装着されていた。
この手のクルマは専用タイヤなパターン多そうだなと思っていたが、比較的普通のサイズらしい。

窓は手動。バスの窓みたく、つまんで開閉するタイプ。
窓は3分割されていて、真ん中しか開かない設計になっている。

内装。かなりシンプルな感じ…というか削らざるを得なかったのだろう。
インパネ(?)に2DINスペースはなく、ハンドルの奥にオンダッシュナビが設置されていた。

こう見るとなかなかにハンドルがデカいというか、グランエースのハンドルに形状が似ている気がする。

グランエースの内装。ハンドルが似ている気がする。
※公式サイトより引用

メーターは真ん中に配置されていて、デジタル速度計とインフォメーションパネルが鎮座している。ハイブリッド車でおなじみのREADY表示もある。

内装を横から。正真正銘の2シーターである。

シフトはボタン式。
Pレンジはなく、駐車する際はNレンジに入れてサイドブレーキを引く。

電装部品系のボタンは全部真ん中に寄せてある印象。
AC100Vの給電スイッチ、コーナーセンサー、ワイパーデアイサースイッチ、パーキングサポートブレーキのボタンがある。

あとその下にはマニュアルクーラーのダイヤル、その両端にはシートヒーターのボタン。

そう、マニュアルクーラーと書いたとおり、エアコンに暖房機能はない。

荷室。三角表示板と充電ケーブルが載っている。

日々の買い物程度であれば問題なさそうだが、大きな荷物を載せるのはかなり厳しい気がする。間違ってもイケアにこのクルマで行ってはいけない。


乗ってみての感想とか

横浜駅近くのトヨタレンタカーで鍵を受け取り、出発。
若干重いハンドルを回しつつ、みなとみらい方面へ向かう。

なんだこの近未来感。

当然ながらエンジンは積んでいないので100%モーターなのだけれど、発進時の音がトヨタのハイブリッドの音(30プリウスとかアクアみたいな音)で、その後キュイーーーーーーンみたいなモーター音がして面白い。モノレールみたい。

リーフとは別物。リーフは無音で加速していくが、C+podはいわば快音というか、かっ飛ばしている電車のモーター音みたいな音を響かせながら走る。

ただし、音と加速感は一致しない。
音だけ聞けば80km/hくらい出てそうだが実際は40km/h少々。
そんな感じの加速感である。

制限速度は60km/hだが、その周辺の速度域が能力的な限界値といった感じ。
流れが遅い道の左車線、あるいは車体の小ささを活かして細い道を通り抜けるといった使い方が一番ハッピーな使い方だろう。

あと、坂道に差し掛かるとほぼ加速しなくなる。速度維持で精一杯な感じ。
そして坂道発進もかなり怖い。平気で後ろに下がるので、サイドブレーキか左足ブレーキ使って発進するほうが無難。

というか、速度を出す以前にブレーキが弱くて怖い。
普通のクルマの感覚でブレーキを踏んでいると思ったより減速せず追突しそうになる。下り坂で速度が出ていたりするとさらにヒヤヒヤする。
そして、Dレンジしかないので、Lレンジに入れてエンジンブレーキ掛けようと思っても不可能なのだ。(そもそもエンジン無いし)

あと、Dレンジでの停車時、ブレーキペダルをかなりしっかり踏んでいないとクリープで進んでしまうこともあった。
気付いたので良かったが、冷や汗ものだった。

というか、コムスに乗った時もブレーキ弱かったので、この手のクルマは総じてブレーキ弱いのだろうか?

コムス
これもいつか記事にしたい

あと、車体の小ささから想像するほど小回りはきかなかったような記憶があるので付け足しておく。

ただ、そうは言ってもこの謎の近未来感は凄かった。

電気、そして未来の音を響かせながら走る。この感覚は楽しさでしかない。
未来の乗り物に乗っている、という充実感は相当なものだった。

あと、横浜やみなとみらいで視線を浴びながら走るのも心地よかった。


いいところ

目に見える未来感。
パッと見て「これは未来の乗り物」と分かる。

それってけっこう魅力で、駐車場に停まっている自分のC+podに乗り込むまでの数歩で「自分はこの未来のクルマに乗っている」という欲を満たすことができる。その特別感は相当なものだと思う。

そして、乗ってみてもその未来感は崩れない。
アクセルを踏み込むと、車内には強烈に未来の音が響く。
これは、C+podにしかない魅力だろう。音に対して走りは微妙だが。

車体の小ささはかなりのアドバンテージだ。
狭い道が多い地域ではものすごく役に立つと思う。
マクドナルドのデリバリー用にC+podが導入されているのを見かけたが、確かに適材適所な使い方だと思った。

この車体の小ささなのに安全装備が備わっていることも凄い。
プリクラッシュセーフティ(要は自動ブレーキ)も備わっているし、パーキングサポートブレーキ機能も付いている。ボディも衝突安全ボディだし、安全性に関してはかなり考えられていると思う。

あとは、内装面ではほとんど普通のクルマと変わりないこと。
コムスに乗った時は室内のゴーカート感が凄くて驚愕したが、C+podは普通のクルマとほぼ変わらない内装が備わっている。
シートも乗っていて疲れなかったし、躊躇なく普段使いできると思った。

左がコムス、右がC+pod
比べるのも酷だが、確かにC+podのほうが普通の自動車感がある

わるいところ、微妙なところ

内装こそほぼ普通のクルマと変わりないものの、走りやその他諸々の装備においてかなり壁を感じるところ。
加速に関してはギリギリ問題なかったものの(坂道で失速するし坂道発進もかなり気を遣うが)、ハンドルは重いしブレーキは弱いし暖房はないし…
ハンドル軽くてブレーキも普通に効いて暖房も付いている普通のクルマに慣れていると、わざわざこれでEVを選ぼうとはならない気がする。

ちなみに余談だが、エアコン(クーラー)をつけると航続距離が格段に縮むらしい。電装系も同様、AC100V給電機能も使い方によってはかなり航続距離を削るだろう。
機能こそ付いているものの、それを十分に活かせるとはいえないパワートレインは正直かなり惜しいと思う。


環境には優しいのかもしれない

電気自動車(とプリウスのシフト)については定期的に論争が巻き起こっているのを目にするが、自分はそこで肯定も否定もしない。
乗ってみて自分がどう思うか。それを基準軸にしたいと思っている。

そうして乗ってみた超小型EVのC+podは、とても刺激的なクルマだった。

ここまで走らせている実感があるクルマは久々だった。
方向性がほぼ正反対だが、MTの古い軽トラを借りて練習しながら乗るような、そんな懐かしい味さえ感じた。

ただ、実際に欲しいかと言われると微妙である。
MTの軽トラとC+podが同じ値段で買えるとしたら、自分は前者を買う。
その違いは何か。

たぶん、電気自動車のハードルが高すぎるのだ。

そもそも電気自動車を購入するには、自宅に充電設備が必要だったりする。
設置するタイプにもよるが、導入にかかる費用は10万前後が目安だという。

ところが軽トラであれば、充電設備も工事費用もいらない。
駐車場(と維持費)さえあれば所有できてしまう。
エアコン(暖房)も付いているし(エアコンレスとかの仕様は置いといて)、なにより航続距離を気にしてエアコンを使わず我慢するといったことがない。

諸々考えてしまうと、電気自動車は非現実的だなと思ってしまう。


C+podにあって、軽トラにないもの。
それは明確な未来感と、環境への優しさだろう。

レディにもやさしく

走らせるうえで、C+podが環境に優しいのは間違いない。
現実の女の子はぼくに優しくなんかしてくれないのに

そんなC+podは、今年(2024年)の夏で生産終了するとのこと。

強烈な未来を味わえるこのクルマを新車で買うなら今しかない。
気になった方はぜひ。

そして、このC+podが借りられるキャンペーンもまだ継続中のようなので、気になった方はぜひ借りてみてほしい。
近未来の味を、どうぞ。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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