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成人の日。式典がなくても、あなたの晴れ姿をご両親へ見せてあげてください

コロナによる二度目の緊急事態宣言の影響もあり、成人式の中止発表が相次いでいる。

その中で「絶対やる」と実施を決めた新宿区には四方から非難の声も出て、案の定、中止となったらしい。

一方、ディズニーランドでの成人式で有名な浦安市は、早々に延期を決定した。中止と延期では全然違う。僕はこういう判断のできる行政を支持したい。

毎年荒れる成人式なんかなくなってもいいというご意見もあるが、それはそれ。また、「延期なんて、単なる問題の先送りにすぎない」などと批判する輩もいるのだが、「どうしたら実施できるか」ということすら考えることを放棄する方が無責任である。たとえば、敵に囲まれた時、「もうだめだ」といきなり切腹する武士がいたとすれば、そいつはヘタレである。武士とは死ぬために戦っているのではない。生きるために戦うのであり、最後の最後まで戦うか、さもなくば逃げるかを決断するのが武士である。

まあ、別に行政の人間は武士ではないけど、中止せざるを得ない場合は中止したとしても、それまでにどんだけ策をめぐらせたか?それが大事なことではないだろうか。

そんな中、中止によって成人式がなくなってしまった若者に対して、粋な計らいをする企業も現れた。

これはこれで素晴らしい。何年か前に、着物も金も持ち逃げしたとんでもない業者もいたけれど…。

京都きもの友禅がやったのは、成人式が、行政の判断で中止になった人と、オンライン開催になった人を対象に、同社で振袖を購入した人には金額に応じた「商品券」を、レンタルした人にはレンタルした振袖一式をそのまま進呈するというもの。

同社はこんなメッセージを発信している。

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あなたの地域の成人式がどのような形式になったとしても、どうか、ハタチをお祝いする気持ちは、縮小させたりしないでください。むしろ、先行きが見えないこの時代に、大人としての一歩を踏み出す皆さんへ、今まで以上のエールを。今年だからこそ、大きな「おめでとう」を。送りたいと思う私たちです。

一生一度の晴れ舞台を迎える20歳の若者に向けて、本当に良い取り組みだと思います。

これはこれで全然よいのだけれど、さて、そもそも成人式とか成人の日ってなんのためにあるのか?という話をしたいのだが、大多数の人は「20歳になった若者の若者による自分のためのお祝い」だと思ってると思います。

それだけではないのです。

成人の日って、自分のためではなく、むしろ親のためにあるものです。


成人の日とは、親が20年間育ててきた子どもの晴れ姿を見る日なんですよ。だってある意味、子を育てた親として平等に来る最後の晴れ舞台なのです。大学の卒業とか、結婚とかは、ほら、しない人もいるから…。

だから、成人を迎える若者には、その日は自分を20歳になるまで育ててくれた親への感謝の気持ちを伝える日なんだと考えてほしいと思います。

地元で親元に住む子は別だけど、上京して暮らしている男子なんかは、面倒くさがって成人式出ない人もいるでしょ?女子は、晴れ着を着るというイベントがあるから割と参加率高いと思うけど。

田舎から出てきて東京で大学生だった僕も…成人式なんて「面倒くさい」「出るものかっ!」って思ってました。

ですが…

うちの両親は、僕に内緒で成人式を迎える僕のために、秘かにスーツを買ってたみたいなんですよ。2人で一緒に百貨店行って。勿論、当時、僕はスーツなんて持ってなかったから。

いきなり「スーツ、買ったから」って電話きて…

正月に帰省した時に見せられました。

そしたらもーなんていうか…とってもダサい!


どこで売っているんだよって突っ込みたくなるほどダサい。

俺の実家は田舎なので、それこそしゃれたショップなんぞなく、今でこそ地方のメッカ、イオンなんかも当時はなく、地元だけでがんばってるマイナーな百貨店しかなかったわけです。

そこで多分ブランド名忘れちゃったけど、ダーバンかなんかの細かい縦じまの入ったスーツを買ってきてくれた。いかにも反社の輩が着てそうな感じのでした。


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※写真はイメージです。


そのスーツを見て、思わず口に出てしまいました。

「だせぇ!絶対着ねぇよ、こんなの」

言ったあとで(言い過ぎた。怒られるかな…)と思ったんです。それでなくてもうちの父親はカミナリ親父系統で、小さい頃からいつも鉄拳制裁当たり前で育てられてきたから。

でも…

おふくろは「そうかい・・・」と残念そうにスーツを箱にしまい、親父は怒りもせず、無言でタバコふかしているだけでした。

その姿に申し訳ないことしたな、と思いました。

よくよく考えたらファッションなんてまるで無頓着な両親です。多分2人してあれこれ悩んで選んだスーツなんでしょう。僕のサイズがわからないからと、僕の高校の時の学生服をカバンに入れて、店の人にこれと同じくらいとか言って買ってた両親。

成人の日というのは、親として子どもに何かをしてあげられる最後の機会なのかもしれません。

そう思うと、その日は自分のわがままを言っている場合ではないのだと、そう考えました。


成人式当日…

なんだかんだ言いながらそのスーツを着て成人式行きました。

寒い日だったけど
そのダサいスーツが
そのダサさが
とてもあったかく感じられた。

とてもあったかかった。




20歳を迎えた新成人の皆さま、おめでとう!

成人式の式典がなくなったとしても、ぜひやっていただきたいことがあります。式典とは関係なく、自分のご両親に見せるためだけに晴れ姿になってください。その姿を両親に見せて、自分の口から面と向かって「ありがとう」を伝えてあげてください。コロナで正月帰れなかった学生もいるかもしれません。それでも、リモートで自分の晴れ姿を両親に見せてあげてください。特に、男子!成人式というのはそれなんだと思います。

成人の日は、あなた以上にご両親にとって特別な日なんです。

あなたが「おめでとう」と言われる日は、両親にとって、とっても誇らしい日なんです。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。