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男の自殺の最大の理由は「男だから」。

なんで男の方が自殺者が多いのか?

これって日本に限らず、全世界的にそうです。先進国だろうと新興国だろうと民族や宗教が変わろうと何しようと、全部男の方が多いんですよね。

そうなると、自殺における男女格差は、生物学的な性差の問題なのか、脳科学的な脳の作りやホルモンの問題なのか、はたまた、ジェンダー的な社会的役割の問題なのか、いろいろ考えたくなります。

まずは、平成27年版自殺対策白書の2014実績値から、自殺の原因動機別に男女の差を見てみたいと思います。


全年齢で見ても、20-50代で見ても自殺原因の1位は圧倒的に「健康問題」。男女格差はありますが、女性の1位も「健康問題」です。男女格差が著しいのは2位の「経済問題」です。20-50代で見ると、女性の10倍もこの「経済問題」を理由に男は自殺しているということです。

「経済問題」といっても年とともにその理由も変わります。最新の自殺統計(2012年まで)で見ると、以前は圧倒的に「負債」を理由にした自殺が多かった。それが2009年から「生活苦」に逆転されています。2012年では「生活苦」→「負債」→「事業不振」→「失業」という順番。

「健康問題」では、「身体の病気の悩み」より「うつ病などの悩み・影響」がずっと1位です。構成比でほぼ50%弱がそうなっています。

20-50代では3位になっている「勤務問題」では、「仕事疲れ」「職場の人間関係」がずっとワンツーでした。

乱暴に推測すると、「仕事疲れ」や「職場の人間関係に疲れ」により「うつ病」を患うことにより、結果「失業」し、「生活苦」により自殺という流れも考えられます。

これは昔からそうでしょうか。

chikirinさんの2010年のブログを見るとわかります。

これによると、2010年時点では、原因の1位は「経済問題」、続いて「健康問題」と順位が逆転していますが、男女格差が大きいのはやはり「経済問題」です。逆に考えると、女性は「経済問題」では自殺しないということです。かといって「家庭問題」でも「男女問題」でもない。むしろ女性は「健康問題」一択感が強い。女性は借金をしないのか、というより、男性は一家の大黒柱として働き、ローン組んで家を建て…みたいなことが影響しているんでしょう。

となると、自殺もまた貧困が原因なの?と言われそうですが、そうは単純じゃない。

職業別の自殺者数を見てみましょう。

全年齢ベースで見ちゃうと、60代以上の退職者も多く含まれるため、当然無職者の自殺数が多いんですが、20-50代で見ると断トツに「雇用者・勤め人」が1位なわけです。

前回、配偶関係別に自殺者数を比較しましたが、その時でも絶対数では、「有配偶者」が一番多かった。つまり、結婚して家庭を持って、ちゃんと企業で働いている状態のままで自殺する男性が多いということです。しかも、それら男性は「身体的な病気」というより、ほぼ半分は「うつ病」である。

こうなると生物学的、遺伝子的性差というより、やはりジェンダー的な社会的役割によって「男が自殺するのだ」と考えざるを得ません。

「男は働くべき」「男は家族を養うべき」「男は我慢すべき」…

山本五十六曰く、「苦しいこと、言いたいこと、不満…。それらをこらえていくのが男の修行である」。

それはある種、男としてひとつの美学として承認されてきたこと。しかし、皮肉にも、そんなあるべき男の姿によって、男は自殺へと導かれている

「働くべき」男が、何らかの理由で働けなくなることも、「養うべき」男が、何らかの理由で(負債を抱えずとも)金を稼げないことも、男にとっては男であることのアイデンティティの剥奪であり、それは「死」に等しい絶望なのか。そもそも「うつ病」になる要因も仕事上において「あるべき男」になれなかったことに起因したりもするのではないでしょうか。

男の自殺の最大の理由は「男だから」なんではないか。むろん、ここで言う「男」とはセックス上の「♂」だからという意味ではありません。

NHKのクローズアップ現代のアンケート結果をご紹介します。

男が生きづらさを感ずるのは「仕事での人間関係」が断然多く、次いで「収入の不満足」「労働時間の長さ」「家族との関係」だった。さらに、そう感じる理由では、「夫・父・恋人として求められる役割」「男らしさという幻想」が特に多い。求められるさまざまな男性像と現実とのギャップを埋められずに悩む男たちの姿が見える。

男を苦しめる「男らしさ」について、さらに深堀りしていきたいと思います。

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