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少女と悪魔 あとがきと裏話

pixivにて、「少女と悪魔」という短編小説を投稿しました。
これは2010年に投稿して掲載していた「君に捧げるレクイエム」という小説を原案にしたものです。
こちらでは後書きと裏話を書いていきますので、読了推奨です。

あとがき

 noteの出だしからあとがきなのはなんだか変な感じですが(笑)。
 上述の通り、こちらは今から12年も前に書いたものを原案にしています。「魔女狩り」というダークなモチーフを、「創世記の大洪水」と絡めて童話調で書いてみよう、と思ったのが始まりでした。
 主人公はアリアとレクイエムから、ミーナとファウストへ受け継がれました。主人公が意地悪なおばあさん(魔女)と暮らしているのはそのままに、ファウストが人外なのもそのままに。アリアには友達がいなかったので、ミーナには小鳥と薔薇、それからドルフにも友達になってもらいました。
 前作(と言うのもなんだか変ですが)では、「悪魔と交流できるものが魔女」と定義づけたため、悪魔のレクイエムと友達になってしまったただの人間のアリアは魔女となってしまいました。こちらでは「アリアだけは助ける」ように人間と約束を交わして処刑されたレクイエムが、その約束を破られた怒りで大洪水を起こしました。この後少し「眠り姫」を絡めてハッピーエンドとしましたが、メリバを愛するワタクシ、ふたり生き残ってもらうか本当に悩んだのです。でも「大好き」で終わることに決めて、めでたしめでたしで終わったんです。
 今作は「かつて聖女と呼ばれていた存在が、ある身勝手な老婆レジーナによって歪められたものが魔女」と定義しました。この物語の(前作も今作も)人間たちは堕落しきっているので、自分たちに都合の悪いものは「排除しなければならない悪」、と思い込んで好き勝手しています。ですので見かねた神様が世界を綺麗に洗い流そう!と大洪水を引き起こす力をファウストに与えました。人間の気配の全くない終わりを迎えた前作と違い、今作では粘土になってもらいました。これは「ギルガメシュ叙事詩」でも大洪水の記述があり、そこでは大洪水のあと、「すべての人間は粘土に変わっていた」とありました。では人間は神様が粘土をこねて作り出したことにして、大洪水のあとは粘土に戻ってもらおうね!と言うふうに決まりました(笑)。物語のラストで粘土たちが平伏していたのは、神様がミーナに「とりあえず形だけ作ったけど、どうする?この世界にまた人間必要??」と問いかけている、と言う意味でした。このあとミーナはどうするんでしょうね。
 物語のラストは、書きながら本当に悩んでいました。メリバにするか、ハピエンにするかです…(笑)。神様の力を返すために、ファウストを神の元に送るか、何もかもを洗い流すのでミーナたちみんなを海に沈めてしまうか…。でも、新たな世界でミーナが大切な友人たちとどう生きるのかが気になって、ミーナの友達はミーナも含めてみんなに生きていてもらうことにしました。いつか本の形にできたらいいな、とは思っています。1万字超えの物語を書いてスタミナ切れですので、すぐに書くかは感想とかいろんな反応次第ではあるんですけど。褒められたら伸びる(書く)タイプなので。
 こんなテイストの物語をもう一つ大事に抱えているので、その物語もなんとか陽の光を与えてあげられたらな、と思っています。

裏話

人物紹介

  • ミーナ:この物語の主人公。心の優しすぎる少女。聖女の末裔(最後の聖女)。基本的に誰にでも親切だが、人間ではないため、非情に振る舞うように見えることがある(友達が死んだら悲しいが、他人が死んでも基本的に悲しくない。可哀想とは思う)。

  • ファウスト:ミーナの守護者となった少年。かつてのミーナの守護者・エレノアの子。元の翼は白であったが、森に潜むために黒く染めた。エレノアの子なので「エレン」と自分に名前をつけていた時期がある。ミーナがつけてくれたのでもう捨てた。もしかしたら厨二病の時期もあったかもしれない。

  • ドルフ:ファウストの友達。聖狼。狩りを司る天使であり、狼たちの王でもある。マジで人間が嫌い。神様はどうかしてるんか?とさえ思っている。

  • 小鳥たち:ミーナの友達。本当はフェイ、と言う共通の名前をもつ風の妖精。

  • 薔薇:ミーナの友達。ロゼッタと言う名を持つ薔薇の妖精。方舟の守護者もやった。ちくり。

  • エレノア:かつてのミーナの使い魔。魔女の目を欺くために母娘を演じていた。ファウストの母でもある。

  • レジーナ:美しさに執着するあまり国を追われることになった元女王。

  • 神様:エリアス。世界を作った人。適当な土と水で人間を作ったら堕落し放題で大失敗。今度は素材にこだわろうと思っている。

  • 太陽:サイラス。神様の息子。火を司る神でもある。ミーナのガチオタ。ミーナに仇なす奴のことは逐一神様にチクっている。レジーナまじで許さない。念入りに燃やした。地獄でも燃やし続けている。

裏話

 この物語自体が、人間による口伝、という設定なので、人間の知らない言葉は適当な言葉に変えられている、といった感じです。
 なので、小鳥たちは「共通思念を持ち共通の名前を持つ風の妖精」、薔薇は「薔薇の妖精」、使い魔は「聖女の守護者」という本来の名称があります。本当はこの童話調の物語の後に、また視点の代わった物語をくっつけようと思っていたのですが、想像以上にこの童話部分のボリュームがあり、今回は童話部分だけの物語になりました。童話の後に登場する人物として、神と太陽がいたのですが、書けずに終わっています…。それとなく存在感だけは出しておきました(笑)。本になったら…加えます…たぶん…おそらく…きっと…。
 魔女となってしまったレジーナは、イメージはエリザベート・バートリーです。聖女の弟子になるくらいですので、本来はこんな狡猾で美しさだけに執着する女ではなかったのですが、歳を取ったので男に捨てられた、というコンプレックスがあるという設定がございました。これも書くことはなかったんですけど。その後とある国の王に見染められ、美貌ひとつで女王まで登り詰めますが、美へのあまりの執着(処女の血を浴びる、聖女を食べるなど)に追放刑に処せられました。まあ元々彼女の興味は美しか無くなっていたので、追放刑になろうが気にならないんですけどね。
 初めは悪魔と守護者を分けて書いていたので、ドルフは元々大悪魔ファウストの使い魔として考えていたのですが、「そうだ、聖女の守護者が悪魔呼ばわりされたことにしよう」と思いつき、今の形になりました。使い魔がさらに使い魔持ってるのおかしくないか…?となったので、ドルフは偶然ファウストと友達になっていた存在、ファウストはミーナの使い魔に、といった感じです。大悪魔ファウストも良かったんですけどね…他の形で書くかもしれないです。
 これは前作の裏話になりますが、元々は赤ずきんをベースにしようと考えていたので、相手役は悪魔ではなく狼にしようと思っていました。考えていた流れは、意地悪なおばあさんによって虐待されていた主人公は、村からダムが決壊して洪水になるかもしれないから逃げるように、という伝言を頼まれましたが、それをおばあさんに伝えませんでした。それを知ったおばあさんによって、主人公は辱められてしまいます。それを見た友達の狼がおばあさん(や諸々の人)を食べてしまい、猟師に腹を破られ石を詰められる…。そしてさらに、主人公が狼を使っておばあさんたちを殺したと思っている人々に処刑されそうになり、そこへ大洪水が起きて、瀕死の狼が必死に主人公を助け…といった流れになる予定でした。大洪水はどうしても書きたかったんですね、私(笑)。

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