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本郷シェアハウスプロジェクト(仮称)、始めます

本郷キャンパス周辺に空き家を活用したシェアハウスをたくさん作ることを目指した「本郷シェアハウスプロジェクト(仮称)」を4月より進めています。一緒に進めてくれる人を絶賛大募集中ですので、少しでも興味を持った方がいればSNS等でお声がけください!以下メールでもOKです。
takanofight16[ ]gmail.com ※[]内は@にしてください

また本PJは建築都市社会実装スタジオ ASIBAの2期プロジェクトとして採択されています。詳しくはこちらからご確認ください。

3年前の夏、キャンパスが駒場から本郷に移るタイミングで、「おくのほそみち」というシェアハウスに入居した。旗竿敷地特有の細長いの路地奥にある、24時間陽が当たらない2階建て木造戸建ての我が家には、常に8-10人くらいが入れ替わりながら住んでいる。僕の部屋は1階リビング横の3人部屋で、光熱費・水道代・日用品代全て込みで月3万円(当時は2万円だった)。ルームメイトのひとり、高橋さんは僕の親友の兄で高校の3年先輩。学部留学に挑戦・東大で理転・交換留学など進路もほぼ同じの腐れ縁だった。もうひとりのルームメイトで、今のASIBAでのボス・二瓶さんは当時建築学科にどっぷり漬かっていたっけ。

入居初日に高橋さんと深夜テンショントークをしていて、TEDxUTokyoというイベントを復活させることを思い立った。高橋さんから昔TEDxをやっていた人たちにつないでもらって、初期の体制を検討していった。また当時シェアハウスの主にして唯一の社会人だった根本さんはTEDxにずっと関わってきた方で、特に多くのことを教えてもらった。最初に開催した小規模のイベントにはおくのほそみちの人達がたくさん来てくれた。6月に安田講堂で開催した450人規模のメインイベントTEDxUTokyo 2022 "Patchwork"では、二瓶さんに素敵なステージを作ってもらった。もちろんおくのほそみちの人達がたくさん来てくれた。

おくのほそみちの人達に助けてもらったのはもちろんTEDxだけに限らない。3年の秋から交換留学をしたくて、大量のエッセイを書かないといけないときには、高橋さんと2階の住人のひとりハマさんにたくさん添削してもらった。忙しすぎてしんどいときには高橋さんがご飯を作ってくれたし、二瓶さんが隣で一緒に徹夜してくれた。同じサッカーチームを応援していた2階住人の慎一さんとは、夜中叫びたい気持ちを我慢しながら一緒に試合を観戦した。高橋さんと二瓶さんとはずっと建築とか都市の話をしていて、何も知らないのに知った気になっている僕に、広くて深い世界を教えてくれた。自動車免許の試験前日にジェイコブスの映画を3人で鑑賞して、免許を取りに行くのを辞めたことは今でも覚えている。

僕がおくのほそみちで最初に撮った写真は、ジェイコブスの映画を見る準備をしている二瓶さんだった。11月なのに真冬みたいに寒そうだし、リビングの机は未だかつて綺麗だったためしがない。
なぜか高級な肉を囲んですき焼き。根本さん提供??

留学から帰国した後ももちろんこの家に住んだ。二瓶さんが始めたプロジェクト(ASIBA)にジョインすることになって、気づいたら確かなムーブメントになっていた。本当に多くのことを勉強させてもらっているし、いつも背中を強く押してくれる。高橋さんはずっと修論が大変そうで、大学院の怖さを知った(ヒエ)。高橋さんが担っていたシェアハウスの綱紀粛正係、ちゃんと引き継ぎます。大学で夜遅くまで作業して帰ってきて、早く寝ないといけないのに、リビングでみんなとする話が楽しくて、つい毎日夜更かししてしまう。

冬は外より寒いし、汚いし、リビングの話し声で寝れないことも起きちゃうこともあるし、電気を消すとかドアを閉めるとか掃除するとか当たり前のことをしてくれなくてイライラすることもある。でも本来「暮らす」とはそうやって他人と折り合いをつけながら生活することのはずで、これまでノーストレスに暮らせたのはみんなのお母さんやお父さんがなんでもやってくれたからに過ぎない。自分達で一緒に住む人を探して、家賃とルールを決めて、掃除して、時々みんなで鍋を囲んで。そうやって暮らしてきたこの家が、僕は大好きで大好きで仕方ない。

思うに、1人暮らしという住まい方はもっと問われるべきだ。みんなでシェアすれば、キッチンもリビングもお風呂も大きくなるし、家賃も光熱費も水道代も安くなる。日中嫌なことがあっても、家に帰れば愚痴を聞いてくれるし励ましてくれる。もちろんそれが疲れる人もいるだろうし、シェアする相手が仲いい友達なら、という前提もある(僕は入居段階で高橋さん以外初めましてだったけれど)。でも、確かに自分の部屋で居心地よく暮らせる人は実家やワンルームの方が合っているけれど、24時まで大学に残っているような人種は絶対にシェアハウスに住んだ方が幸せだ。

1人暮らしやワンルームマンションという形態は、若者というライフステージを、家庭を持つ前の未熟な段階として捉えているから存在するのだと思う。ワンルームで1人暮らしするところから始まり、安めのアパートで恋人と同棲して、結婚して子供ができたら広い家に引っ越すのが近代家族規範の王道ルートなわけだが、「住む」という行為は必ずしも家族と結びついている必要性はないはずだ。もちろん子育ての過程では「家族」として住むことが必須になってしまうが、その前段階を「家族になる前の未熟な期間」としてではなく、「自由な暮らし方を追求できる期間」として捉えることもできるはずだ。当然その中にシェアハウスという暮らし方も選択肢として存在しているはずで、実際に欧米ではほとんどの学生は寮で暮らすかシェアハウスをしている。しかし残念ながらこの国ではnLDKと「標準世帯」主義が都市の隅々にまで浸透していて、シェアハウス向けに建てられた物件以外をシェアすることは奇跡に近い。

でも僕は幸運にもその奇跡に巡り合えた。少しのインターンだけで、ろくにバイトもせず、ただひたすらやりたいことに全力で打ち込めているのは、月々3万円(光熱費・水道代・通信費・契約更新費・日用品代を含む!!)でこの家に住めて、この家でたくさんのやりたいことと素敵な人たちに出会えたからだ。

僕はそんな幸運な人を本郷にたくさん増やしたい。自分の思う「幸せ」を押し付けているだけかもしれないけれど、おくのほそみちの人達はみんな我が家を気に入っているし、入居希望者もたくさんいるから、きっと多くの人が同じニーズを持っているはずだ。東大生じゃなくても、学生じゃなくてもいい。この街にたくさんの若者が安く暮らせたなら、気が合う人と出会い深夜に語り合えたなら、きっともっとたくさんの挑戦が生まれる。私達は仲間と場所を必要としているから、もし街中の空き家を使えたなら、タケノコみたいにプロジェクトが生えてくるだろうし、毎晩どこかで自分語りが繰り広げられているだろう。親にひとり暮らしをさせてもらえない人も、バイトで忙しい人も、コミュニティが狭い人も、みんながもっと自由に生きれるはずなんだ。

同時に、僕は本郷という街が大好きだ。この街には心に誓った中華があるし、豚汁があるし、カレーがある。徒歩5分で全てが完結するこの街が、歩いていれば誰かに出会えるこの街が、挑戦を応援してくれる大人がいるこの街が、共に歩める仲間がいるこの街が、本当に大好きだし、いい街のまま残ってほしい。この街にはずっと昔からある素敵なお店と建物がたくさん残っているけれど、少しずつ箱型のマンションに変わってしまっている。地価は上がっているのに、家主の高齢化もあって、空き家は増えている。この街の空き家に学生が住みつき、街のイベントを盛り上げたり、昔からのお店でご飯を食べたりすることで、この素敵な街の姿を残すことに少しでも貢献できないだろうか。オーナーの方々に、更地にして小奇麗なマンションを建てる以外に、世代を超えて温かいつながりを作れるようなオルタナティブを提示できないだろうか。

このプロジェクトでは、本郷キャンパス周辺の空き家を活用して10個以上のシェアハウスを運営することを目指す。いろいろな学生のためのガレージや、お店をやってみたい人向けのポップアップ店や、街の人と学生が一緒にくつろげる銭湯も作りたい。ポイントは入居希望者をたくさん集めることと物件を探すことで、まだ確定ではないが、「街ing本郷」や「本郷のキオクの未来」といった既存プロジェクトと連携しながら進めていく。

やるべきことはたくさんあって、ひとりではどうにでもならないから、一緒にプロジェクトをやりたい人、不動産とか空き家活用をやってみたい人、本郷に激安で住みたい人、ちょっとでいいから手伝ってくれる人、誰でもウェルカムです。お待ちしています!!!

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