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正義の味方は難しくても、ヒーローにだったらなれるかもしれない


最近、生まれて初めて「クレヨンしんちゃん」の映画を見た。画面の中のしんちゃんは間違いなくヒーローだった。

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正義に憧れる

「ヒーロー」というヤツは往々にして「正義の味方」みたいな呼ばれ方をしている。

もしその二つが完全に同義なのだとしたら、私は割とヒーローになりたいと思う方だ。なぜなら正義に憧れるから。


正確な言い回しは覚えていないが、中学生の頃に読んだ浦沢直樹の20世紀少年で主人公のケンヂが敵役に

「悪になるのは大変だ。正義の味方になる方がよっぽど楽だ」

なんて言ってのけたシーンがカッコよすぎて、こんな人になりたいと思った記憶がある。

正義に憧れる理由に大したものはないのだが、普通に善い行いとかしたいし、地獄に行くぐらいなら天国に行きたい。嫌われたくないし、近い人には幸せになってほしいし、それに感化されて自分も幸せでありたい。


こんな理由しか出ないから、自分が善い人間だとは全く思わない。対外的な評価として、善であると思われたいだけだから。

だとしても、私は正義でありたい。


正義になるのはむちゃくちゃ難しい


多くの人は正義が正しいと知りながら、心に悪も持っていると思う。
物事に対して穿った見方をしたり、平気で小さな嘘を積んだりはしていないだろうか。それは正義より悪に近いはずだ。

正義と悪の間で揺れる事は仕方ないし、どちらかに振れている人なんてそうそういないだろう。

前述のケンヂのセリフも「悪に染まるか、正義に目覚めるかは自身の選択に委ねられている」というニュアンスが含まれていることから、大体の人間は中間点にいると考えているのだろう。


それはフィクション性を排除した、無慈悲な現実でしかない。


フィクションに比べ現実世界で善悪が分かりづらいのは、常に善と悪が表裏一体だからだろう。誰かにとっての悪はきっと、別の誰かにとっての善であるはずで。

これはある程度仕方のない事であり、ある意味では正解であるべきだと思う。全員に振りまく無償の愛は、周りの数人に注いだ方が幸せになれるかもしれない。故意的では無くとも、そのプロセスの中で誰かに悪だと批判されたとしたら、それは一定仕方のないことなんだろう。


ちなみに、間違えてほしくないのは個人の幸福よりも周囲の幸福に身を捧げられる人の事は当然、心の底から尊敬している。自分には到底なれない姿だと思う。

ただ、ほとんどの人はそんなに立派ではないという話だ。


「僕たちはもう、ヒーローしかいらない」


これが21卒の採用コンセプトらしい。ということは半年後かそこらに内定が出ている後輩たちはきっとヒーローなんだろうし、「正義」なんだろう。


本当に?


前章にもある通り、正義になるのはすごく難しい。
しかもそんな聖人君子ばかり集めても事業が全く成り立たない。

別に、圧倒的に正しい「聖人」を集めたい訳ではないんだ。

つまり、採用コンセプトの「ヒーロー」は「正義の味方」という意味ではないのだろう

ヒーローの定義は2日前の記事で根本がまとめてくれているので、それを参照してほしい。


忙しい方の為に文中からヒーローの定義を抜き出すと:

 1. ヒーローは「助けてくれる」
 2. ヒーローは「諦めない」
 3. ヒーローは「遅れてやってくる」
 4. ヒーローは「美学がある」
 5. ヒーローは「一人じゃない」


これらをまとめると、ヒーローは「正義の味方」ではなく「救世主」なんだろう。

何かあった時に頼れる人、助けてくれる人こそがヒーロー。


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最近、生まれて初めて「クレヨンしんちゃん」の映画を見た。

2001年に公開された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」という映画だ。

大学の講義の一環で見ることになったわけだが、当然最初は「何でこの映画?」という気持ちは大いにあった。ただ、ここ数ヶ月で見た映画の中でもトップクラスに面白かったし、しんちゃんのヒーロー性に感動してしまった。

凄く大まかに言うと日本の危機に野原家が立ち向かう話なのだが、しんちゃんは「日本を救う」みたいな大仰な気持ちでその場に立っていなかった。

「オラ、父ちゃんと母ちゃんやひまわりやシロと、もっと一緒にいたいから。けんかしたり、頭にきたりしても一緒がいいから。」


あくまで自分のすぐ近くの人の幸せを思った行動が大きなものに繋がっただけであり、結局はそのぐらいのモチベーションじゃないと人は行動を続けられないのかもしれない、と思わされた。


このサークルのためなら、このプロジェクトのためなら、この人のためなら、と小さな規模であれ頑張れる要素を見つける事が出来たら、その瞬間はヒーローになれる


これから就活を始める21卒の皆さん。

今後、多くの企業を受ける事になると思うが、その中で「この〇〇の為なら」と思える要素を各企業で探していくのはマッチ率を高める方法になるのではないだろうか。

それが一つでも見つかれば、あなたはその会社にとってのヒーローになれる。


何万回も言われている事でいまさら価値の薄い言葉ではあるが、人生に一度しか無い新卒なんだ。
これを棒に振らないために、皆さんには自分がヒーローになれる企業をぜひ本気で探してほしいと思う。


文責:清田

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