イマヌエル・カント「人間の価値」

随分ご無沙汰してしまいました。
今回は、デンマークの哲学者であるイマヌエル・カントの思想から「人間の価値」について考察したいと考えております。

カントは、「価値」というものを「価格」と「尊敬」の二つに分類しました。価格は相対的であり、尊厳は絶対的であると定義しました。皆さんもよくお分かりだと思いますが、「価格」は文脈に左右されながらも個体の差によって数値的に価値がつけられるものです。ここには一つの「市場」が働いていると言えるでしょう。例えば、人間の価格を決める市場としては、恋愛市場、就職(新卒)市場、転職市場、受験も一つの市場と言えるかもしれません。私たちは明確な指標に基づいてpriceを決められているのです。一方、「尊敬」はどうでしょうか。先述した通り、尊厳は絶対的なものとして存在しています。そのため、一人一人の人間が個を尊重されることによって価値となるのです。これは巷で言われている人権的なものであるでしょう。本来、この二つは基本的に分離して考えなければなりません。つまり、人間の価値としての「価格」を否定されたからと言って、あなたの「尊敬」を否定しているとは限らないのです。例えばあなたが就職活動中の学生であったとしましょう。就活市場では、学歴(学校歴)、資格、具体的な経験が価格の指標となります。もしあなたがMARCHと言われる大学に通う学生で、東大生しか入れないような企業にエントリーシートで落ちてしまったとします。エントリーシートは、あなたの学歴と簡単な志望動機だけですから、あなた自身の尊厳が否定されたのではありません。こういうロジックです。しかし、このように考えるのは、感情を持つ人間としては難しいでしょう。priceはあなたがこれまでに生きてきた一種のシンボルや遺産のようなもので、あなたの人生のターニングポイントを表しているからです。もしあなたがpriceとdignityを混同してしまうなら、あなたに1番のpriceがつけられる市場で戦うことをお勧めします。