【考察】老いについて

久しぶりに母方の祖父母の家に帰った。
数ヶ月ぶりのはずなのに、ひどく老けて見えた。
祖父は82歳になる。顔には皺が増え、立ったり座ったりするのも心配になるくらい痩せていた。毎日決まった時間に起き、ルーティンのように朝食を食べて新聞を読み、ニュース番組に意見する。買い物以外では積極的に外出しようとしない。テレビを見ていても、番組を見ながら当たり障りのない雑談をするか、ネガティヴな出来事に愚痴を並べることしかしていない。車の運転をさせれば、もう60キロをオーバーする勇気もないくらい自信がなさそうな走行。笑うことも少なくなってきた。何かを新しく学ぶことも放棄している。
私が大学に入り、アルバイトをし、就職活動を始めて大きな経済力を得ようとするにつれて、祖父母は貧弱になってきているように思われる。大好きな祖父母だったはずなのに、最近は老害だとも思う。一緒に外を歩くのが恥ずかしい、とさえ。

老いるということ。それは老いから来る自信のなさなのだ。死ぬことが怖いのだ。若さに負けるのが怖いのだ。新しい価値観を受け入れるのが怖いのだ。あゝなんと悲しい哉。その恐怖が精神、そして身体の老いに繋がっていることよ。反対に、老いを受け入れる強さ、過去の人生からの自信、若さに対抗する精神があるのなら、その人は若いままなのである。