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面目一新

ーGWプランに秘策あり(4)

タカセ洋菓子・池袋本店(東京都豊島区)が店舗を構えるタカセセントラルビル。最上階にあるコーヒーラウンジは、窓からJR池袋駅東口が見渡せる。決して風光明媚とはいえない。ただ雑踏を見下ろす気分は悪くない。むしろ、どこか高揚感がある。奥さんも同様に感じているようだ。俗に「馬鹿と煙は高いところへ上る」というが、わが夫婦はそうでないと信じたい。

連載『GWプランに秘策あり』シリーズ:「(3)ーギャップ萌え」「(2)ー追憶のタカセ洋菓子」「(1)ーカギ握る『安・近・単』

目の前の景色

古めかしいエレベーターに乗り込み、9階へ。ドアが開くと、そこには予想以上の空間があった。"昭和レトロ"なコーヒーラウンジが目の前に広がる。名ばかりのラウンジを予想していたが、それが良い意味で裏切られた形だ。「おー、すげー」と、夫婦揃って驚きの声を上げる。

テーブルはそこそこ埋まっていたが、2階の喫茶室、3階のレストランに比べれば、まだゆとりがある。奥さんが目ざとく奥にあった窓際の空席を見つけ、案内役の男性に了承を得て、そこに腰を落ち着かせた。窓の外に雨の池袋。眼下に信号が青になるたびに動き出す小さな人波。悪くない。

白のタキシードを着込んだ男性の給仕係がオーダーを聞きにくる。柔和な表情だが、きちんとした振る舞い。その仕草から仕事に対するプライドがにじみ出ている。お笑いコンビ・とろサーモンの久保田かずのぶにどこか似ている。奥さんにこっそり伝えるが、このコンビをそもそも知らないらしい。

プリンアラモード

タカセ洋菓子のプリンアラモード

4月末に誕生日を迎えた奥さんのバースデーケーキを一緒に食べる予定だったので、迷わずショートケーキとドリンクのセットを注文。初めて行くカフェでは、必ずショートケーキを頼むのがマイルールだ。ショートケーキはどの店にも置いてある定番メニュー。他店と比較しやすい。

一方、奥さん。ずいぶん長い間、悩んだ挙げ句、意外にもプリンアラモードとドリンクをオーダー。理由を尋ねると、奥さんが幼い頃、家族と外食した際、デザートの定番はプリンアラモードだったとか。昭和レトロな店の雰囲気に当てられたのだろうか。一口ひとくちを満足そうに口に運んでいた。

奥さんの誕生日当日にケーキを準備しなかった罪滅ぼしはできたはずだ。(終わり)

(写真〈上から順に〉:タカセ洋菓子のコーヒーラウンジから見る眺め。ネオンきらめく夜景が美しそうだ=りす撮影、奥さんがオーダーしたプリンアラモード。幼き日を思い出したという=奥さん撮影)

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