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【詩】欲望から乗り換えて

 なるほどかつて 欲望に乗ってやってきて
 それからやがて 絶望に向かい去っていく
 待ち人来ずの 悲しき婦人
 街にも 人にも 妹にも 追い出され
 彼女は奪われた それも紳士的に

 この街に初めてやってきた時 彼女はとても真っ白だった
 やがて男に襲われると 「最初からこうなる定めだった」と 身動きできずに囁かれ
 その全てが彼女のさが 幼い頃に失った 青い瞳の尊き青年

 崇拝したから失って 失ったから移ろいでいた
 片足で立つフラミンゴ その正体はタランチュラ
 今も獲物を待っている—来ないで欲しいと願いながら

 そうして満たす快 それに惹かれる破滅の衝動
 ああ、タナトス お前はこいつと一体になるのではなかったのか
 そうして人は生きていくと そう言ったのではなかったのか
 女は熱いお湯に浸かったが 今度は赤子の生湯となるのだ
 品があると言い続けたが 所詮は電球に紙提灯 破いて仕舞えば白日の元
 晒される過去の過ち 全ての建前を失って 最後に縋るあの瞳
 纏う青はマリア様—あのお方の外套に同じ—

 車内販売が通り過ぎ、盲目の死神が通り過ぎた
 最後はもはや女の番 紳士につれられ行くが良い
 初めに語った 言葉の通り やがて天国に行けるのだと

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