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〈新版〉日本語の作文技術【ブックレビュー】

近ごろ、なぜブックレビューを書くようになったのか?

素晴らしい本をたくさんの人に知ってほしい思いに加え、自らの記憶に留めておきたいと思ったから。

自らの振り返りとして、自省を込めて読み返したい。

本書は、朝日新聞編集委員を経て『週刊金曜日』編集委員を務めた本多勝一氏による

〈新版〉日本語の作文技術

出版社: 朝日出版新聞
発売日: 2015/12/30(第一刷)


対象とする文章はあくまで実用的

本書では、文学的なものは扱わない。事実的・実用的な文章のための作文技術を考える際、読む側にとってわかりやすい文章を書くことを目的とする。

就職の順序や句読点、助詞の使い方など、例文をもとにロジックに説明されている。

作文技術について丁寧に解説されているものの、ツルツルっと読みやすい、、という類の書籍ではないかもしれない。


無神経な文章

修飾語の順序、助詞の使い方は大いに参考になったが、中でも第八章「無神経な文章」は必読だ。

直接的にはわかりやすくても読者を引っぱってゆく力に甚だしく欠けるため、途中で投げだされてしまって結果的に「わかりにくい文章」と同じことになってしまう問題

これらが取り上げられている。

何が読者を拒否するかといえば、つまるところそれは文章が無神経に書かれている場合である。書き手の鈍感さが読者を拒否する。

ここで6つの問題が取り上げられる。

この中で、体言止めの使用について筆者は以下のように説明する。

例外的な場合とか目的がある場合は別として、第一級の文章家は決して体言止めを愛用することがない。

この他の問題についても、身につまされるものばかり。是非読んでみてほしい。


リズムと文体

最後にはやはりリズムが大きく影響するものだと筆者も言っている。

さまざまな文章読本があるが、それらもリズムの大切さを訴える。

鈍感でない文章ということになってくると、その終極点はたぶんリズム(内旋律)の問題になるだろう。

小説家ではあるが、かの村上春樹氏もこう語る。

何が大事かっていうと、リズムですよね。文章にリズムがないと、そんなもの誰も読まないんです。(小澤征爾さんと、音楽について話をする 新潮社)

呼吸をさまたげない、のどごしのよい文章を目指したい。

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