文章のみがき方(辰濃和男:著)①【ブックレビュー】
自分の文章は周りから見ると、どんな風に映っているのだろうか。
いい文章か、はたまた悪い文章か。
それを判断するのは自分だったり、周りだったり。
文章をどんなふうに磨いていくといいのだろうか。
本書は、『朝日新聞』のコラム「天声人語」の元筆者である、辰濃和男氏による
文章のみがき方
出版社: 岩波新書
発売日: 2007/10/19(第一刷)
すでにブックレビューを書いた「文章の書き方」の姉妹編でもある。
38章からなる、筆者の学び
本書は、筆者がさまざまな方々の文章論や作品に触れるなかで、そこから学んだものを38章に分け、まとめたものである。
作家に限らず、画家や舞踊家なども含まれており、著者の幅広い視野・知見がギュッと詰まっている。
筆者が思ういい文章の一番の条件は、「これをこそ書きたい、これをこそ伝えたいという書き手の心の、静かな炎のようなもの」だという。
大切なのは、書きたいことや伝えたいことをはっきりと心でつかむこと。
そのとき、静かな炎は、必要な言葉を次々に贈ってくれるのだという。
私が筆者の言葉の中で大好きなのが
「文は心である」という一文。
そして、そのためには、果てしなく続く道を地道に歩き続けることが大切なのだ。
本記事では、38章の中から、いくつか心に留め置きたいものを紹介しようと思う。
毎日、書く
noteを毎日書いている人もたくさんいらっしゃることだろう。
毎日書くということが大変であるのは間違いないが、吉本ばなな氏もこう言っている。
私のように、「思い立ったが吉日」と書いているようではまだまだだ。
とにかく毎日書いてみる。
仕事であろうと、なかろうと。
継続は、気づかぬうちに力となっている。
繰り返し読む
村上春樹氏はこう言っている。
筆者は「いい文章を読むことは、いい文章を書くための大切な栄養源だ」と言う。
文章を磨くには、ただ書くだけでなく、読むことも学びの一つになる。
たくさんの本を読み、書き抜き、傍線を引き、感想を書く。
その本としっかり向き合い、繰り返し読む。
その本を好きになる努力も大切だと筆者。
その作品を正当に評価し、ほめる。
それが、自らの文章を磨く糧になる。
歩く
何となく筆が進まないとき、「歩く」という作家さんは少なくない。
単なる散歩でも、買い物でもいい。そこで見たもの、聞いたもの、味わったもの、香ったものが一文となり、それらが集まり文章となる。
筆者は「書くことは大地という書籍を読むこと」だと言う。
「ああ、書けない」
そう思うと、ついついパソコンの画面をにらめっこしてしまう。
さて、少し散歩でもしてみようか。
小さな発見を重ねる
これは文章について語ったものではないと言うが、日々小さな発見をすることは、文章を書く上でも大切な心構えになると筆者は言う。
日々のちょっとした気づきが、人の心を大きく動かす文章を生む。
「神は細部に宿りたもう」とは、向田氏の言葉。
肩の力を抜く
ついつい、
「いいことを書かなきゃ」
と思ってしまう人もいるのではないだろうか。
私もその一人。
でも、まずは書かなければ始まらない。
宇野千代氏も文章を気楽に書き始めることをすすめている。
毎日机の前に座り、肩の力を抜いて、頭の中に浮かんだことを正確に書く。
見たこと、考えたことを、正確に書く。
正直に飾りげなく書く
さらに、夏目氏はこう言ったという。
「自分が思ったこと感じたことを素直にさえ書いていれば、そのうちには文章が上達してくるし、思想も次第に固まってくる」
これは必ずしもそうではなく、正直に書くことを積み重ねることが大切だと。そして、「思想」というのは、ものの見方とか考え方などといった意味で言っているのだろうと筆者。
いわゆる美文ではなく、自分の見たこと、感じたことを写生的に書く練習をする。
そして大切なのは「解釈」だと夏目氏。
自分を解釈する。人を解釈する。天地を解釈する。その解釈する力が他の人と違っていれば、他の人の解釈よりも深ければ、優れた文章が生まれる可能性があるのだ。
具体性を大切にして書く
一つひとつ、積み重ねが大切。
具体的なその一つひとつを積み重ねてゆくとき、それだ土台となり、初めて一つの抽象的なものが説得力を持つ。
もし、その一つひとつがいい加減な形だとしたら?
いずれ、早かれ遅かれ、その積み重なりは崩れ落ち、何も残らない。
ゆとりをもつ
心がギスギスしていると、笑いも何も起こりはしない。
今、心に余裕はあるか?
机に向かい、文章と対峙するとき、問いかけてみる。
少し長くなったので、残りは②へ続ける。
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