書くための文章読本【ブックレビュー】
最近、文章に関する本を読むのが楽しくて、片っ端から読みふけり、仕事そっちのけになってしまうことがある。
これが実に面白いもので、大きく分けて2つの読後感を味わえる。
「なるほど、すぐに実践してみよう!」
と前向きになれるもの。
「これは…、してはならぬことをしてしまっていた…」
と猛省し、恥ずかしさのあまり思考停止してしまうもの。
今回はどちらかと言えば前者である。私にとって「恐ろしい」本ではなかったのが救いだ。
本書は、言語学者である瀬戸賢一氏による
「書くための文章読本」
出版社: インターナショナル新書
発売日: 2019/12/11(第一刷)
単調になりがちな文末の解決策
文章をより豊かに表現するには文末が大きく影響する。
たとえば「だ・である調」なら「る」、「です・ます調」なら「す」で大体が終わるもの。文末が連続すれば、何となく全体が単調となり読者に物足りなさを感じさせてしまう。
まずは伝えたいことを伝える、これが肝心だが、伝えるためには書き方にも工夫が欠かせない。
本書ではそこで文末表現に比重を置いて例文を挙げながら解説している。
第一章の見出しはその名も「終わり良ければすべて良し」だ。
主体性を高める
筆者は、文章に律動感や躍動感を与えるには文末を工夫することがまず1番だという。そのポイントは2つ。
この2つは単独で働くこともあり、また協働することもあるという。それには「主体性」が大きく関係する。
主体性が高まるとは、書き手あるいは語り手が現場に立ち、その場の空気感も含め、実況中継をするようなものだ。
以下、本書からの抜粋をもとに考える。
皆さんもよく知る童謡、「汽車ポッポ」の歌詞だ。
視点がどこにあるか?汽車に乗って窓から眺めている子どもである。
歌っている本人さえも、その子どもの視点に立って、楽しい気分になってくる。まさに主体性の高い歌詞だと言えよう。
文章のなかに「○○」をとりいれる
さらに文末表現をより豊かなものとするために、筆者はこう言う。
自分の声に他者の声、つまり読者であったりもう一人の自分であったり、をくわえるのである。
そこで、キャラ立てに工夫したり、終助詞や五段活用を使ったり…。
対話する方法についても紹介している。
こうしてみていると、文末表現だけでもこんなに多くの切り口があるのかと感嘆する。
これまでの自分の文章が単調であったこと、あったこと。
思考停止にならず、前へ進みたい。
踊る文末
筆者は結語として主体性の考え方について改めて説明する。
そしてもう一つの道具として、本書ではレトリックを紹介している。こちらは本書を読んでみていただければ。
表現の主体性を高めるということは、心のなかの想いをまっすぐ、臨場感をもって表現することだという。
最後に結語から、筆者の言葉をお借りして。
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