書いて生きていく プロ文章論:①【ブックレビュー】
この本を手にとったのは、2017年だった。
恥ずかしながらライターの端くれとして、
その世界に片足をつっこんだ年の半ばだったか。
図書館で、
「ライター」とは何たるかを捜し歩いた先に見つけたのがこの本だった。
一つひとつの見出し(質問)はシンプルながら心に響くものばかり。
いまも、思考が止まるとつい手をのばしたくなる一冊である。
本書は、豊富な取材経験、取材からの執筆を手掛ける、
ブックライターであり自著も数多くある上阪徹氏による
書いて生きていく プロ文章論
出版社: ミシマ社
発売日:2010/11/26(第一刷)
この本はどの項目もご紹介したものばかり。
その中から心に留め置きたいものをいくつかピックアップして紹介する。
本記事①は前編として、後編は②で紹介していきたい。
文章を書く上での本質的な心得
本書には上阪氏が文章を書く上での文章術が書かれているわけではない。
技術論ではなく、「心得」、地に足のついた文章との付き合い方。
これが文章を書く上で大切なのではないかと、上阪氏。
文章の書き方ではない、表面的な技術ではない。
これらの心得を持っていることで、かなりの人の文章が上手くなっていくのではないか、という。
実際、折に触れて読み返したくなる一冊になっている。
第一章から第三章は文章を書くことを生業にしていない人にも参考になる内容。
第四・五章は取材について。
第六・七章ではさらに広い視点で、上阪氏がどのように仕事と携わってきたのかが書かれている。
前編①では主に第一~三章について、書き留め置きたいトピックを挙げて紹介したい。
文章の怖さを知っていますか?
上阪氏は、文章の怖さを知る上で最もわかりやすいツールが「メール」だと言う。
例えば電話だと、声のトーンや大きさなど、相手の反応を見ることができる。
でもメール(文章)だと、一方的であり、ときに相手に大きな誤解を与えてしまうこともある。
言葉が武器になってしまわぬよう、細心の注意が必要だ。
「文章」を書こうとしていませんか?
ついつい肩ひじ張って、堅苦しい文章になってしまう。
そうではなく、普通に話をするように、苦手意識を持たずにそのまま文章にしてしまえばいいのだという。
これが、簡単なようでなかなか難しい。
私も日々、実践である。
何を書くか、を自分本位に決めていませんか?
何を書くか。
これは、文章を書く目的や読者対象によって変わってくる。
書きたいことを書けばいい。
それも間違いではないのだけれど、特に商業的な文章となると、文章を書く目的、ターゲットとなる読者いて、そしてその人たちに読んでもらえる文章でないといけない。
何を書くのかわからない。
それは、目的と対象がはっきりしていないから。
「世間相場」を知っていますか?
どういう文章がどういう内容が読み手にとって興味を持ってもらえるのかをイメージするとき、「相場観」が必要になってくると上阪氏。
対象となる読者がそのジャンルにどれくらい関心を持ち、どれくらいの理解度を持っているのか。それによって、書き方も微妙に変わってくる。
文章を書くときには、例えば20代ならどうか、30代ならどうか、など、その世代の相場観、ニュアンスをつかむようにしているという。
相場観を、言葉選びに活かしていく。
「これだけは」を持っていますか?
私の場合は、リズムだろうか。
書いた後、読み返してみて、スラスラと読みやすいリズムか。
どこかで詰まったり、途切れたりしないか。
自分だけの「これだけは」についてもう一度よく考えてみたい。
なぜいい文章なのか、分析していますか?
誰にでも、「好きな文章」があるのではないだろうか。
その逆で、「なんだかいやな文章」もあるだろう。
では、それってなぜなのだろう?
ただ単純に「好き!」だけじゃなくて、なぜなのかを分析してみる。
使う単語なのか、リズムなのか、わかりやすさなのか、構成なのか。
きっと好きな理由があるはず。
分析をすることで、自然とたくさんの文章を意識的に読み込むことになると上阪氏。そして同時に「今どきの文章の相場観」を学んでいるのだそう。
ここでも、相場観を知ることが重要になる。
続きは②で。
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