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~守から攻へ~ 2020 水戸ホーリーホック・変革の時

【ALB Link Vol.26 -2020.10.18 水戸vs新潟ー】

お初にお目にかかります。ツイッター界隈でちまちま活動している水戸サポーターのキャプテン・シベリアと申します。しべりーとでも呼んでくださいw

今回こちらのnoteへの執筆依頼をいただき、今期の水戸ホーリーホックについて一水戸サポーターとして僭越ながら寄稿させていただくこととなりました。

なお、最初におことわりしておきますが、文中にも書いてますが今年のチームに関しては我々サポーター内でも賛否両論といった感じで、本稿も水戸サポーターの総意というわけではありません。あくまで1サポーター、個人の感想ということで…。


今年は変革の年だ!

さて、「今シーズンの水戸について」という題目で執筆依頼をいただいた時、真っ先に思ったのは、「今シーズンはクラブが変わっていくターニングポイントの年なのかな」ということです。

たとえコロナが無かったとしても、おそらくクラブとして次の一歩を踏み出すために大きく変わらなければならないタイミングであったのかと、個人的には思っております。


まず、新潟サポの皆さんもご存じでしょうが、今年7月に長年社長を務めた沼田邦郎氏が退任し、新たに小島耕氏が社長に就任しました。

これまでの沼田体制では、どちらかというと「クラブを存続させる」「クラブ成長のための足場を固める」ことを主眼に置いていて、どちらかというと「守り」の経営であったように感じられます。(財政基盤がぜい弱でもあり、仕方のないことなのですが)

もちろん「J1昇格」を諦めていたわけではないですが、昇格は口にしつつも、あくまで身の丈の範囲内で最大限努力する。というスタンスでこれまで戦ってきたのが水戸というクラブでした。


じゃあ今回、小島社長に経営がバトンタッチされて経営スタンスが180度変わったのか、身の丈を飛び越えて赤字でもいいからとにかく金かけて昇格のために補強するのか、というと全くそうではありません。あくまで我がクラブは「身の丈」です。そこは軸がブレてません。ただ、身の丈はわきまえつつも、沼田時代と比べて小島流の「攻めの経営」スタンスは随所に出てきているのかな、と最近特に感じています。
 

例えば、「ホーリーデジタル」という有料映像配信サイトの立ち上げ等デジタル分野の強化(この分野のスペシャリストを外部から招へいもしています)、限定ユニフォームに限定ユニフォームスポンサー獲得、応援Tカード、公式twitterのゴールツイートに広告掲載、エンゲート等を使った「投げ銭」(新潟さんともコラボ企画やりましたね!)、スポンサー企業からの出資受け入れ・・・etc。

その他細かい所を挙げるとキリがありませんが、沼田氏が築いてきた「身の丈経営」のベースに、若い小島社長とそれを取り巻く若いスタッフが積極的に「攻め」のエッセンスを加えているのが今年の水戸が(経営面で)大きく変わったところです。


「守りの経営」から「攻めの経営」へ。専用スタジアム設立の計画も進む中、J1昇格にふさわしい規模のクラブに成長するため、来期以降もガンガン攻めてくれることでしょう。


チームも「守」から「攻」へ 

では、肝心のサッカーの方は、チームの方はどうでしょう? 昨年過去最高の7位という好成績を残した長谷部監督は、腹心のスタッフや主力選手とともに福岡に引き抜かれてしまいました…。

さらにその他の主力選手も、貧乏クラブ水戸の宿命であるオフの引き抜きやレンタルバックによっていつものごとく(苦笑)ほとんどチームを去ってしまい、今年も0からの作り直しを余技なくされるのでありました(涙)。


そんな中で新たに監督としてやってきたのが、かつて柱谷体制の時にヘッドコーチをつとめた秋葉忠宏監督でした。新潟の皆さんにとってはレジェンド級の選手。とはいえ監督としての成績は群馬でお世辞にも良い成績は残せていなかったため、その点で若干不安なシーズンインでありました。

また、やってるサッカーも経営とはうって変わってこちらは昨年の長谷部サッカーを踏襲するどころか全否定するつもりか!っていう180度の方向転換。ステータスを攻撃に全振りするかのような気持ちいいくらいの攻撃サッカー(言い方を変えれば守備がおろそかなのですがw)で、目下J2No.1の得点を叩き出しているという、これまでまずは守備ありきだった水戸のサッカーを見慣れた者からすると信じられない戦いぶりを見せてくれています。


さて、その攻撃的な今年の秋葉サッカー。その顕著な例が第8節ヴァンフォーレ甲府戦のアディショナルタイムの同点弾でしょう。



ボランチ平野選手の縦パスをスイッチに、連動した動きで甲府の守備陣を完全に崩したこのシーン。これまでの水戸ではほとんど見られなかった組織で点を取るという、秋葉サッカーの真髄を見事に体現したゴールといってもいいでしょう。


長谷部体制含め、これまでの水戸は「引かれた相手を崩す」といったことはほとんどなく、守備の組織は作れていたものの攻撃の方はどちらかというと個人のアイデア頼み。点が取れないことが悩みのタネでした。

で、これは私の推測なのですが、今の水戸のチーム規模でJ1に昇格するためには?と考えた時に、「守り勝つ」というのは現実的ではない。と西村GMは以前から感じていたのではないでしょうか? 組織的に守った所で、例えば本間至恩選手のような規格外の才能にビューティフルゴールを決められてしまうとか、選手や審判のミスによる失点とか、クリーンシートで終えるのはなかなか難しい。それなら多少の失点は目をつぶって攻撃力を高めるチーム作りをした方が結果勝ちに近づくのでは?という考えを持ったとしても不思議ではありません。

事実、昨年の躍進を支えた左SBの志知選手は攻撃力を高めるために獲得したとGMは語ってました。結果昨年はチームとして得点力はさほど伸びなかったものの、攻撃に主軸を置いたチーム編成というぶれない方針が、今年ようやく実を結んだのだと私は分析しています。


サポーターの戸惑い

今年の秋葉水戸は、客観的に見れば昨年の主力をほとんど失った0からチームを作り直している中で現在10位、例年ならPO圏内となる6位に4ポイント差につけているのは現状及第点以上の結果だと思います。ただ、水戸サポーターの中には今年の秋葉サッカーに対して懐疑的な見方をしている者も少なくない印象です。


ホームの北関東ダービー・栃木戦・後半アディショナルタイムでの失点で敗北。絶対勝たなければならないホームのダービーマッチで不甲斐ない敗戦を喫した事実は、サポーターに暗い影を落としました。

その他にも敗戦時のどことなく空虚なコメント、ベンチワークというものが皆無なのでは?と思わせる、一旦流れを失うと修正しきれずズルズルと崩れていく試合展開、連敗もしないが連勝もない、などなど…。昨年の長谷部監督の成功体験がまだ強烈に記憶に残っているだけに、サポーターが今期の水戸の大きな変化についていけていない、そう感じることもあります。

クラブもチームもさらに上を目指すために変わろうとしている今、それが吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、変わらなければ座して死ぬだけとも思えますので、サポーターも変革を受け入れることが必要な時、なのかもしれません。


さて、今週日曜は我らがホームで新潟さんとの試合になりますね。アウェーでは無得点で敗戦したので、今度は自慢の攻撃力を見せつけて本稿の通り水戸は変わったんだ!という試合を期待したいです。
 
あ、「変革の水戸」の中で変わらないものが1つありました!ケーズデンキスタジアムのスタグルは相変わらず美味しいですよ(笑)。ここは変わらない魅力です。アウェーも解禁されますし、新潟サポの皆様もケーズスタの、水戸のグルメを堪能しにスタジアムに足を運んでくださいませ!
 

※ちなみにサムネ画像はこちらも以前から変わらず水戸を支えてくれているGKコーチ 河野高宏氏です。私のイチオシでもあります(笑)

 

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