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人は『世界観のコーディネート』のためにTwitterでフォローする。インプレッションに依存しないアカウントのつくり方

こんにちは。west(@mountain_weeest)です。
今日は「人はなぜTwitterで赤の他人をフォローするのか?」という問いをテーマにTwitterのアカウント設計に対する仮説を書こうと思います。
1万5000字ほどのボリュームなので少し読むの時間かかるかもです。
長文note書くの初めてなのでシェアしてくれたら小躍りしながらRTしにいきます。いいねくれたら泣いて喜びます。

みなさまTwitterはやってますか?フォロワーを増やしたいですか?
もしそう思うなら、「人はなぜ誰かをフォローするのか?」という問いに対する回答か仮説をもっている必要があると思います。ユーザーの体験を言語化できていないとそれを意図して再現するのは難しいから。

【想定読者層】
・Twitterのアカウント設計方法のヒントが欲しい人
・開始から数か月経過してテクニック論は分かった人
・毎ツイートでインプレッションに依存した運用に疲れてきた人

こんな人が「アカウント設計の軸の見つけ方が分かったかも」と思えることをゴールにします。

ただ、先に言っておくとこの問いに考えるためには、かなり抽象度の高い話をせざるを得ないためSNSの話から大きく外れたこともたくさん言います。
でも一応最後はTwitter運用論の話に着地しようと思います。

下記のような手っ取り早くテクニック論が知りたい方にこのnoteは向いてません。

・インフルエンサーのツイートを引用リツイートしてそれをリツイートしてもらうことで、インプレッションを伸ばしましょう!
・いいね切れするまでいいねして、復活したらまたしましょう!
・リプは1日20〜30回以上しましょう!
・ツイートには漢字はあまり含めず可読性を高めましょう!
・フォロワーを買うのは信用を失うのでやめましょう!
・アイコンは見やすく、目に止まりやすいものにしましょう!
・箇条書きツイートをするとウケるよ
・ターゲットユーザーから共感を得られることをツイートしましょう!
・140文字びっしりのツイートをしましょう!
・仲間とチームを組んで相互にRTしましょう!
・継続が大事です!毎日やりましょう!
・ターゲットユーザーが欲しがる有益なツイートをしましょう!

小手先の話は溢れてるので飛ばしましょう。
必要な人は有料noteを500円くらいで買うか、ググれば済むと思います。
下記の記事とか見ればいいと思います。
Twitter(ツイッター)でフォロワーを増やすために最初にすべきこと8選。注意点についても解説!
ツイッターのフォロワーを0から9000人まで増やすコツ34を解説

はじめに(このnoteを書く理由の建前)

Twitter運用をしている人はこう考える方が多いのではないでしょうか。「フォロワー増やしたいな」「バズるツイートしたいな」。ただ、この考えでひたすら毎ツイートのインプレッションを追うのはけっこう大変です。とにかく多くの人にリーチして、フォロワーを増やすというのは企業で言うなら広告に投資しまくって、単発の施策で売り上げを追うようなものです。(下記の図みたいな感じ)これだとツイート単発の点の施策になるので、毎回プロフィールや固定ツイートに誘導するようなやり方をしないといけなくなります。

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ネスカフェアンバサダーを立ち上げた津田匡保(まさやす)さんはこんなことを言っているそうです。

リーチして認知を獲得したあとにどうするのか。どうやってその気持ちを継続させ、ファンにしていくのか。どうやってファンたちのライフタイムバリュー(LTV)を上げていくのか。それらをあらかじめ構築したうえでリーチしないと意味がないと思うのです。簡単に言うと『 瞬間的なリーチは意味がない』ということです」

”意味がない”とは強い表現ですね。ではどうすべきなのか?
単発施策でインプレッションを追うのではなく、目指すべきは次の図のような状態です。Twitterで言うなら既存のフォロワーの方からのロイヤルティを向上させ、好意度を積み重ねていくことでエンゲージメントを高めていくことが必要になります。(グループを作って相互に反応しあうような気持ち悪いやつではなく)

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引用:ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために

私は津田さんみたく単発のツイートでインプレッションを追うことが完全に意味がないとまでは言いません。が、効率は悪いでしょう。Twitterに自分の労力と時間を大量に投下できる人ならまだしも、それが難しい場合はこのやり方は悪手だと思います。

つまり、Twitter運用において追うべきはインプレッションやフォロワー数という数字ではありません。追うべきは「好意」です。それが結果的に数字に表れると考えた方が適切だと思います。
ではどういう考え方をしたらそれができるのか?を考えていきましょう。ざっくりとこのnoteは理論編と具体編に分かれてます。まずは理論編から。

タイトルに”人は「世界観のコーディネート」のためにTwitterでフォローする”と書きました。
この説明をします。それにあたって、最初からで申し訳ないのですが、一度Twitterから出てブランドの話をします。

***<理論編>***

人は世界観への共感でブランドを選ぶ

人がブランドを消費するときの話を考えます。人はなぜそのブランドを選ぶのでしょうか?
例えば、コーヒーを飲むブランドとしてスターバックスコーヒーを選んだり。スマートフォンを買うのにAppleを選んだり。機能面で言えば、セブンイレブンのコーヒーだって十分美味しいですよね。味単体だと味覚でそれを区別できる人はどれほどいるでしょうか?私にはその自信はありません。スマートフォンだって今はandroidも十分高い性能がありますよね?なんなら、Androidには指紋認証と顔認証の両方がついてる機種もあるのにiPhoneは顔認証だけだったり、機能では負けてすらいます。

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なのに、iPhoneを選ぶ人はたくさんいますよね。その答えがタイトルにある「世界観のコーディネート」です。人は意識的にしろ、無意識的にしろ、自分がありたい理想の世界観に合致するものを選んでいるのでは?という仮説を思いつきました。スタバのオシャレな世界。Appleのシンプルで洗練された世界。このブランドの世界観に魅力を感じるから、そのブランドを選ぶわけです。まるで自分の部屋を好きなモノで満たしていくように。好きな世界観で自分の心の中を満たしていく。
iosとAndroidのシェアは世界ではAndroidが約7割なのに対して、日本は約3割。iosが6割以上を占めています。これは日本人が思う理想の世界観とAppleの掲げる世界観の合致性が高いためと考えられます。

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4月モバイルOSシェア、日本はiPhoneが増加しAndroidが減少

世界観のコーディネートが現代の自己実現

なぜそんなことをするのかというと、それが現代の自己実現だからではないでしょうか?マズローさんのいう自己実現欲求をめっちゃざっくり解釈すると「自分らしさの追求」だと思います。自分らしさとは自分の価値観の追求。何に価値を感じるのか?何を好きだと感じるのか?そんな自分の価値観を基にして、理想の世界感を形づくっていくことだと私は考えます。

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では、どんなブランドを選択するのかというとこの自分の中の理想の世界観とブランドが掲げる世界観に類似点を見つけたときです。類似点というか、自分の理想とする世界観を商品やサービスという具体に落としているブランドですね。この世界観の類似点を見つける現象のことを「共感」と言います。人はブランドの世界観に共感したとき、その世界観を自分の世界に取り入れる。それを複数のブランドを使って行います。これを便宜上ここでは『世界観のコーディネート』としましょう。Twitterで言えば、アカウントの世界観に共感し、ユーザーが自分自身の理想の世界観の中にそれを取り入れていく。これが”はじめに”の中で述べた好意度が積みあがっていく状態と考えます。

Twitterのアカウント設計はハードウェアとソフトウェアで考える

抽象的な話が続いてしまっているので、一度話をTwitterに戻します。
ただ、アカウント設計を話すにも一度理論的な話に言及しないといけないので、もう少し抽象的な話にお付き合いを。
Twitterのアカウント設計は2つの要素から考えられます。それはハードウェアとソフトウェアです。ハードウェアとは「発信の軸・発信者の人格・テーマ性」と言われるものです。そしてソフトウェアとは「発信内容」です。

ソフトウェアに価値を感じたときというのは、その情報自体に魅力があるときです。自分が興味ある情報を発信しているだとか、これから情報収集していきたい分野の発信をしているとかね。これはリアルで言えば、スタバのコーヒーが美味しいからコーヒーを買う。みたいな状態です。図解ツイートとかめっちゃ流行ってますよね。こういうやつ。

378件のリツイート|46件の引用ツイート |3,280件のいいね
めっちゃバズってるマジでスゴい。ハンパねぇ。

これに多くの人が反応し、価値を感じるのはツイートあたりの情報量が多いため、ソフトウェアとしての価値が高いからでしょう。
一方で、ハードウェアに価値を感じるときというのは、その世界観・人格に魅力があったときです。スタバで言うならスタバのお洒落なブランドイメージが好き。だからスタバでコーヒーを買うって状態です。

目指すべきは後者。ハードウェアに価値を感じてもらってフォロー(スタバの例でいうと購買)に至ってもらうことです。ハードウェアで勝たないとリピートにはつながりません。美味しいコーヒーが飲みたいだけなら、セブンイレブンでもスターバックスコーヒーでもどっちでもよくなってしまうからです。”スターバックスコーヒー”でコーヒーを飲みたいという状態にしないといけません。それはSNSだって同じ。もはやどいつもこいつも同じような情報を発信しているような状態ではソフトウェアレベルの差別化は難しいから。

では、魅力的なハードウェアとはどんなものでしょうか?
人気のあるブランドがこの世界にはありますよね。なぜ人気があるのか?これはつまり、そのブランドが掲げる世界観が多くの人が理想とする世界観と合致しているということです。なぜそんなことが起きるのでしょう?だって価値観なんてみんな人それぞれじゃん?実際、価値観は人それぞれ。ただ、理想の世界観はある程度合致してくるのではないでしょうか。例えばSDGsだってその一つです。

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ここにあるような問題が解決された世界を多くの人が望んでいるから、これができたんだ。だから、企業の経営においてもSDGsが重要視される。その指標に基づいて構築された世界は多くの人に共感されるから人気のあるブランドになる。

あらゆる選択は価値観に基づくようになる

だからこれはSNSの世界なんて小さな話でも、ビジネスなんていう小さな話でもない。もう少し大きな世界の話です。
消費行動やTwitterのフォローはこの『世界観のコーディネート』の一つの手法にすぎません。これからは人間のあらゆる行動がこの世界観のコーディネートという文脈に基づいて行われるようになると思います。
例えば、就職。これも給料がいいとか、オフィスがきれいとか、福利厚生がいいとかは全部ソフトウェアの話。それがコモディティになったとき、ハードウェアで選ばれる。
つまり、自分の理想とする世界観に合致した会社で働きたいと思うようになる。就職というのはSNSにおけるフォローする現象と同じようなものになる。
オンラインサロンはかなりそれに近いと思います。オーナーが自分の理想の世界観を掲げて、それに共感した人が入る。そしてその世界観によって形作られたコミュニティができあがる。
将来的には国もそれに近いものになるかもしれない。資本主義とか共産主義とかはその国が掲げる世界観を象徴する言葉だ。きっと人は世界観・価値観で国を選択するようになってくる。言語の壁がテクノロジーの力で取っ払われたらいよいよその未来は近いはずだ。
話がズレた。戻す。

理想と現実の世界観のギャップが主張になる。それがソフトウェアとして表出する。

つまり、この世界には大きく分けて2つの世界があるわけです。
1つは現実に目の前にあるこの世界。2つ目は人それぞれの中にあるその人の理想世界。だから世界観も2つある。現実世界に対してどう思うかという世界観と人の中に内在する世界をどう見るかという世界観です。
じゃあ、どうやって人は他者の掲げる理想世界へ旅するのか?その交通網は現実世界に対する「主張」です。

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人の中には内在する理想世界がある。しかし、現実世界は理想世界のようにはいかない。そこにはギャップがある。人間の活動はこのギャップを埋める営みと言えるでしょう。

SDGsで掲げられたような問題が解決された世界を理想として、その世界と現実世界のギャップを埋めるために企業は経営活動を行うし、社員は働く。
で、そのギャップが主張となり、理想世界から現実世界に介在する。橋が架かる。現実世界に対して問題提起がなされる。それに対して「私たちはこんな風にその問題を解決して理想世界に近づけようとしています」と主張がなされる。この主張に対して、自分も同じく、その主張を支持すると考えたとき、人は現実世界から他者が掲げる理想世界へ移動を行う。それは購買行動として表出したり、場合によっては会社やオンラインサロンとったコミュニティを媒介にして、その世界に移住する。Twitter運用で考えるとこの主張がソフトウェアになり、ツイートに落とし込まれることになります。

ここから少しの間、極論にして要素を抽出するために、話をあえて飛躍させます。ごめんね。

デカいことでいうと、戦争はこの世界観の衝突によって発生するのではと思います。自分が理想とする世界と他者が理想とする世界が存在する。で双方とも現実世界を自分の理想世界に近づけようとする。 
その過程で、相手にとっての理想が自分にとっては理想ではないという現象が起きる。それが戦争。個人で言えば喧嘩。

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これは掲げる世界観の恣意性が強いために起こる衝突です。人類にとっての理想の追求ではなく、その個人の人間や国が掲げる理想の追求をした場合、衝突が起きる。
まぁ、もちろんそこにはお金が絡んだり、色んな人の利権やらなにやらが複雑に絡んで発生するんだけど、それだってある種の理想の世界観の衝突だよ。

世界観の構成要素はニーズとエゴ

そう考えると、世界観は2つの要素の配合で形成されると言える。
1つは他者のニーズ。もう1つは自分のエゴイズム。

この2つの配合率が世界観の善し悪しを決める。
エゴイズムに偏重すれば、いずれ自分以外の誰かと衝突して戦争が起きる。
他者のニーズに偏重したらそれは自分の理想世界ではない。他者の理想世界だ。そこに自分の世界観は存在しない。

いわゆる情報爆発によって爆発したのは何かというと個人の価値観・世界観なわけです。1億総発信時代によって、誰もが気軽に発信できるようになったことで個人の世界観が爆発した。私はこれが好き。あれが嫌い。そんな風に好き勝手自分の意見を自由に言えるようになった。
SNSの発信では強固なハードウェアの構築でこの爆風に埋もれないようなものにしないといけない。

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SNSにおける世界観の設計方法に落とし込む

だいぶ抽象度が高まってしまった。
ここから「ではSNSで個人はこの価値観爆発の世界でどう立ち回るべきか?」を考えよう。
必要なのは強い世界観(ハードウェア)だ。これに尽きる。
そして世界観とは人々のニーズと自分のエゴイズムによって形成される。つまり、強い世界感は強いニーズと強いエゴイズムによって形成される。
人が普段から自分の人生を生きる上で強く思い悩んでいること。それに対して、自分の理想世界はこういう世界だと宣言する。
強いエゴイズムには、他の誰でもないその人が発信する理由が必要だ。一般論にエゴは生まれない。
その理由とはその人の持つ原体験だ。自分が持つ理想世界と現実世界の中で強くギャップを感じた体験。それが原体験になる。
その2つが重なったとき、強い世界観が生まれる。

これをSNSのアカウントに落とし込めるのが理想。
上記の通り必要なのは2つ。人々のニーズと自分の原体験から生まれるエゴイズム。
中心にすべきはエゴイズムの方だ。人のニーズを起点にしてしまうとそれは他者の世界観であって、自分の世界観ではなくなってしまう。だから、まずは自分の今までの人生の中で大きく不満を持ったこと、辛かったこと、悔しかったこと。それを抽出する。

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それはつまり、言語化できていないにしろ自分の理想世界と現実世界で起きたギャップのはずです。それをきっかけにしながら、その不満が解消された世界( 自分が理想とする世界観)を言語化する。
その世界では人はどんな気持ちで、どんな風に生きてるのか、どんな幸せを感じているのか。
そしてその上で、自分が原体験として感じた不満は多くの人が同様の不満を強く感じるかどうかを調べる。
調べ方としては定量的にはGoogleのキーワードボリュームを見てみる。定性的にはSNS上でその関連キーワードで調べてみるのがいいかもしれない。
そうやって、ニーズの広さと深さを見てみる。
それが確認できたら、次に自分の理想世界と現実世界のギャップをさらに抽出する。先ほどの原体験はその一部のはずだ。発生するギャップをより具体的に、そして自分以外の人にも当てはまるレベルで抽象度を高める。

スタバなら「人々の心を豊かで活力あるものにするためにーひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」が理念にある。だから逆に人は普段所属するコミュニティでどんな不安を抱えているのか、何に貧しい状態にあるのかを考える。

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Our Mission and Values|スターバックス コーヒー ジャパン

コロナ禍で人とのコミュニケーションが減って、満たされない状態にあるなら、テイクアウトの商品にはメッセージカードを同封して人とのつながりを感じられるようにして満たすのがいいかもしれない。そうやって、ギャップを解消していく。
同様に、SNSでも自分の理想とする世界と比較してどんなことに今人は不安や貧しさを感じているのかを考える。そして、それを解消するような情報発信をするのがいい。

例を出そう。うしださん(@kei_economics)とあおいさん(@aoichan_dx)

このアカウントでは、OL目線で繊細さん(HSP)な人が感じることを発信している。そして、精神的に病んでいる人、病んだことのある人に対して、励ますような言葉をかけることで不安を解消している。SNSでは直接の問題解決は難しいが、感情解決ならできる。彼女たちの理想世界には「HSP気質がある人でも精神的に豊かで元気に生きられる世界」があるはずだ。だからその世界と現実のギャップを解消するような発信が望ましい。この点において、感情に訴えかける発信は効果的。価値観というのは極めて感情的なものだからだ。何に価値を感じるのか、何を好きだと思うのか、そこに論理的な根拠はない。好きだから好きだし、嫌いだから嫌いなのだ。
感情の喜怒哀楽の中で言うと上記のアカウントの発信内容は哀にあたる。
感情に対する訴求として、哀は効果的だ。なぜ哀に寄り添うのがいいのかというと、この4つの感情の中で哀だけが恒常的にある解決したいニーズに該当するからだ。喜と楽はポジティブな感情だから解決する必要はない。怒は一時的なものだから恒常性は薄いと言える。

しかし、これだけでは感情解決までだ。態度変容はできても、行動変容はできない。
ハードウェアにはもう一つの機能が実装される必要がある。それは「強み」だ。
上記までの話はゴールデンサークル理論でいうところのwhy。+α必要なのはhow。ゴールデンサークル理論の補足説明は下記。

ゴールデンサークル理論とは、マーケティングコンサルタントのサイモン・シネック氏が提唱した理論です。
2009年に開催されたTEDのプレゼンテーション、「優れたリーダーはどうやって人の行動を促すか」の中で提唱し、一躍有名になりました。
ゴールデンサークル理論は、「WHY(なぜ)」「HOW(どうやって)」「WHAT(何を)」の順番で円が構成されています。サイモン・シネック氏によると、物事を説明するとき、「WHY」から伝えることで多くの人の共感を得ることができるそうです。
ゴールデンサークル理論から学ぶ 〜リーダーシップと巻き込み力〜
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どうやってその理想世界を実現するのか、その人の強みが必要になります。それはその人が持つ専門性やある特定分野の経験などが該当する。
これが実装されると、自身の原体験に基づくエゴイズムという抽象度の高いエネルギー源が具体に変換されて、現実世界に発信される。
それをソフトウェアとしてツイートにインストールする。

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アカウント設計のまとめと必要なもの

一旦ここまでをまとめよう。
・Twitterのアカウント設計には2つの要素が必要(発信の軸になるハードウェアと内容になるソフトウェア)
・ハードウェアの構成要素は自分の中にある理想の世界観と人のニーズ
・理想の世界観をつかむきっかけは現実世界とのギャップから生まれる原体験
・理想の世界観と現実世界との間に生まれるギャップを他者にも該当するレベルで抽象化したものがソフトウェア
・ハードウェアに強みが実装されたとき、行動変容につながるアカウントになる

アカウント設計に必要なものを整理
①【理想の世界観】→アカウントの軸がこれになるよ
②【原体験】→他の誰でもない自分がそれを発信する理由になるよ
③【現実世界の状況】→ターゲット設定に必要になるよ
④【主張】→ツイートの方向性策定に必要だよ
⑤【強み】→行動変容を起こすのに必要だよ

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***<具体編>***

アカウント設計の具体事例

具体事例を出したい。が、バッチリ該当する事例が見つからないので、先ほど紹介した「うしださん(@kei_economics)」を例に考えてみます。なんでかというとこの人。めちゃくちゃ伸びてるから。成功事例の可能性が高い。

プロフィールは下記です。

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140文字をつくるのがすきな人 | 考えすぎちゃうあなたに | 繊細な自分と向き合うOL | 適応障害▷HSPを知らず6回転職 | #うしだのツイート裏物語 | フォローすると、過去のジブンと、心がちょっと楽になるかも

先ほどのアカウント設計に必要なものをこのアカウントで当てはめて考えて見ると下記のようになる。

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①理想の世界観
「HSP気質がある人でも精神的に豊かで元気に生きられる世界」
②原体験
「過去に適応障害になった経験があり、HSPを知らずに6回の転職をした。」

③現実世界
「HSP気質のある人には生きづらい世の中...」
下記の検索ボリュームや定量調査から見ると人口の15~20%が該当しそうです。
HSPの月間キーワードボリュームは約30万回(Ubersuggestより)

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現代のような変化の激しい社会の中で、人一倍繊細で、刺激に敏感な特性を持つHSPのような人は、全人口の15%~20%程度いるとされています
HSPとは?人口の2割程度存在する繊細な人材を正しく理解しよう

④主張
「繊細さがあると生き辛い。私はその経験をした。でもそれは一つの自分の強みとしても機能する。繊細さにネガティブになるのではなく、それを活かして生きていこうじゃないか。」
⑤強み
「140字にまとめ上げ、人の心を動かし活力を与える文章能力」
この方元ライターさんだそうです。プロフィールのヘッダー画像には「140文字で伝えたい私のエッセンス」とあり、プロフィール本文には「140文字をつくるのが好きな人」と記載されてますね。これは自身の強みのアピールと考えられます。

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このアカウント設計に基づいたツイートをいくつか見てみましょう。(あ、上記のアカウント設計は本人が言ってるわけじゃないから、あくまで仮説ね)

これらのツイートは内容は違う。しかし、主張は一貫している「繊細さがあると生き辛い。私はその経験をした。でもそれは一つの自分の強みとしても機能する。繊細さにネガティブになるのではなく、それを活かして生きていこうじゃないか。」こんな感じのメッセージが読み取れる。

ツイートの冒頭では理想世界と現実世界のギャップに苦しむ自身の原体験が語られる。そして末尾はどのツイートもそれでも腐らずに生きていこうとする意志で締めくくられている。これはアカウント設計と一貫している。
このようにこのアカウントの原体験に根差した主張を発信することで、ソフトウェア単体の戦いでコモディティに巻き込まれることなく、強いブランドと共に人の共感を獲得しているのでしょう。

理論と事例から抽出した要素に基づき、実装する

今までの話で考えた理論と事例から導いたフレームワークに基づいてそれを自分のアカウントに実装していこう。
ステップは大きく分けて2段階。まずはアカウント設計に必要なものを自分の中から抽出する段階だ。次にそれに基づいて具体的にアカウントのアイコンやヘッダー画像。プロフィール文はどうすべきか。ツイートの内容をそれぞれ考えていこう。

1step:アカウント設計に必要なものの抽出

これは下記の質問に順番の通り答えていけばできるのではと思う。

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①原体験の抽出
あなたの過去の経験の中で辛かったこと、理想通りにいかなかったこと、幸せではなかったことはなんですか?

②理想世界の構築
その辛かった経験が解消された理想の世界にはどんな状態の人がいますか?

③定量的な現実世界の把握
その理想世界に対して、あなたの周囲だけでなく一般的に現実の世界はどのような状態にありますか?Googleのキーワードボリュームや定量的な調査データを用いて調べてみましょう。これは発信するターゲットユーザーのニーズのボリュームがどのくらいあるかに関連します。

④定性的な現実世界の把握
あなたの原体験は他の人も同じような不満を感じていそうですか?Twitterで関連キーワードで検索して定性的に調べてみましょう。これは発信するターゲットユーザーのニーズの深さがどの程度かに関連します。(既にある程度フォロワーがいる場合は既存フォロワーの発信内容を見てみるのがよいと思います)

⑤主張の策定把握
理想の世界と現実世界を比較したときにギャップがあると思います。そのギャップとしてあなたはどんな言葉を人に届けたいですか?その主張が届く前の状態から届いた後の状態になるとその人は理想世界に近づきますか?

⑥強みの発見
上記の主張を届けるにあたり、その主張を加速させるためのあなたの特長や強み、あなたのスキル的な経験はありますか?

2step:目に見える内容へ具体化

1stepで策定したアカウントの設計指針に沿って、具体に落とし込んでいく。
そのためにまずは目に見えるアカウントの構成要素を分解する。
ざっとこれらがありそうだ。

①名前と肩書
②ヘッダー画像
③アイコン画像
④プロフィール文
⑤ツイート内容
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これらの要素を1stepで抽出したアカウント設計の必要なものと対応させるとこうなる。各構成要素の役割を定義する。

①名前と肩書
→主張の方向性を伝える場所
②ヘッダー画像
→理想の世界をビジュアルに落とし込んだ場所
③アイコン画像
→理想の世界に住むキャラクターを象徴する場所
④プロフィール文
→理想世界と現実世界のギャップ。それをどのような強みで解消するかを語る場所
⑤ツイート内容
→主張を具体的な内容に落とし込む場所

こちらも成功事例である「うしださん(@kei_economics)」に当てはめながら考えてみよう。

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①名前と肩書(主張の方向性を伝える場所)

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ポイントになるのは”繊細OL”という箇所だ。この文言から2つのことが読み取れる。1つはOLであるということ。つまり、発信者の属性だ。もう一つは発信の方向性だ。”繊細”という文言からこのアカウントはHSP気質のある方がどのようにこの世の中で生きているのかを発信していることが分かる。
この2つの要素があることで受信者はそのアカウントを自分の世界観に入れるかどうかの判断のきっかけになる。

②ヘッダー画像(理想の世界をビジュアルに落とし込んだ場所)

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 ヘッダー画像にあるのは2つの要素。「140文字で伝えたい私のエッセンス」という文言と発信者の後ろ姿だ。なぜ後ろ姿なのだろうか?ヘッダー画像に自分の姿を載せているアカウントは多くいるが、正面からの姿であることが多い。ユーザーがうしださんのプロフィールに訪問してヘッダー画像を見たとき、この発信者とユーザーは同じ方向を向くことになる。そうすることで受信者が自分の姿を重ね合わせることができる。そこから共感につなげることを狙っていると考えられる。

次に「140文字で伝えたい私のエッセンス」。私のエッセンスとはこのアカウントの世界観と主張のことだろう。「HSP気質がある人でも精神的に豊かで元気に生きられる世界」にしたい。現実世界でも強く生きられるようにしたい。そのメッセージに該当する箇所になる。”私の”とあることから一般論ではなく、自分の原体験に基づいた発信を行うことが分かる。

③アイコン画像(理想の世界に住むキャラクターを象徴する場所)

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 アイコン画像はヘッダーとは対照的に発信者は正面を向いている。ヘッダー画像は受信者が自分の姿を重ねて共感につなげることを狙っているが、ここでの役割はキャラクターの印象付けにあたるからだ。理想の世界観にはニーズとエゴイズムの2つの要素が必要であると述べたが、ここにはこの方のエゴイズムが表出していると言える。 

口元は手で隠し、その奥には微笑する表情が見える。ここからユーザーが感じる印象は「奥手」「可愛らしさ」「親しみやすさ」「安心感」などではないだろうか?カラーイメージスケールでいうとこのアイコン画像の色味は「やすらいだ」「のんびりした」ものにあたるだろうし、一般的にこのような印象を抱くと言っても差し支えないだろう。 

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このような印象は”繊細OL”という属性・主張の方向性と合致している。ここで堂々と腕を組んでいるような画像だったら、主張との一貫性が崩れてしまう。

④プロフィール文(理想世界と現実世界のギャップ。それをどのような強みで解消するかを語る場所)

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 プロフィールの冒頭から見ていこう。

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 まず「140文字をつくるのがすきな人」という文言はこの方の強みに該当する箇所だ。元ライターであるため文章力は一般の方よりも高い。しかし、「140文字をつくるのが強み」「140文字をつくるのが得意」という言い方はしていない。これはアイコン画像で述べたように、”繊細OL”というアカウントの属性・主張との一貫性を保つためだ。堂々と自慢をするような言い方はできない。また、”すき”という文言も漢字ではなく、平仮名を使うことで柔らかい印象を与えている。

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 次に「考えすぎちゃうあなたに」とある。この”あなた”が指すのは言わずもがなHSP気質があり、現実世界に生きづらさを感じている”あなた”だ。アイコン画像と名前・肩書を見て、プロフィールに遷移したユーザーはそれに該当すると想定してこの言葉をかけている。そして”考えすぎちゃう”というのはユーザー(繊細さん)が抱える生きづらさを表現した文言だ。この2つの要素でターゲットは誰かを示している。

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次。「繊細な自分と向き合うOL」これは理想世界と現実世界のギャップに対して向き合う現在と未来の自分を表現している文言だ。それにつなげる形でこう続く。「適応障害▷HSPを知らず6回転職」これは前の文が現在と未来を示しているのと対照的に過去を示している。2つの文でギャップの中に存在する時系列全てを伝えている。

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次。「フォローすると、過去のジブンと、心がちょっと楽になるかも」これはベネフィットの提示ですね。フォローしたことで、ユーザーの世界はどう変化するのかを提示して、フォローに誘導しています。ポイントは”過去のジブン”という文言だ。ここからHSP気質の人は過去の経験に苦しんでいることが読み取れる。そんなあなたの辛さを楽にするというメッセージだ。そして”ジブン”。なぜカタカナなのだろうか?カタカナは外来語の言葉に使われる表現だ。チョコレートとかね。つまり、自国のものとは違うことを示す。現在の自分を自国としたとき、今ここにはいない過去は自国ではない。そんな表現が見える。

⑤ツイート内容(主張を具体的な内容に落とし込む場所)

最後。ツイート内容だ。構成要素に分解しよう。大きく3つに分かれる。

①”「歳をとりたくない」29歳のとき。”

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 冒頭には2つの要素が並ぶ。「歳をとりたくない」というこの人の心の叫びだ。理想世界と現実世界のギャップで発生する言葉を直接つづることで、注意を引く。さらに「29歳のとき」と時間の提示をしている。

②”メンタルが弱くて。転職ばっかりして。恋愛も、うまくいかなくて。こんな自分が、30代になっても「生きていけるのか」不安と焦りに、押しつぶされる毎日だった。しんどい。”

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 ここはとにかく感情が並ぶ。ポイントは自身の原体験があることだ。世界観をつかむきっかけは原体験にある。ここではツイート内容にそれを盛り込むことで、プロフィールに遷移せずとも世界観が見えるようにしている。

③”でも、「人生の闇期」は、自分を、成長させてくれるから。未来のジブンに、諦めずにいたい”

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 ツイートの最後は上記の言葉で締めくくられる。「でも」という逆説の接続詞を使って、中盤に並ぶネガティブな言葉を好転させている。”「人生の闇期」は、自分を、成長させてくれるから。未来のジブンに、諦めずにいたい”「人生の闇期」は、自分を、成長させてくれるから。未来のジブンに、諦めずにいたい”つまり、中盤に並ぶネガティブな感情は無駄ではない。未来につながると示すことで、過去の考え方を変えている。これはプロフィール文の最後に記載されている「フォローすると、過去のジブンと、心がちょっと楽になるかも」という言葉と一貫した発信であることが分かる。また、ここでも”未来のジブン”はカタカナだ。つまり、現在はここにある自分だが、今ここにない過去と未来は”ジブン”。現在の自分の考え方や行動で過去と未来の”ジブン”は変えられる。そんなメッセージも見えてくる。

以上が「うしださん(@kei_economics)」を例にとって、アカウント設計を分解してみた結果だ。
彼女は自分の世界観をアカウント設計に落とし込むことに成功しているように思う。さらに理想の世界観に向けて、現実世界とのギャップを主張としてツイートをしている。だから、同じくHSP気質のあるユーザーは彼女の世界観に共感し、それを使って自分の世界観のコーディネートをするためにフォローという行動を起こしているのではないだろうか。

今後、この考え方で自分のアカウント運用もしてみようと思う。
ここからは理論に基づいて、自分に転用し、検証と改善を繰り返していく地道な作業が必要な段階。それができたらまたどこかで更新しようと思います。

こんな感じで、少し抽象度の高い話を考えてTwitterで発信してます。
もしよかったらフォローしてくれたら、とっても嬉しいです。
このnoteの紹介してくれてたら小躍りしながらRTしにいきます。

また、毎週日曜日の21:00~ツイート分析会というのをやってます。
こちらのnoteで紹介したようなツイーの事例を基にした分析やアカウント運用論について話すmtgです。ご興味あれば覗いてくださいまし。
メンバーはこちらの2人。やなさん(@nymgfornew)おかもとさん(@Okamo_NOVEL)

おわりに(このnoteを書く理由の本音)

蛇足になるかもしれないけど、なぜ私がこんなことを考えたのかも書こうと思います。本noteの内容に照らし合わせると、私の思う理想の世界は「美しい世界です」。その世界では誰も不幸せにならない。みんながハッピーでいられる構造を持った世界です。(これはTwitter運用の話ではない)

Twitterの世界では、ビジネス利用も加速してユーザー数が大きく増えました。最近だとクリエイターエコノミーなんてものも言われ出して、個人が稼ぐ流れは加速しそうです。今までマネタイズ機能に乏しかったTwitterでも様々な機能実装が始まってく感じ。これからレッドオーシャンはさらに激化してくのかなと思います。

そんな中みんながインプレッションを追い求める。目先のフォロワー数を追い求める。テクニック論に偏重し、同じようなツイートばかりになる。プロフィールへの誘導ばかりになっていく。結果、受信者側のユーザー体験は悪くなり、発信者側も疲弊する。これは美しくない。理想の世界じゃない。そのギャップが解消された世界になったらいいなと思って書いてみました。

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